人気の家庭用ゲーム機「Nintendo Switch」や話題の次世代ゲーム機「プレイステーション5」は強い品薄傾向が続いており、欲しい時にすぐ買えるようにはなっていません。この状況を悪用し、これらの人気ゲーム機の在庫があるように装ったニセの通販サイトが現れ、お金をだまし取られる被害が続出していると消費者庁が注意を促しました。これまでとは異なり、ニセの通販サイトだとは見破りにくい作りになっており、注意が必要です。

  • Nintendo Switchやプレイステーション5などの人気商品を取り扱う通販サイトを装い、お金をだまし取る被害が拡大している。子どもや親などにも注意を促したい

怪しい日本語がなく、販売価格も不自然に安くない

消費者庁がこれまでに確認したニセの通信販売サイトは以下の通り。人気ゲーム機やゲームソフトの名前で検索すると上位に現れるようになっています。

  • 確認されたニセ通販サイト。URLアドレスも共通性が見受けられる

  • これらのニセ通販サイトは、基本的なデザインがどれも同じなのが分かる

  • 検索すると最上部に現れる「広告」の場所にニセの通販サイトが表示されることが多い

これらのニセ通販サイト、おもな特徴は以下の通りです。

  • Nintendo Switchやプレイステーション5、iPhoneなど、人気の商品ばかりを取り扱っている
  • 販売価格は希望小売価格と同じかわずかに上乗せされている程度で、極端に高かったり安かったりしない
  • 「在庫は残り8台」などと記載され、在庫はあるが残り少ない、とアピールしている
  • 購入代金の決済は銀行振り込みの前払いのみ、指定の銀行口座は個人名義
  • 代金を振り込むと、入金確認の通知と宅配便の伝票番号を記載したメールが届くが、伝票番号は架空のもの
  • サイトに記載されているメールアドレスに問い合わせても返事はナシ、電話番号は記載されていないので連絡する手段はない
  • サイトの名称やURLアドレスが異なるのに、ほとんど同じレイアウトの通販サイトが複数存在。時期をずらして出現する

ニセの通販サイトは不自然な日本語表記が見られず、一見すると普通の通販サイトのように仕上げており、普通の人がニセの通販サイトと見破るのはやや難しいといえます。

  • ニセ通販サイトの例。人気商品が並び、「残り3個」など在庫があるように見せかけている。不自然な日本語表記がなく、価格が安くも高くもないところが、これまでの詐欺サイトと異なる

掲載している商品は、Nintendo Switchやプレイステーション5などの人気商品ばかり。価格は、希望小売価格と同じかわずかに上乗せされている程度で、プレミア価格で販売されているフリマサイトやオークションサイトと比べると良心的な価格設定となっています。しかも「残り○個」と在庫が限られていることを示す表記が添えられていることがほとんどで、「ラッキーなことに安く買える在庫がある。早く注文しないと」と思わせて注文を促す仕組みです。

サイト上で注文をすると、代金を指定した銀行口座に前払いで振り込むよう案内したメールが届きます。この銀行口座、企業名や店名ではなく個人名義になっており、この点で怪しいと判断できます。

代金を振り込んでしまうと「入金を確認しました」といった通知と宅配便の伝票番号を記載したメールが届くので、「売り切れる前に購入できた。よかった」と思ってしまいます。しかし、当然ながら商品は発送されないので、いつまで経っても商品は届きません。伝票番号はデタラメなので、宅配便会社の配送確認サイトに入力しても情報は表示されません。ニセ通販サイトに記載されているメールアドレスに問い合わせても返事はなく、サイトに電話番号は記載されていないので連絡する手段はナシ。ニセ通販自体も半月ほどで閉鎖され、結局泣き寝入りになってしまうわけです。

注意すべきことは

これらのニセ通販サイトは、従来のニセ通販サイトで見られた「明らかな日本語の間違い」や「あり得ない価格の安さ」などの要素がなく、簡単にはニセモノだと見破れないようになっています。とはいえ、見破る要素はまだ残っていますので、以下のポイントを覚えておくとよいでしょう。

  • クレジットカード払いなど、銀行振り込み以外の決済方法が用意されているか
  • 運営者の所在地や問い合わせの電話番号などが記載されているか
  • 販売している商品がNintendo Switchやプレイステーション5、iPhoneなど特定の人気商品に偏っていないか、不自然に在庫は多くないか
  • 通販サイトの名称やURLアドレスで検索してみる(開設したばかりだと検索結果がほとんど出ない、もしくはすでに詐欺被害の報告が上がっている可能性も)

プレゼント需要が増えるクリスマスシーズンだけに、子どもや孫にプレゼントしたい…と考えるシニア層がだまされる心配があります。週末などの時間を利用して、近況を聞きがてら注意を促すのもよいでしょう。