Facebook Japanは12月3日、2020年を振り返る事業戦略発表会を開催した。味澤将宏社長がオンラインで出席し、ユーザーのライフスタイルが大きく変化する中で、VR空間でのリモートオフィスなど新たな仕組みを取り入れていく方針を示した。

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    Facebookファミリーアプリの利用者数は全世界で32億人を突破(2020年9月末時点)

FacebookはSNSを中心とした複数のデジタルサービスを抱える企業体で、傘下にはFacebook、Instagram、メッセンジャーアプリのMessenger、WhatsApp、VRデバイスのOculus、ビジネス向けコミュニケーションサービスのWorkplace from Facebookを持つ。ユーザー数は全世界で32億人を突破した(2020年9月末時点)。日本法人のFacebook Japanは各サービスの日本展開を担っている。なお、日本のユーザー数については2019年3月以降公表していない。

【お詫びと訂正】初出時、「日本のユーザー数については2016年以降公表していない」と記載していましたが、正しくは「2019年3月以降」でした。お詫びして訂正します(12月7日更新)

2020年は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行で、ユーザーの求めるニーズが大きく変化。特に日本においてはデジタルシフトが加速したという。

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    Facebook Japanの味澤将宏社長

「Oculus Quest 2」でVRデバイス本格展開

2020年は日本においてVRデバイス「Oculus」の展開が本格化した年となった。日本はVRを愛好するユーザーや開発者が多いため、Oculusの重点展開地域の1つとなっている。

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    Oculus Quest 2

10月に発売したVRデバイスの新製品「Oculus Quest 2」では、日本では初となる店頭展開を行い、量販店で気軽に購入できるようになった。また、初のテレビCMも展開。予約注文数は初代「Oculus Quest」の5倍となり、販売は非常に好調だという。

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    Oculus Quest 2のテレビCMなど、さまざまなプロモーションが打ち出された

なお、Oculus Quest 2を巡っては、一部ユーザーのFacebookアカウントが停止されてしまうという問題が起きた。これはOculusアカウントを利用するときにFacebookアカウントとの紐付けが必須となったことに起因しており、不審な利用を疑われてFacebookアカウントが停止になったという報告がSNS上で相次いでいた。

アカウント凍結問題についてはFacebook Japanも認識しており、ユーザーからの問い合わせに応じて順次対応。凍結されたアカウントを確認し、コミュニティ規定への違反がなければ解除する措置をとっているという。発生件数は非公表としているが、対応は順調に進んでいるとの認識を示した。

“バーチャルオフィス”やARグラスを開発中

FacebookではXR(VR/AR/MR)を中核技術として開発している。8月には社内の開発体制を整理し、Facebook Reality Labsを発足させた。このチームはFacebook傘下の全世界の開発者、研究者、エンジニアが所属する組織で、実際にVR技術を活用して、物理的な距離を超えた開発体制を整えているという。

VRに関しては、新しい働き方に対応するサービス「Infinite Office」の開発が進んでいる。9月の開発者向けイベント「Facebook Connect」で発表されたもので、今冬にOculus Quest 2のアプリとして提供される予定だ。

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    Infinite Officeの利用イメージ

Infinite Officeは、仮想空間上のコラボレーションスペースで、Oculus Quest 2を着用し、離れた場所にいるユーザー同士がまるで同じ空間にいるかのように共同で作業できる。ブラウザなどのアプリを目の前の空間にマルチモニターのように表示可能。また、Logitech K830を模したバーチャルキーボードを呼び出し、まるでそこにパソコンがあるかのように作業することもできる。現実空間で手元に書類をOculus Quest 2のカメラを通じて読むといった、パススルー表示も可能だ。

このほか、ARデバイスのProject Ariaも開発が進められている。9月にアイウェアメーカーのエシロールルックスオティカとFacebookの提携が発表され、2021年にエシロール傘下の「レイバン」ブランドでARグラスを投入する計画だ。

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    ARインタフェースを研究する「Project Aria」デバイスの開発も進んでいる