SOUNDSHOWCASE実行委員会は10月18日、ポータブルオーディオ機器などの無料試聴イベント「SOUND SHOWCASE in Sapporo」を北海道・札幌で開催した。ここでは参加各社(飯田ピアノ、エミライ、MUSIN)が出展した新製品を紹介する。

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    北海道・札幌で「SOUND SHOWCASE in Sapporo」が開催された

SOUND SHOWCASEとは

SOUND SHOWCASEは、「いい音で音楽を楽しみたいすべての人に選りすぐりのオーディオ機器を紹介する」という、ニュー・ノーマルを見据えた新たなコンセプトの地方特化型無料試聴イベント。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で通信販売が盛んになっているが、SOUNDSHOWCASE実行委員会は「専門店・量販店で話題の製品を試聴する機会に恵まれている三大都市圏(東京・名古屋・大阪)に比べ、それ以外の地域は、趣味性の高い優れたオーディオ製品に触れたり、試聴したりする機会が多くない」とし、地方特化型の試聴イベントを企画。「静かな、広い空間で、音楽をゆっくり楽しんでいただくことを目指して、新しい製品試聴イベントのカタチを模索する」としている。

同イベントは有志が運営しており、初回を9月20日に福岡・福岡市天神で開催。2回目は10月18日に北海道・札幌市すすきので開催し、Benchmark Media Systems、FiiO、HiBy Music、Hidizs、iBasso、Mytek Digital、RAAL requisite、SHANLINGの8ブランドが出展した。

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    会場の様子

飯田ピアノ

飯田ピアノは、HiByブランドの新製品として、ポータブルプレーヤー「R2」、ポータブルアンプ/DAC「FD1」、イヤホン「BEANS」の3製品を出展した。いずれも発売時期、価格は未定。

今回、発表されたばかりのエントリーポータブルプレーヤー「R2」を日本初公開(参考展示)。従来の「R3」シリーズより小型なエントリー新機種で、ESS製のDACチップ「ES9218」をシングルで搭載。3.5mmのアンバランス出力を1つ備える。小型・薄型ながら、タッチパネルによりストレスのない操作が可能としている。

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    HiByのポータブルプレーヤー「R2」

また、同じく発表されたばかりのポータブルアンプ/DAC「FD1」も日本初展示(参考展示)。PCやスマートフォンのDACとして使用したり、「R2」と同一サイズで重ねて使える製品で、ESS製のDACチップ「ES9118P」をデュアルで搭載し、3.5mm出力と2.5mmバランス出力を備えている。

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    HiByのポータブルアンプ/DAC「FD1」

「BEANS」はエントリークラスのダイナミック型イヤホン。小型ながら10mm径のダイナミック型ドライバーを搭載し、振動板にはDLCコートを採用。ハウジングはアルミニウムを削り出して製造されており、フロントノズル部分には銅切削に金メッキを施すなど、音への影響にこだわりながらも低価格を実現するという。エントリー機ながら0.78mm 2ピンコネクタを採用し、ケーブル着脱にも対応する。

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    HiByのダイナミック型イヤホン「BEANS」

エミライ

エミライは、FiiO Electronics製の左右独立型耳掛け式Bluetoothレシーバー「UTWS3」と、据え置き型のBluetoothレシーバー/トランスミッター/DAC「BTA30」の2製品を国内初出展。いずれも今冬発売予定で、価格は未定。

UTWS3は、既存の「UTWS1」の上位モデルで、Bluetoothレシーバー部とMMCXコネクタを備えた耳掛け式ワイヤーで構成し、手持ちのMMCX対応イヤホンを完全ワイヤレス化できる。クアルコムのBluetooth SoC「QCC3020」と、SoCとは独立したTI製のアンプ「TPA6140A2」を搭載。FiiOのBTコントロールアプリ「FiiO Control」で各種設定を変えられるという。

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    FiiO Electronicsの左右独立型耳掛け式Bluetoothレシーバー「UTWS3」

BTA30は、高音質コーデックに対応し、送受信の両方で使用可能なBluetoothオーディオレシーバー/トランスミッター/DAC。Bluetooth 5.0に準拠し、送信時は低遅延なaptX LLや、ハイレゾ相当の音質に対応するaptX HDとLDACをサポート(LDACは光/同軸デジタル入力時のみ)。受信時はAAC/aptX/aptX HD/LDACに対応する。

Bluetooth用ICにクアルコム「CSR8675」、DACチップに旭化成エレクトロニクス製「AK4490」を採用。USB入力や光/同軸デジタル入力を備え、DACとしても使える。RCAライン出力と光/同軸デジタル出力も備えている。

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    FiiO Electronicsの据え置き型のBluetoothレシーバー/トランスミッター/DAC「BTA30」

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    エミライは他にも、MYTEK DigitalのUSB DAC「Brooklyn DAC+」や、米Benchmark Media Systemsのプリアンプ「LA4」、パワーアンプ「AHB2」、RAAL requisiteのヘッドホン「SR1a」を展示していた

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    FiiOのポータブルプレーヤー「M11Pro」や「M15」も出展。プレーヤー同士も“ソーシャルディスタンス”が徹底されていたようだ

MUSIN

MUSINは、SHANLINGのフラッグシップポータブルプレーヤー「M8」、小型USB DACアダプタ「UA1」、ハイブリッドイヤホン「ME700 Lite」を出展。

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    MUSINブースの様子

「M8」はAndroid OSを搭載したポータブルプレーヤーで、最大の特徴は本体上部に備えた「ヘッドホンソケットモジュール交換システム」。専用ツールでヘッドホンジャックそのものを交換でき、さまざまな太さ・仕様のヘッドホンジャックが使える。

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    SHANLING M8

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    M8の最大の特徴は本体上部に備えた「ヘッドホンソケットモジュール交換システム」

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    M8はさまざまな太さ・仕様のヘッドホンジャックに交換できる

DACチップは旭化成エレクトロニクス製「AK4499EQ」をデュアルで搭載し、最大768kHz/32bitまでのPCM再生と、DSD 22.4MHzまでのネイティブ再生をサポート。オーディオ回路も再構成して高音質化を図った。最大出力レベルは、バランス出力時のTurbo Gain設定時で840mW(32Ω)を実現する。

5型のフルHD液晶ディスプレイや、64GBストレージ、最大2TBまでのmicroSDカードに対応するカードスロットを備え、無線LAN(5GHz/2.4GHz対応)や、Bluetooth機能(Ver.5.0準拠)も装備。容量7,000mAhのバッテリーを内蔵し、再生時間はシングルエンドで14時間、バランスで9時間。

UA1は、SHANLING初の小型USB DACアダプタで、今冬発売予定。価格はオープンプライス、店頭価格は税別6,000円前後を見込む。

DACチップにESS製「ES9218P」を搭載。80mWの高出力ながら低消費電力・低発熱を追求し、導電性繊維で基盤をラップすることで外部からのノイズ干渉をブロックするなど使い勝手や音質にこだわっている。「Shanling Music」アプリと連携し、デジタルフィルター/イコライザ/ゲインコントロール/チャンネルバランスをカスタマイズすることも可能だ。

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    SHANLING UA1

ME700 Liteは、チタン振動板を採用したダイナミック型ドライバー1基と、4つのバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーを搭載した、5ドライバー構成のハイブリッドイヤホン。今冬発売予定で、価格はオープンプライス、店頭価格は税別50,000円前後を見込む。

「全体の音の繋がりはシームレスでありながら、暖かみがありブライトなボーカルと、深く厚みのある低域が特徴的」としており、従来のネットワーク回路に加えて3Dプリンタによる“物理的なクロスオーバー”を追加したり、それに伴うドライバ配置の最適化を行うなど、高品質イヤホンの設計における先進的技術を採り入れたという。周波数特性は20Hz〜40kHz、感度は109±3dB、インピーダンスは16Ω。銀メッキ無酸素銅素材を使った⾧さ1.3mのケーブルを備え、入力は3.5mm 3極プラグ、イヤホン側の端子はMMCX。重さは5g(本体のみ)。

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    ME700 Lite

MUSINはこのほか、iBasso Audioブランドの小型USB DACアダプタ「DC03」(税別6,200円前後、発売済み)と、現在開発中の4.4mmバランス出力モデル「DC04」も出展した。シーラス・ロジックのDACチップ「CS43131」をデュアル構成で搭載し、USB-C端子でスマートフォンやタブレットにつないでハイレゾ対応のヘッドホンアンプとして使える。

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    iBasso Audioブランドの小型USB DACアダプタ「DC03」(右下)と、現在開発中の4.4mmバランス出力モデル「DC04」(左上)