モバイル通信できる端末にWi-FiやUSBで接続し、そこからインターネットにアクセスする「テザリング」は、スマートフォンの機動性を生かした回線活用術です。iPhoneでは「インターネット共有」と呼ばれ、iPhoneが回線を提供するテザリング親機、モバイル通信機能を持たないパソコンやタブレットがテザリング子機として、外出先でインターネット接続するときに活用されています。

そのインターネット共有機能は、『設定』→「インターネット共有」の順に画面を開き、「ほかの人の接続を許可」スイッチをオンにすると有効になります。そのほか、ファミリー共有に登録している家族からの接続をどう扱うか設定するためのスイッチも用意されています。

iPhone 12シリーズでは、その画面に「互換性を優先」スイッチが追加されています。画面には、スイッチをオンにすると接続したテザリング子機の通信速度が低下するかもしれない、という趣旨の説明が添えられていますが、少々わかりにくいかもしれません。

このスイッチは、Wi-Fi経由でテザリングするときの周波数帯を2.4GHzに限定するためのもの。iPhone 12シリーズでは、2.4GHz帯にくわえ5GHz帯も利用してテザリングできるようになっており、両方の周波数帯がデフォルトで有効化されているのです。

従来のiPhoneは、Wi-Fi経由でのテザリングは2.4GHz帯のみサポートします。2.4GHz帯が混雑している環境では通信速度低下を招きかねず、比較的混雑していない5GHz帯のほうが有利といえるでしょう。

しかし、2.4GHz帯にくらべ5GHz帯の電波は障害物に弱く、通信距離が長くなるとかえって速度が低下することがあります。そんなとき「互換性を優先」スイッチをオンにすると、テザリング時には2.4GHz帯のみで通信するようになるため、従来どおりの感覚で利用できます。

  • iPhone 12のテザリング設定画面にある「互換性を優先」スイッチ、なんのために?