パナソニックから、新型のプレミアム冷蔵庫「MEXタイプ」が登場します。MEXタイプの特徴は、野菜庫を真ん中に配置したことです。プレス向けの製品説明会で実際に製品をチェックしてきました。

ラインナップは、513L型と483L型、それぞれステンレスシルバーとセラミックホワイトの2色展開です。10月30日発売、価格はオープン、推定市場価格(税別)は513Lタイプが350,000円前後、483Lタイプが340,000円前後となります。

  • 真ん中野菜室になった新モデル「MEXタイプ」
  • 真ん中野菜室になった新モデル「MEXタイプ」

    真ん中野菜室になった新モデル「MEXタイプ」

  • 写真右は容量513Lの「NR-F516MEX」、写真左が483Lの「NR-F486MEX」

野菜重視? 冷凍食品重視? 選べるラインナップに

最近の冷蔵庫は、冷凍庫と製氷室が真ん中に配置されていることが多いのですが、これには理由があります。製氷室と冷凍庫を隣接した場所に配置すると、冷蔵庫の内部構造で断熱材を減らせるのです。製造コストが下がり、庫内容量を確保しやすくなり、省エネ性能もアップします。

  • パナソニックの冷蔵庫で比較。冷凍室が真ん中のWPXタイプ(写真左)と、真ん中野菜室のMEXタイプ(写真右)では、必要とする断熱壁の数がまったく違います

冷蔵庫の真ん中を冷凍室にすると、自然に野菜室は一番下に配置することになります。最下段の食材はかがんで取らなければならないので、出し入れが少々面倒です。このため、ほとんどの大手メーカーが野菜重視の家庭向けに真ん中野菜室の冷蔵庫をラインナップしています。

今回のMEXタイプによって、とうとうパナソニックも真ん中野菜室に参戦。冷凍食材を重視する忙しい家庭向けには真ん中冷凍室の「WPXタイプ」を用意しています。ちなみに、10月発売のMEXタイプと「対(つい)」といえる真ん中冷凍室タイプの製品は、2020年2月に発売されたWPXタイプです。

  • 真ん中野菜室のNR-F516MEX(写真左)と、真ん中冷凍室のNR-F556WPX(写真右)。両製品の本体サイズは同じですが、断熱材量の違いによって、真ん中野菜室のNR-F516MEXは庫内容量513Lなのに対し、真ん中冷凍室のNR-F556WPXは550Lと大き目

  • 野菜室が真ん中になることで、ほとんどかがまずに野菜を取り出せるように。野菜は1kgを超えるものも多いうえ、野菜室に2Lペットボトルを保存する人などもいます。重いものが集まりやすい野菜室の食材を取り出しやすいのは、うれしいメリットです

MEXタイプとWPXタイプともに、パナソニックの冷蔵庫で上位モデルが備える「はやうま冷凍」機能を搭載。ファンで食材に直接冷気をあてつつ、アルミプレートで食材の熱を奪うことによって、業務用レベルの急速冷凍ができるという機能です。

  • アルミプレートがある部分が「はやうま冷凍」エリア。食材をすばやく冷凍できるほか、お弁当など温かい食材のあら熱取りにも活躍します

  • はやうま冷凍は「クーリングアシスト」ボタンで選択。新製品のMEXタイプのみ、はやうま冷凍に対応した庫内を、「パーシャル」と「はやうま冷凍」の2種類から好きな温度帯に切り替えることが可能

MEXタイプならではの新機能

MEXタイプとWPXタイプは共通した機能が多いのですが、前述のようにMEXタイプは「パーシャル」と「はやうま冷凍」を切り替え可能など、MEXタイプだけが持つ新機能もあります。

そのひとつとして、野菜庫は野菜を長持ちさせる2種類の新フィルターを採用した「Wシャキシャキ野菜室」に進化。葉物など萎(しな)びやすい野菜も、1週間シャキシャキに保存できるとのこと。

  • 庫内の湿度が高いときは給水し、湿度が低くなると水分を放出して加湿するモイスチャープラスフィルター

  • 野菜庫の天井部には、パラジウム保鮮フィルターをセットしたユニットを配置。パラジウム保鮮フィルターは、野菜などの熟成を促すエチレンガスを、二酸化炭素と水に分解する機能があります。エチレンガスを減らすことは、野菜の鮮度を長持ちさせることにつながります

MEXタイプは使いやすさも向上しています。たとえば、チルド室の幅が狭くなっていて、フレンチドアの右側だけを開けば、チルド室の食材を取り出せるようになりました。短くなったエリアには小物を整理整頓しやすい「アレンジストッカー」を入れられます。

アレンジストッカーとは、2つの箱形フリーケースと、フリーケースにピッタリサイズの卵トレイという3つのパーツからなるアクセサリー。卵トレイを使って卵ホルダーとして使うのはもちろん、ジャムやバターなどの「朝ご飯セット」などをフリーケースにまとめて、食卓にまとめてサッと出すという使い方も。フリーケースは100円ショップなどでも売っていますが、アレンジストッカーはMEXタイプにピッタリの大きさなので、庫内スペースをムダにしません。純正品ならではですね。

  • 幅が狭くなったチルド室と、チルド室の左にある小物整頓用の「アレンジストッカー」

  • チルド室を幅狭にしたことによって、フレンチドア右側を開くだけでチルド室の食材を取り出せるように

  • 3つのパーツからなる「アレンジストッカー」。トレイを分散させて使っても、重ねて使ってもOK

パナソニックらしい使いやすい機能も健在

今回の新製品で筆者が一番気に入ったのは、ステンレスやセラミック調の素材感と、上質なマット感があるデザイン。これまで多くの高級冷蔵庫が採用していたガラスドアは鏡のように部屋を反射するため、デザイン性の高いキッチンでないと、キッチンのインテリアが冷蔵庫に負けてしまうことがありました。一方、MEXタイプ(MPXタイプ)のフラットなスチールドア(銅板製)は、高級感がありながら主張しすぎません。指紋や汚れが付きにくいというメリットもあります。

MEXタイプはまた、パナソニックの冷蔵庫が以前から備える使いやすい機能も継承しています。とくに目を引くのは、コンプレッサーを冷蔵庫の上部に配置する「トップユニット方式」であること。下二段の引き出しの庫内が広くなり、冷蔵庫上段の奥まで手が届きやすいのです。引き出し部を100%全開できる「ワンダフルオープン」も便利。

  • 163cmの女性でも冷蔵庫最上段の一番奥まで手が届く「トップユニット方式」。冷蔵庫のデッドストックが減らせそうです

  • 引き出し式の野菜室と冷凍室を全開できる「ワンダフルオープン」。引き出しの奥まで出てくる冷蔵庫は意外と少ないので、これはかなりうれしい機能です

こうした基本的な使いやすさに加えて、先進的なはやうま冷却機能や野菜の長持ち機能、日ごろの使い勝手をよくするチルド室の配置や付属のアレンジストッカー。さらには、どんなキッチンにもなじむフロスト加工デザインなど、MEXタイプは近年のパナソニック冷蔵庫のいいところを全部入りにしたような製品です。