空気清浄機やエアコン、洗濯機に冷蔵庫、はてはドライヤーまで、パナソニック製品の多くが「ナノイー」機能を搭載しています。このナノイー、なんとなく花粉を無効化したり、除菌や除臭したりということは知っていても、実際どういった仕組みで働いているのか、いまいちピンときません。ナノイー搭載家電を購入したものの「これ、本当に効果があるのかな?」と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。ここでは、パナソニックのプレス向け「ナノイーについての説明会」をもとに、ナノイーの正体とナノイーがなぜ効果的なのかを解説します。
ポイントは「OHラジカル」
ナノイーが除菌や除臭、アレル物質の抑制などに効果的なのは、ナノイーに大量の「OHラジカル」が含まれているからです。
OHラジカルとは、水をもとに作り出す物質。水分子(H2O)というのは、2つの水素(H)と1つの酸素(0)からできていますが、この水分子に放電することで、水素を1つ奪い取ったのがOHラジカルです。ただし、この状態は無理矢理作り出したものなので非常に不安定。
このOHラジカル、安定さを取り戻すために、とにかく奪われた水素(H)と結合したがります。たとえばOHラジカルが菌にくっつくと、菌の水素を抜き取って無活性化させてしまうのです。水素を奪い取ることに成功したOHラジカルは、H2O、つまり水に戻ります。この「周りの物質から水素を抜き取る」性質を利用し、ナノイーは花粉やカビ、雑菌の抑制や除臭といった、さまざまな効果を発揮します。
OHラジカルがこれらの問題に効果的なのは、対象の水素を抜くことで、対象を「分解」あるいは「変性」させるからです。ニオイやPM2.5の場合、OHラジカルはニオイやPM2.5の原因物質にとりついて分解。たとえば、尿の臭いのもととなるアンモニアなら水素と窒素に分解されるため、ニオイをもとからなくします。
説明会の会場では、カレーを使った実験も。カレーを作った鍋のフタについた結露水を2枚の布に染み込ませ、事前にニオイをチェックします。筆者もニオイチェックに参加しましたが、お腹が空いてくるカレーのかぐわしい香りをしっかり感じ取れました。その後、片方をナノイーX発生デバイスがある箱、もう片方を何もない箱に入れて30秒間放置するだけ。30秒後にそれぞれの布を嗅ぎ比べてみると、ナノイーの箱に入れた布だけカレーの臭いが消えていました。
一方、カビや花粉などのアレル物質、菌、ウイルスなどは、OHラジカルの「変性」効果によって抑制されます。OHラジカルが菌などにくっつき、菌のタンパク質から水素を抜くことで、菌の性質を変えてしまうのです。
菌の抑制についても会場で実験。透明な樹脂製の板に菌をスタンプし、ナノイーがある環境と、ナノイーがない環境で差を確認するというものです。実際にやってみると、ナノイーがある環境では、菌スタンプを押してから30秒くらいでスタンプがかすれはじめ、全体が徐々に薄くなっていく(菌が減っていく)のがわかります。
ただし、これら2つの実験は、かなり密閉された空間で行われています。実際の広い生活空間では、どれくらいの効果があるのか気になるところです。