パナソニック ホールディングスは2月4日、収益構造改革のため、2025年度にグループ全体で構造改革を実施すると発表した。
重点的に注力する「ソリューション領域」と、それを支える収益基盤として「デバイス領域」「スマートライフ領域」を設定。まずはエネルギーソリューションを中心としたソリューション領域を重点投資領域(成長エンジン)とし、家電事業が含まれるスマートライフ領域では抜本的な事業改革を実施する。
また競争力強化の観点から、成長が見込めない事業や競合と比べ挽回のめどが立たない事業などについては、再建の可否を見極め、撤退や事業承継も視野に入れ、整理を加速する。
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グループの収益構造改革のため、重点的に注力する「ソリューション領域」と、それを支える収益基盤として「デバイス領域」「スマートライフ領域」を設定。ただし今後の組織におけるポートフォリオを示すものではないという
パナソニックホールディングスの楠見雄規グループCEOは、成長が見込めない“課題事業”として産業デバイス事業、メカトロニクス事業、キッチンアプライアンス事業、「ビエラ」ブランドで知られるテレビ事業の4つを挙げ、撤退や事業継承を進め2026年末までに課題事業を一掃するとした。
また家電事業や空質空調事業、ハウジングソリューションズ事業については、見極めが必要な“再建事業”と位置付けた。
家電事業は海外・国内ともに競争が激化しており、相対的に競争力が低下傾向にあるとする。収益力を高めるため、中国で磨いた技術力・設計力をもとに、コストを抑えつつジャパンクオリティを実現し、再建を進めるとした。コスト力を得るため国内では業務効率化・スリム化を進め、グループに分散する白物家電/黒物家電事業を集約して事業会社化し、再建を目指す。
パナソニックグループにおいて2025年度は本来、次期中長期戦略の初年度となるが、経営改革に集中し基盤を固める年とする。上で挙げた計7つの“課題事業”“再建事業”は2025年度中に事業の方向付けを行い、「(内容を)伝えられる時期になったら公表する」という。
2月4日に実施したオンライン会見で楠見雄規グループCEOは「テレビ事業を売却する覚悟はある」とも語った。会見の様子はジャーナリスト・大河原克行氏による弊誌記事「テレビ事業売却の覚悟もある、パナソニックが全事業再編の方針示す」に詳しく紹介されている。