新しい「第8世代のiPad」の特徴

2019年に登場した第7世代iPadは、画面が少し大きい10.2インチのRetinaディスプレイになり、Smart Connectorの搭載でアップル純正のSmart Keyboardに対応しました。Wi-Fi+CellularモデルはeSIM内蔵になり、ビジネスシーンでノートPCの代わり、またはサブ機としてiPadを活用する人の姿もよく見かけるようになりました。

  • パフォーマンスが向上した第8世代のiPad

9月18日に発売された第8世代のiPadは、Touch IDを搭載するホームボタンをフロントベゼルに残すトラディショナルなiPadのデザインを継承しています。ストアで実機に軽く触れてみましたが、外観はカラバリも含めて大きく変わっていないようでした。第1世代のApple PencilとSmart Keyboardには引き続き対応します。

第8世代のiPadは、A12 Bionicチップを搭載しました。第7世代のiPadは第6世代のiPadからA10 Fusionチップを継承する仕様だっただけに、大きなステップアップを遂げた格好です。ちなみに、A12 Bionicは2019年3月に発売した第3世代のiPad Airと同じです。

さらに、スタンダードクラスのiPadでは初めて、AI処理や画像解析など複雑なタスク処理を担う第2世代のNeural Engineを搭載。クリエイティブワークがよりスムーズにできたり、ARコンテンツもサクサクと描画するパフォーマンスの大幅向上が期待できます。

最新の第8世代iPadの魅力は、以下のようにまとめられると思います。

  • 初めてiPadを使う人にも覚えやすく、周りにiPadを長く使っているユーザーがいれば使い方を教えてもらえることも期待できるトラディショナル・デザイン
  • 基本パフォーマンスを高めながら、販売価格は昨年発売のモデルから据え置き

日本では、文部科学省が推進する「GIGA(Global and Innovation Gateway for All)スクール構想」の追い風を受ける格好で、価格が手ごろでパフォーマンスに優れるiPadが全国の小中学校に普及しつつあります(関連ニュース:「学校に1人1台のiPadを導入した自治体、WindowsからiPadに鞍替えの理由」)。筆者の友人宅も、一昨年に子どもが高校に入学する際に学校の教材としてiPadを買っていました。

  • アップルのイベントでも、最新のiPadがライバル製品のパフォーマンスを打ち負かしたことを積極的にアピールしていました

アップルも新製品の発表会イベントで、新しいiPadが「過去1年間に発売されたWindowsのノートPCより最大2倍、Andoridタブレットより最大3倍、そしてChromebookよりも最大6倍速い」ことを強烈にアピールしていました。安価なだけでなく、さまざまなユーザーの期待に応えてくれるiPadは、iPhoneに例えると今年の春に発売された第2世代の「iPhone SE」のような立ち位置にいるデバイスなのかもしれません。

シリーズ最小サイズ「iPad mini」の特徴

そして、シリーズ最小の7.9インチパネルを搭載する第5世代iPad miniも販売を継続します。iPad miniは、実際に使ってみるとその独特な利便性が実感できるデバイスです。片手で持ちながらApple Pencilで軽快に操作できるサイズ感が何よりの魅力。iPadOS 14からの新機能である、手書き文字を瞬時にデジタルタイピングテキストに変換する「スクリブル」にも相性が良さそうです。

  • その独特な立ち位置が魅力的な「iPad mini」も健在です

画面が比較的小さいので、もし在宅ワーク・在宅スクールのメインツールとしてビデオ通話に活用することを視野に入れているのであれば、10.2インチパネルを搭載するiPadなど、画面の大きなデバイスを選んだほうがよいと思います。

あるいは、外出の多いビジネスパーソンがサブ端末として常時バッグに入れて持ち歩きながら、ビデオ通話によるプレゼンテーションにも活用できるデバイスとして選ぶのであれば、iPad miniもよき選択肢になります。iPad ProやiPad Airと“ダブルiPad体制”で華麗に使いこなすのもよいでしょう。