Intelが中国通信機器大手のHuaweiに対し、一部の半導体製品を供給する許可を米当局から取得したことを同社の広報担当者が明らかにしたとロイターが中国上海発の情報として9月22日に伝えている。

中国共産党機関紙「人民日報」の姉妹紙で国際ニュース専門の「環球時報(Glonal Times)」はすでに9月21日付けで「中国が独自のエンティティリストを準備することで、半導体メーカーがHuaweiへの供給を再開するのを促進するかもしれない:IntelとAMDはすでに米国当局からHuaweiへのチップ供給許可を得た」という見出しを掲げ、続く22日にも「次はQualcommが米当局から許可を得る可能性が高い」との見出しを打ち出している。

Intel、AMDが許可を得た背景

環球時報は当該記事の中で、「中国独自のエンティティリストを策定しようとしているため、多くの企業が米国政府に禁止を緩和するよう働きかける可能性があり、一部は中国のエンティティリストに載せられることへの懸念から米国の制裁に違反してまでHuaweiに納品するかもしれない」と述べているほか、「AMDの上級副社長であるForest Norrod氏は、先週土曜日のドイツ銀行との会議で、同社が米国のエンティティリスト掲載企業の一部に自社製品を販売するライセンスを米国規制当局から付与されていることを確認したと述べた。Norrod氏はHuaweiの名前こそ出さなかったが、同社にとって米国からの特別な承認を必要とする唯一の中国の会社であると述べた」とも伝えている。

AMDのライバルであるIntelは、Huaweiへのライセンス供与申請について当局のライセンスを取得したことを韓球時報に21日遅くに伝えてきたという。

同紙は、「トランプ政権はすでにHuawei全体を停止させることはできないことを認識しているため、競争力のあるモバイルビジネスを絞め、競争力の低いラップトップビジネスについては手を緩めるという新たな戦略を採用し始めた」とし、AMDが主にHuaweiのノートブックPCに向け、Ryzenを供給する模様との見方を示しているが、その一方で、米国がHuaweiのモバイル事業に対する規制を放棄することもない、とする複数の業界アナリストの声も紹介している。

Qualcommもライセンス取得の可能性

現在、大手半導体メーカー各社はダメもとでHuaweiへの製品供給を継続するライセンスを米国政府に申請していると伝えられている。その一方で同紙は業界関係者の声として、「中国が準備しているUnreliable Entity Listにより、大手半導体メーカー各社は米当局からのライセンス取得に熱心になる可能性がある。米国の企業はワシントンD.C.でのロビー活動を強化するほか、米国外のライセンスを取得する可能性が低い企業は、協力して米国の制裁に違反して生き残りを図る可能性がある」という新たな動きが生じる可能性を伝えている。

その中でもQualcommがIntelとAMDに続いて、11月の大統領選後にでもライセンスを取得する可能性があるという。米国企業は多くの米国の政治家と良好な関係を維持し、米国政府へのロビー活動に多額の費用を費やしており、Qualcommもそうした動きを積極的に進めているためだという。

米国の半導体メーカー各社は、米国政府の中国ハイテク企業に対する制裁の強化により、中国市場での売り上げの減少に直面している。そのため、米国半導体工業会(SIA)は、会員企業とともに、米国議会にむけたロビー活動を続ける一方で、自由貿易を阻害する米規制当局の措置に反対を表明してきた。

米国商務省の規制当局が、米国議会の国会議員へのロビー活動に巨額の費用を使っている米国企業にだけ輸出許可ライセンスをあたえ、米国の主権の及ばない海外(日本、韓国、台湾、中国など)の半導体企業の一部中国企業への半導体供給を事実上禁止し続ける不公平さに対して、今後不満が募ることが予想され、米国政府がこのような不公平な措置を続けるならば、環球時報が指摘するように、米当局の措置に従わない企業も出てくるかもしれない。