米NVIDIAは9月1日(現地時間)、新世代のデスクトップPC向けGPU「GeForce RTX 30シリーズ」を発表した。8nmプロセス(Samsung 8Nカスタム)で製造されるAmpereアーキテクチャをベースとしたGPUで、トランジスタ数は280億個。ラインナップはGeForce RTX 3090、GeForce RTX 3080、GeForce RTX 3070の計3モデル。まずは9月17日にRTX 3080からリリースする。

  • NVIDIA、GeForce RTX 30シリーズ発表 - RTX 3090/3080/3070の3モデル

    GeForce RTX 30シリーズを発表するNVIDIAのJensen Huang(ジェンスン・フアン) CEO。日本時間では9月2日未明、ついに新世代のGeForceシリーズがスタートした。ちなみに発表の模様はオンラインにて、CEOの自宅(のキッチン)からライブ配信された。場所のせいなのか、なんとなくテレビショッピング風味に

  • NVIDIAが8月10日に公開していたカウントダウンサイトに「21 days. 21 years.」という記載があったことから、同社が21年前の1999年にリリースした最初のGeForceシリーズGPU「GeForce 256」に匹敵するようなインパクトのある何かを、21日後の8月31日に公開するのでは……という噂になっていた

  • GeForce RTX 30シリーズはAmpereアーキテクチャがベース。製造プロセスはSamsung 8NをNVIDIAがカスタムしたもの。RTX 3080ではシェーダー性能が30TFLOPS、RTコア性能が58TFLOPS、Tensorコア性能が238TFLOPSとされ、いずれもRTX 20シリーズを大きく上回る

性能と価格で前世代を圧倒するRTX 3080とRTX 3070

GeForce RTX 30シリーズの最初の製品としてリリースされるのがGeForce RTX 3080だ。北米市場での参考価格は699ドルで発売日は9月17日。CUDAコア数は8704基で、動作クロックはブースト1.71GHz、TDPは320W、PCI Express 4.0をサポートし、グラフィックスメモリには10GBのGDDR6Xを採用した。前世代のGeForce RTX 2080と比較すると、浮動小数点演算性能で2倍、かつ消費電力あたりの性能でも1.9倍、レイトレーシング処理やAI処理でも2倍のスループットを実現しているという。

  • GeForce RTX 3080は699ドルで9月17日に発売。性能はRTX 2080の2倍

GeForce RTX 3070は499ドルで10月に発売。CUDAコア数は5888基で、動作クロックはブースト1.73GHz、TDPは220W、PCI Express 4.0をサポートし、グラフィックスメモリに8GBのGDDR6を採用している。こちらも性能向上が著しく、この価格で前世代のGeForce RTX 2080 Tiと同等以上の性能を発揮するとしている。

  • GeForce RTX 3070は499ドルで10月に発売。性能はRTX 2080 Ti以上

  • GeForce RTX 3080/3070と既存モデルの価格・性能をプロットした表。RTX 30シリーズのコストパフォーマンスの高さがよくわかる

  • Pascal世代ではレイトレーシングをONにすると1440p 60fps付近がやっとだったが、Ampere世代ではレイトレーシングONで4K 60fpsも狙うことができる

  • GeForce RTX 30シリーズの冷却ユニットの吸排気を視覚化した図

RTX 3090は8K60fpsでレイトレゲームが楽しめる化け物GPU

そして軒並み前世代を凌駕するGeForce RTX 30シリーズの中にあっても、段違いの存在感を示していたのがGeForce RTX 3090だ。物理的な大きさから段違いで、大型冷却ユニットを備える3スロット厚のグラフィックスカードは圧巻。CUDAコア数は10496基で、動作クロックはブースト1.70GHz、TDPは350W、PCI Express 4.0をサポートし、グラフィックスメモリは24GBのGDDR6X。性能についてはTITAN RTXの1.5倍とされ、8K解像度にてリアルタイムレイトレーシングとDLSSを有効にして60fpsでゲームをプレイできる水準としており、だいぶ突き抜けた感がある。北米市場では9月24日に発売。性能が性能だけに価格も1499ドルと突き抜けてはいるが、TITAN RTXを考えると常識的な価格にも見える。

  • GeForce RTX 3090は1499ドルで9月24日に発売。世界初の「8KゲーミングGPU」とアピールしていた

  • 実際にリアルタイムレイトレーシングONの8Kでゲームをプレイする様子も公開

  • Jensen Huang CEOがGeForce RTX 3090を紹介している時の様子。カードはかなり大きく、ぶ厚く、重そうで、まるで鉄塊

■GeForce RTX 30シリーズの主なスペック
モデル RTX 3090 RTX 3080 RTX 3070
CUDAコア数 10496基 8704基 5888基
ブーストクロック 1.70GHz 1.71GHz 1.73GHz
メモリタイプ GDDR6X GDDR6X GDDR6
メモリ容量 24GB 10GB 8GB
消費電力 350W 320W 220W

ほか、今回のGeForce RTX 30シリーズの発表にあわせて、今後使えるようになる新技術・機能もいくつか公開された。ディスプレイのG-SYNCと組み合わせることもできる描画ラグ軽減技術「NVIDIA Reflex」や、AIも活用したゲームプレイ動画の配信機能「NVIDIA Broadcast」、既存ゲームエンジンを使って個人でオリジナルストーリーの映像作品をつくる(海外ではそういったニーズが割とあるらしい)ための「NVIDIA Omniverse Machinima」などだ。

注目したいのは「NVIDIA RTX IO」技術。ハイクオリティなオープンワールドゲームなどをはじめ、大容量のゲームデータを読み込まねばならないゲームは多いが、たとえ最新の高速SSDや多コアCPUを使ったとしても、現状ではロードとゲームアセットの解凍における「途切れのないゲーム体験」で、SSDとCPUがボトルネックになってしまうのは仕方のないことだった。このNVIDIA RTX IOでは、ロード画面でアイドル状態のGPUを使い、CPUの処理を肩代わりする。CPUの負荷は減り、I/Oパフォーマンスが向上、データの高速なロードと解凍を実現する。この技術はMicrosoftの次期DirectStorage APIと組み合わせることで使えるようになるとしていた。

  • 「NVIDIA RTX IO」技術の概要。ゲームデータをGPU側にロードしてCPUで20コア分に近い処理を肩代わりする