先だってGeForce RTX 2060 Super/2070 SuperのPreview、及びRadeon RX 5700/5700XTと絡めてのレビューをお届けしたが、7月2日の時点ではまだ評価ボードが用意されていなかった「GeForce RTX 2080 Super」も評価機が到着したので、まずはPreviewをお届けしたいと思う。

◆ 評価機材

パッケージはRTX 2060 Super/2070 Superとほぼ変わらず(Photo01,02)。カード自身も、"2080 Super"のロゴ以外はRTX 2070 Superと見分けが付かない。

  • Photo01: "2080 Super"のロゴ以外、RTX 2070 Superと区別がつかない(重さがほぼ同等なため)。

  • Photo02: こちらも同じく。Referenceなので色々凝ったパッケージは要らない、という事かもしれないが、一応Superシリーズのハイエンドなので少しは工夫が欲しかったところ。

このRTX 2080 Superのスペックはこちらの表に示した通りであるが、RTX 2080との差を簡単にまとめれば

  • TU104コアのままながら、全SM(48SM:3072 CUDA Core)を有効にした。RTX 2080は46SM(2944 CUDA Core)
  • 動作周波数を、Base:1515MHz→1650MHz、Boost:1710MHz→1815MHzに引き上げた
  • GDDR6チップを14Gbps→15.5Gbpsに交換
  • 価格は据え置き($699)

ということになる。

  • Photo03: ロゴ以外はRTX 2070 Superと見分けが付かず。

  • Photo04: 背面も同じく。ちなみにRTX 2080 SuperではNVLinkが有効な筈である(が、検証環境が無い)。

  • Photo05: 出力周りも変更なし。恐らくはロゴ以外は基本的にRTX 2070 Superと同じ部材(GPUチップとGDDR6チップのみが変更点で、基板は共通と思われる)なので、当然であるが。

  • Photo06: TDPは250Wということで、補助電源はこちらも8pin+6pin。

ここでポイントはGDDR6である。もともとGDDR6は昨年の早い時期からサンプル出荷が開始されており、昨年9月には14Gbpsのラインナップで本格的に量産がスタートしている。問題はその次で、例えばMicronの場合は10/12/13/14Gbps品を量産中で、速度を上げるよりはむしろ速度を下げたり電圧を下げたりして低価格化した方向にラインナップを広げており、SK Hynixも10/12Gbps品と12/14Gbps品の2種類のみがラインナップされている

唯一、Samsungだけがハイエンド方向に意欲的で、8Gbit品は12/14/16Gbpsを量産中、16Gbit品は14Gbpsが量産開始、16Gbpsがサンプル出荷中とされるのだが、この量産開始とされている8Gbit/16Gbps品の歩留まりがあまり宜しくない、という話はチラチラと聞こえてきていた。

実際、今回のRTX 2080 SuperにはSamsungのGDDR6チップが搭載されており(Photo07)、この8Gbit/16Gbps品が使われていると判断されるが、これが16Gbpsではなく15.5Gbpsと微妙な数字なのは、恐らく16Gbps品がまだ十分に取れないためだろう。ただ16Gbpsでは厳しくても、15.5Gbpsまで落とせばそれなりの量が確実に供給可能、という話でこうした妙な構成になったものと思われる。

まぁそれでもGPUコアの方は10%ほどの性能アップ(CU数の比×動作周波数の比が10~13%ほどになる)であり、これにあわせてメモリ帯域も10%ほどアップしている事になるので、これはこれでバランスの良い構成になっているとは思う。

ちなみにテスト環境は表1に示す通りである。今回は先のRTX 2060 Super/2070 SuperのPreview原稿の構成に、RTX 2080 Superを追加しただけで、それ以外は同じ構成である(本当はこちらの環境が用意出来れば良かったのだが、既に機材を返却してしまったので、Ryzen 9+X570の環境が間に合わなかった)。ただRTX 2060 Super/2070 Super用のドライバではRTX 2080 Superは稼働しなかったため、こちらは更新している。それと、Windows Updateが掛かってしまった結果として微妙にOSのバージョンが異なっている。

■表1
CPU Intel Core i9-9900K
M/B ASUS ROG STRIX Z390-F Gaming
BIOS 1005
Memory Corsair CML16GX4M2A2666C16
(DDR4-2666 CL16 8GB×2)×2
Graphics NVIDIA GeForce RTX 2060 Reference
ASUS TURBO-RTX2070-8G
NVIDIA GeForce RTX 2060 SUPER Reference
NVIDIA GeForce RTX 2070 SUPER Reference
NVIDIA GeForce RTX 2080 SUPER Reference
Driver GeForce Driver 430.86 DCH WHQL GeForce Driver 431.1561476336.16 DCH GeForce Driver 431.1563306776.56 DCH
Storage Intel SSD 600p 512GB(M.2/PCIe 3.0 x4) (Boot)
WD WD20EARS 2TB(SATA 3.0)(Data)
OS Windows 10 Pro 日本語版 Version 1903 Build 18362.175 Windows 10 Pro 日本語版 Version 1903 Build 18362.239

なお以下のグラフでの表記は

RTX 2060 : NVIDIA GeForce RTX 2060 Reference
RTX 2060 Super : NVIDIA GeForce RTX 2060 Super Reference
RTX 2070 : ASUS TURBO-RTX2070-8G
RTX 2070 Super : NVIDIA GeForce RTX 2070 Super Reference
RTX 2080 Super : NVIDIA GeForce RTX 2080 Super Reference

となっている。

◆ 3DMark

3DMark v2.9.6631
UL benchmarks
https://benchmarks.ul.com/3dmark

  • グラフ1

  • グラフ2

今回もプレビューということで、3DMarkと消費電力変動だけをお届けする。まずグラフ1・2がOverallであるが、負荷の低いIceStorm~SkyDiver(グラフ1)では、確かに一応RTX 2080 Superは最高速ではあるが、その性能差はRTX 2070 Superとそれほど大きくない。

明確に性能差が出てくるのは、やはり負荷が大きくなった時である。実際FireStrike以上(グラフ2)になると、RTX 2080 SuperとRTX 2070 Superのスコア差と、RTX 2070 SuperとRTX 2060 Superの差がほぼ同程度になっている。これだけのスコア差があれば、確かにRTX 2070 Superとの性能差は明白、としても差し支えないだろう。

  • グラフ3

  • グラフ4

グラフ3・4はGraphics Testの結果であるが、こちらも傾向はOverallに同じで、負荷の少ないIceStorm~SkyDiver(グラフ3)は、まぁそれでもNightRaid/SkyDiverでは多少スコア差は目立つ(10%程度)ものの、そう大きいとは言いにくい。が、FireStrike以降(グラフ4)はRTX 2060比で言えばスコアが1.5倍程度に大きく向上しており、RTX 2070 Superとの差も大きい。

  • グラフ5

グラフ5はFireStrikeのGraphics Testについて実フレームレートをまとめたものである。Performanceだと、RTX 2070 Super比でフレームレートが15fps前後アップ、というのは結構大きな数字である。ただ2.5KのExtremeだと7.5fps程度、4KのUltraだと4fps未満といったあたりで、2.5Kあたりまででゲームを楽しむ分には問題ない感じだが、4Kに関しては絶対的なフレームレートも30fpsそこそこだし、多少描画オプションで品質を下げるなどしないと、快適なプレイはちょっと難しい感じではある。

◆ 消費電力

  • グラフ6

  • グラフ7

その3DMark FireStrikeのDemo実施中の消費電力変動がグラフ6である。大体RTX 2070 Super比で30Wアップ、という感じであろうか。平均値をまとめたのがグラフ7であるが、若干待機時の消費電力が増えているのはやはり15.5GbpsのGDDR6のためだろうか? ただその差を考慮しても、まだ実行中の平均消費電力はRTX 2070 Superと比べても高めである。

  • グラフ8

待機時との差を取ったのがグラフ8で、280WというのはCPUの消費電力増分を加味すると、ほぼRTX 2080 Superは250WのTDP枠に近いところまで消費電力が上がっている様に思われる。まぁCUを増やし、動作周波数を引き上げ、更に15.5GbpsのGDDR6まで搭載しているので、逆にRTX 2070 Super比で25W程度の増分で済んでいるのはむしろリーズナブル、という見方もできるが。

◆ まとめ - 高性能GPUの選択肢を正当に増やしたと評価

ということで3DMarkと消費電力だけで恐縮ではあるが(機材の関係や筆者のスケジュールなどもあり、フルテストの予定は今のところ立っていない)、まぁこのレベルで言えば割と妥当な性能だと思われる。

GeForce RTX 2070 Super、あるいはRadeon RX 5700XTなどでは物足りないが、だからといってGeForce RTX 2080 Ti(原稿執筆時点のAmazonでの最安値はGIGABYTEのGV-N208TWF3OC-11GCが\137,061だった)はちょっと高すぎて手が出ない、というユーザーには$699のGeForce RTX 2080 Superは悪い選択肢ではないだろう。

国内価格はまだ不明だが、原稿執筆時点のGeForce RTX 2080のAmazonでの最安値は、MSIのGeForce RTX 2080 VENTUS 8G V2の\85,712だったから、RTX 2080 Superも当初はともかく時間が経てば9万前後で購入できるかと思う。GeForce RTX 2070 Superが大体6~7万の価格付けであり、これプラス2万、というあたりならまぁ妥当な範囲ではないかと思う。当初はご祝儀相場で10万超えの可能性もあるだろうが、落ち着いた辺りで狙うには悪くない選択肢になるだろう。