NVIDIAは米国時間の5月23日、YouTubeの公式チャネルに謎のティザー動画を公開した。"Something super is coming..."というタイトルの16秒の動画であるが、COMPUTEXとE3ではそれを伺わせる発表が一切なく、「あれは一体何だったんだ」という話になってきたところで、やっとそのSuperの中身が明らかにされた。

日本時間の7月9日より、NVIDIAは新しくGeForce RTX 2060 Super/GeForce RTX 2070 Superを発売する。他にGeForce RTX 2080 Superもラインナップされるが、こちらの発売日は7月23日に予定されている。

表1が、現在のGeForce RTX 2060/2070/2080と、GeForce RTX 2060 Super/2070 Super/2080 Superのスペックをまとめたものである。このうちRTX 2080 Superについてはモノが未登場のため、まだ詳細が明らかになっていない部分もあるが、基本的に価格は変わらずに、性能を一段引き上げたものになっているのが判る。

■表1
RTX 2060 RTX 2060 Super RTX 2070 RTX 2070 Super RTX 2080 RTX 2080 Super
搭載コア TU106 TU106 TU106 TU104 TU104 TU104
SM数 30 34 36 40 46 48
CUDA Core数 1920 2176 2304 2560 2944 3072
Base Clock 1365MHz 1470MHz 1410MHz 1605MHz 1515MHz 1650MHz
Boost Clock 1680MHz 1650MHz 1620MHz 1770MHz 1710MHz 1815MHz
Texture Unit 120 136 144 160 184 192
Texture Fill Rate 201.6GTexel/s 224.4GTexel/s 233.3GTexel/s 325.7GTexel/s 314.6GTexel/s 348.5GTexel/s
Memory Bus Width 192bit 256bit 256bit 256bit 256bit 256bit
Memory Bus Speed 14Gbps 14Gbps 14Gbps 14Gbps 14Gbps 15.5Gbps
Memory Size 6GB 8GB 8GB 8GB 8GB 8GB
TDP 160W 175W 175W 215W 215W 250W
Price $349 $399 $499 $499 $699 $699

この発表に伴い、既存のGeForce RTX 2070とGeForce RTX 2080は販売終息となり、今後はローエンドが引き続きGeForce RTX 2060のままだがミドルレンジがGeForce RTX 2060 Super、ハイエンドがGeForce RTX 2070 Superとなる。ちなみに表1に示していないGeForce RTX 2080 Tiは引き続きトップエンドの製品として販売継続される形だ。

この新しいRTX SuperシリーズについてNVIDIAによれば

  • GeForce RTX 2060 SuperはGeForce RTX 2060より平均15%、最大22%高速であり、GTX 1080より高速で、RTX 2070のパフォーマンスにほぼ匹敵する
  • GeForce RTX 2070 Superは、GeForce RTX 2070よりも平均16%、最大24%高速であり、GeForce GTX 1080 Tiよりも優れている
  • GeForce RTX 2080 SuperはRTX 2080よりも高いパフォーマンスを提供し、Titan Xpよりも高速

としており、にも関わらず価格を据え置きにしている。

まぁこれは言うまでもなく、Radeon RX 5700シリーズをターゲットとしたものだ。Radeon RX 5700 XTはGeForce RTX 2070比で最大22%高速、Radeon RX 5700はGeForce RTX 2060比で最大23%高速と説明しており、このGeForce RTX 2060/2070をGeFoce RTX 2060 Super/2070 Superに置き換えて迎撃しよう、という訳だ。

とりあえず今回は時間の関係で、製品紹介と非常に簡単なプレビューだけお届けしたい。

◆ 評価機材

まずは評価用に届いた製品をご紹介する。GeForce RTX 2060 Super(Photo01~06)は、ロゴを除くとGeForce RTX 2060と見分けが付かない。GPU-Zでの表記(Photo07)を見る限りは、定格動作の設定の模様だ。GeForce RTX 2070 Super(Photo08~13)も同様だ。GPU-Zの表記(Photo14)も同じくである。

  • Photo01: 外箱は従来のGeForce RTXシリーズと共通で、"super"のロゴが無いと、それと判らない。

  • Photo02: 内部の構造も同じく。

  • Photo03: 2つのファンの間が鏡面加工になったことと、"super"ロゴ入りが主な違い。

  • Photo04: 背面にも"super"ロゴが。ちなみに寸法は229mm×99mm×39mm、重量は969.1g(実測値)

  • Photo05: 出力端子はGeForce RTX 2060と同じくDisplayPort×2、HDMI×1、DVI-D×1、USB-C×1。

  • Photo06: 補助電源は引き続き8pin×1のまま。

  • Photo07: ただTexture Fill Rateの数字がNVIDIA発表のもの(224.4GTexel/sec)と合ってないのは何故だろう?

  • Photo08: こちらも"super"のロゴだけが従来からの相違点。

  • Photo09: 内部構造もやはり同じく。

  • Photo10: ファンの間が黒から鏡面加工に変わったのはこちらも同じ。NVLinkのコネクタカバーが背面側に見えるのがGeForce RTX 2070との大きな違い。

  • Photo11: TU106ベースからTU104ベースに変わった関係でNVLinkがサポートされた。ちなみに寸法は265mm×99mm(NVLinkカバー部を除く)×39mm、重量は1280.0g(実測値)。

  • Photo12: 出力端子は変わらず。

  • Photo13: 補助電源端子はGeForce RTX 2070の8pin×1から、8pin+6pin構成に。TDPが175W→215Wに増えたので、これは止むなしだろう。

  • Photo14: Photo07もそうだが、GPUの型番がGPU-Zのデータベースに無いためか、正しく表示されないのはまぁ製品出荷前だから致し方なし。

  • Photo15: パッケージはシンプルなもの。

  • Photo16: 1ファン構成だが、特に放熱などで問題は出なかった。

  • Photo17: 裏面はカバーなしで、このため基板の構造が良く分かる。ちなみに寸法は268mm×100mm×35mm(ヒートシンク固定のネジ部を除く)、重量は796.6g(実測値)。この位軽いとケースへの実装も楽なのだが。

  • Photo18: 出力はDisplayPort×2、HDMI×1、USB-C×1で、ちょっと物足りない。

  • Photo19: 補助電源は8pin+6pin構成。この角を斜めに落とした部分がデザイン上のアクセントになっている。

  • Photo20: スペックはReferenceと全く同じく。付属のソフトを利用すると、Boost Clockを1650MHzまで引き上げ可能。

さて比較対象用にはGeForce RTX 2060とGeForce RTX 2070を用意したが、GeForce RTX 2060は以前こちらのベンチマークテストで利用したReferenecをそのまま利用した。一方GeForce RTX 2070はリファレンスが用意できなかったので、ASUSよりTURBO-RTX2070-8G(Photo15~20)をお借りして利用した。

テスト環境は表2に示す通りである。NVIDIAはVersion 430あたりからDHCドライバの提供を開始しており、今回からこちらを利用している。

■表2
CPU Intel Core i9-9900K
M/B ASUS ROG STRIX Z390-F Gaming
BIOS 1005
Memory Corsair CML16GX4M2A2666C16
(DDR4-2666 CL16 8GB×2)×2
Graphics NVIDIA GeForce RTX 2060 Reference
ASUS TURBO-RTX2070-8G
NVIDIA GeForce RTX 2060 SUPER Reference
NVIDIA GeForce RTX 2070 SUPER Reference
Driver GeForce Driver 430.86 DCH WHQL GeForce Driver 431.1561476336.16 DCH
Storage Intel SSD 600p 512GB(M.2/PCIe 3.0 x4) (Boot)
WD WD20EARS 2TB(SATA 3.0)(Data)
OS Windows 10 Pro 日本語版 Version 1903 Build 18362.175

なお以下のグラフでの表記は

  • RTX 2060 : NVIDIA GeForce RTX 2060 Reference
  • RTX 2060 Super : NVIDIA GeForce RTX 2060 Super Reference
  • RTX 2070 : ASUS TURBO-RTX2070-8G
  • RTX 2070 Super : NVIDIA GeForce RTX 2070 Super Reference

となっている。

◆ 3DMark

3DMark v2.9.6631
UL benchmarks
https://benchmarks.ul.com/3dmark

今回はプレビューということで、取り急ぎ3DMarkと消費電力変動だけをお届けしたい。その3DMarkであるが、6月25日にPCI Expressベンチマークを追加したv2.9.6631がリリースされた。もっとも今回はプラットフォームがそもそもPCI Express 3.0対応のZ390だし、GeForce RTXシリーズもまだPCI Express 3.0対応ということで、こちらは実施していない。余談ながら7月9日までの限定セールで、3DMarkのAdvanced Editionが85%オフの$4.99で発売中(SteamまたはUL Benchmarkから購入可能。UL Benchmarkでは、更にPCMark Advanced Edition+PCMark 10 Advanced Edition+VRMarkを$8.99で発売というキャンペーンも実施中)である。

前書きはこの位にして、結果を。今回の場合CPUは共通(Core i9-9900K)なので、OverallとGraphics Testの結果だけを示す。まずOverall(グラフ1・2)であるが、

RTX 2060 < RTX 2060 Super≒RTX 2070 < RTX 2070 Super

という傾向が明白である。RTX 2060 SuperとRTX 2070の性能差は微妙なところであるが、この結果であればNVIDIAの言う「RTX 2070のパフォーマンスにほぼ匹敵する」にはほぼ納得できるものがある。今回GeForce RTX 2080は手配できなかったので、GeForce RTX 2070 Superの性能がGeForce RTX 2080にどの程度肉薄するのかは不明(NVIDIAもこれについてのコメントが無い)であるが、悪くない結果と言える。

この傾向は、Graphics Test(グラフ3・4)でも同じ、というかより顕著である。特に負荷が高いFireStrike以降(グラフ4)で言えば、RTX 2070 Superの性能は飛び抜けている。またRTX 2060 SuperはわずかとはいえRTX 2070を凌ぐ性能になっており、明確にRTX 2060と異なるパフォーマンス領域に達していると考えられる。

グラフ5はFireStrikeに限って、Graphics Testの実フレームレートをまとめたものである。FireStrikeの場合、DirectX 11ベースではあるが、Performance(1920×1080pixel:以下2K)/Extreme(2560×1440pixel:以下2.5K)/Ultra(3840×2160pixel:以下4K)と解像度が変化しており、それぞれ2K/2.5K/4Kゲームのフレームレートの代表例の一つとしても利用できる。これで見ると、RTX 2060は2Kなら楽勝、RTX 2060 Super/RTX 2070は2.5Kがなんとか、RTX 2070 Superは2.5Kが大分快適といった感じで、4Kは厳しいものの、2,5Kまでの解像度ならそこそこプレイできそうな感じである。

◆ 消費電力

その3DMark FireStrikeのDemo実施中の消費電力変動を測定したのがグラフ6である。なんというか、きっちり消費電力が性能に比例しているというか、RTX 2060 SuperとRTX 2070の消費電力が綺麗に一致しており、RTX 2060は一段低く、RTX 2070 Superは一段高く、という傾向が判る。

このグラフ6の稼働中の平均消費電力と、無負荷で待機中の消費電力をまとめたのがグラフ7、差を取ったのがグラフ8となる。このグラフ8にはGPUだけでなくCPUやMemoryの分も含まれるから、全部が全部GPUの電力という訳ではないが、まぁ概ね傾向としてはグラフ6の傾向がそのままという感じである。やはりRTX 2070 SuperはRTX 2080並といったところ。プロセスを変更せず、動作周波数やSM数を変更してるだけだから、性能を増やすと消費電力が増えるのはまぁ止むなしだろう。

◆ 考察

今回は時間も迫っているために、Previewとして3DMarkだけの結果をお届けしたが、確かに製品ランクが一段上がった形だ。NVIDIA自身のラインナップで言えば、

以前 今後
GeForce RTX 2080 Ti GeForce RTX 2080 Ti
GeForce RTX 2080 Super
GeForce RTX 2080 GeForce RTX 2070 Super
GeForce RTX 2070 GeForce RTX 2060 Super
GeForce RTX 2060 GeForce RTX 2060

という具合に、ハイエンド~ローエンドを4セグメントに分けていたものを、今回GeForce RTX 2080 Superを追加して5セグメントに分けたという形になる。一方、対AMDのラインナップで言えば、$379のRadeon RX 5700を$399のGeForce RTX 2060 Superで、$449のRadeon RX 5700 XTを$499のGeForce RTX 2070 Superでそれぞれ迎え撃つために、価格の差にふさわしい性能差を積み上げたというところだろう。厳密に言えば、GeForce RTX 2070 Superの対抗となるのは、動作周波数をやや積み上げた$499のRadeon RX 5700 XT 50TH Anniversary Editionなのかもしれないが、こちらは販売経路限定(AMD直販のみ)の製品で、あまり一般的ではないから、まぁRadeon RX 5700 XTが対抗馬ということになるだろう。

果たして「NVIDIAのこの目論見がうまく行くかどうか」の検証は、詳細なテスト結果を交えて後日お届けするので、もう少々お待ちを。