Fire HD 8でワイヤレス機器は活用できる?

ちなみに、Fire HD 8/Fire HD 8 PlusはどちらもBluetooth機能を備えているが、Bluetoothイヤホンをつないで音を聴くと音がこもる感じがあり、動画視聴時は明らかに口の動きとセリフが耳に届くタイミングが合っていない。Bluetoothのバージョンは5.0になっているものの、標準のSBCコーデック以外は対応していないようだ。マウスやキーボードをつなぐためと割り切ってもいいのだが、ワイヤレスオーディオ全盛の時代なのでもう少しがんばってほしかった。

今回、試しにクリエイティブメディアが発売している、USB Type-Cに直結できるBluetoothアダプター「BT-W3」(直販価格:税別3,980円)をFire HD 8 Plusにつないでみた。BT-W3は、aptXの他に低遅延なaptX Low Latency(aptX LL)、高音質なaptX HDコーデックに対応した製品で、メーカーがFireタブレットを対象機器として謳っているわけではないのだが、ShureのBluetoothケーブル「RMCE-BT2」+「SE215 SPE」の組み合わせで、特にタブレット側で設定することなくaptX LL接続で使えた。有線でイヤホン/ヘッドホンをつなぐのがわずらわしいという人は試してみる価値アリだ。

  • Fire HD 8 Plus

    Fire HD 8 Plusに、クリエイティブメディアのUSB-C Bluetoothアダプター「BT-W3」を接続。ShureのBluetoothケーブル「RMCE-BT2」+「SE215 SPE」を組み合わせたところ。アダプターのLEDの色で使用中のコーデックが分かる(白色は低遅延なaptX LL)。ワイヤレスでも動画やゲームプレイ時の音ズレがほぼなく快適。ただしメーカー推奨の利用方法ではない

もうひとつ、ゲーム関連でも発見があった。Fire HD 8/Fire HD 8 Plusにはゲームモードが新たに追加されたことで、タブレットでゲームを手軽に遊びたいユーザーの注目も集めていると思うが、Nintendo Switch向けのProコントローラー(プロコン)をタブレット側にBluetooth接続してゲームを遊ぶこともできた。これに加えて、ワイヤレスイヤホンを上記のBT-W3と接続させれば、完全ワイヤレスで手ごろなゲーミング環境ができるわけだ。

もっとも、筆者が試した限りではレーシングゲームやRPGの一部でしか遊べなかったが……。いずれもメーカー推奨の利用方法ではなく、ゲーム内で正しく動作するとは限らないことにも注意してほしいが、Fireタブレットでゲームを遊ぶことがほとんどなかった筆者としては、これを機に色々と遊んでみたくなった。

  • Fire HD 8 Plus

    Fire HD 8 Plusに、Nintendo Switch向けのProコントローラーを接続したところ(こちらもメーカー推奨の利用方法ではない)

Showモードで、Fireタブレットがスマートスピーカーに変身!

新しいFire HD 8/Fire HD 8 Plusは、従来モデルから引き続き音声アシスタントのAmazon Alexaに対応しており、画面に触れずにAlexaに話しかけて様々な機能が利用できる。また、本体を横向きに立てかけて置くと、フロントカメラが自然な位置(上)に来る新デザインを採用しており、画面表示をShowモードに切り替えると、タブレットながら画面付きスマートスピーカー「Echo Show」のように使える。

  • Fire HD 8 Plus

    Fire HD 8の2020年モデル(左)と、2018年モデル(右)を重ねたところ。フロントカメラの配置が変わっており、2020年モデルは本体を横にするとカメラが上部の自然な位置に来る新デザインになっている

  • Fire HD 8 Plus

    Fire HD 8 Plusを見てふと思いだし、引き出しの奥から引っ張り出してきた「Kindle Fire HD 16GB タブレット(第2世代)」(右下)。フロントカメラの配置が2020年モデルと似ている。購入履歴を見ると、この第2世代は2013年1月に買っていた

720p画質のビデオ撮影に対応したフロントカメラと、2メガピクセルのリアカメラを装備。ZoomやSkypeなどのアプリをダウンロードし、アカウント登録などの設定を済ませると、家族や友人とのビデオチャットに活用できる。

さらにプライム会員であれば、Amazonで購入したコンテンツやFireタブレットで撮影した写真を、容量無制限のクラウドストレージにバックアップできる。ただし昨今のスマホのほうがはるかに画質が高いこともあり、個人的にはFireタブレットのリアカメラはあまり使う機会が無い。このあたりの仕様に価格なりの割り切りがあると感じる。

  • Fire HD 8 Plus

    Fire HD 8とFire HD 8 Plusに、Zoomアプリをインストールして接続してみたところ。タブレットのフロントカメラを使い、自宅の4Kテレビから0.5m離した場所でテレビ画面を写してみたが、動画としてはまずまずの解像感だ

動画再生時は音の広がり感に好感を持てたが、Amazon MusicやSpotifyの音楽をじっくり聞くスピーカーとしては物足りないところがある。音の深みや低音の表現力が物足りず、さすがに「スマートスピーカー」としてきちんと設計されている製品には音質面で数歩譲る印象だ。とはいえ、特に女性ボーカルの曲はクッキリ綺麗に再生され、動画視聴やZoomなどビデオ通話で使うときも人の声がクリアに聞こえる。常識的な音量であれば、低音が目立ったり高音がキンキン響いたりといったこともなく、聞き疲れのしない音質に調整されているようだ。

  • Fire HD 8 Plus

    Amazon Music HDの音楽を流すと、「端末の性能」は48kHz/16bitと表示された

なお、AV機能ではないがFireタブレットを使っていて気になるのが、文字入力時のキーボード。ユーザーインタフェースは初期のFireタブレットのキーボードから変わり、機能強化もされてはいるが、個人的にはやはり入力・変換まわりが使いにくいので今回も使い慣れたATOKの有料アプリに頼った。筆者はATOK Passportを有料でサブスク契約しているが、Fireタブレットでは対応するアプリがストアに用意されておらず、Amazonのアプリストアで買い切り版のATOKアプリを購入することになった。最近はAlexaによる音声操作でキーボードに触れずにすむことも増えたが、ATOKアプリはやはり手放せない。

  • Fire HD 8 Plus

    Fireタブレット用のATOKアプリを入れてみた

  • Fire HD 8 Plus

    Fireタブレット用ATOKアプリの設定画面。iOS/Android版ATOK Passportアプリと大きな違いはなさそうだ