iPhoneに標準装備の「マップ」がアップデートされました。次のiOS 14では、電気自動車用のルート案内に充電スポットを表示するなど、大幅な機能向上が予定されていますが、その公開に先立ち、日本向け地図データを更新したのです。

今回のアップデートでは、いちから収集したデータをもとに再構成した地図データが使われています。公園の中の歩道がきちんと描かれるなど、地形をイメージできるほど詳細なデータが使われているため、アプリを起動して周囲を見渡せば違いは一目瞭然です。

見渡すといえば、ついに日本でも「ルックアラウンド」を利用できるようになりました。敢えていうなら、道路沿いの風景をパノラマ写真で確認できるGoogleマップの「ストリートビュー」のiOS版ともいえる機能ですが、実際に利用してみると印象はかなり異なります。

最大の違いは自然な操作性です。全画面モードで前進しようとすると、ストリートビューでは青い線上を手前方向にフリックしますが、ルックアラウンドでは進みたい方向をタップします。そのときの写真の切り替えが滑らかで画素の粗さが抑えられているため、自然な印象です。

ルックアラウンドは写真の画質にもこだわります。ストリートビューと同じ場所を見比べてみると、画素数に大きな違いは認められないものの、雲の白飛び(明るい部分の階調不足で白く塗りつぶされたように見える状態)に違いがあります。ストリートビューは雲がベタっと塗り潰されたような印象を受けますが、ルックアラウンドはHDR撮影を行っているのか、雲に微妙な階調があります。

ただし、2020年8月現在、対象地域は首都圏近郊(東京・千葉・埼玉・神奈川・茨城)、東海(愛知)、近畿(京都・滋賀・大阪・兵庫)の一部です。カバーエリアに差があるため、ストリートビューでは見られる場所がルックアラウンドでは見られないことは珍しくありません。この点については、データの拡充を待つしかありません。

  • 新しいマップアプリの「ルックアラウンド」、ストリートビューとどう違う?

    日本でも見られるようになった「ルックアラウンド」、ストリートビューとどう違う?