楽天モバイルが、自社回線を持つ国内第4の携帯通信事業社として船出しました。同日から提供を始めた、月額2,980円で楽天回線のデータ通信が使い放題で利用できる「Rakuten UN-LIMIT」のプランを筆者も導入してみました。

  • iPhoneでRakuten UN-LIMITを使いたいと考えて1年間無料で試せるキャンペーンに応募。4月8日のサービス開始から数日後にSIMカードが送られてきました

動作保証外。でも、手持ちのiPhoneで使いたい

Rakuten UN-LIMITのプランは楽天回線のデータ通信だけでなく、独自のコミュニケーションアプリ「Rakuten Link」による国内通話、海外から国内への通話が「かけ放題」になるほか、SMSの利用も国内外ともに使い放題で月額2,980円というパッケージになっています。

ただ、スタート当初は楽天回線エリアが東京・大阪・名古屋・京都・神戸をはじめとした一部地域に限られ、エリアを外れるとKDDIが提供するパートナーエリアに切り替わる仕様になります。楽天とパートナー、それぞれの回線のエリア分布は楽天モバイルのホームページに随時アップデートされる最新情報が公開されています。パートナーエリアでは、4月22日以降は5GB/月まで高速通信可能。コレを超えると、1GBずつ容量を買うか、1Mbpsまでの速度制限となります。

筆者が住んでいる地域はギリギリ都内の楽天回線エリア内だったので、サービス開始当初、300万人を対象とした1年間の利用料が無料になるキャンペーンに楽天モバイルの新規契約申し込みユーザーとして応募してみました。最初にかかる費用は事務手数料の3,300円(税込)だけで、Rakuten Linkを開通させると、楽天ポイントとして同額がバックされます。

端末は買わずにSIMカードのみのプランを契約しました。楽天モバイルが動作保証している端末の中には魅力的なものもあったのですが、筆者には今回、楽天モバイルのサービスを試すうえで明快な利用目的がありました。Rakuten UN-LIMITにおいては動作保証対象外であることが明言されているiPhone、iOS端末で使いたいと考えたのです。

SIM到着! 通信の質がよければ乗り換え

現在筆者はGoogle Pixel 4にワイモバイルのSIMカードを装着して、音声通話とデータ通信の両方に使っています。ワイモバイルは国内の3大キャリアが通話かけ放題のサービスを始める少し前、PHSの時代から10分以内の国内通話が回数制限なしで無料で使えるサービスを提供していました。当時フリーランスライターになったばかりの筆者には、電話料金の負担を最も低く抑えられるプランだったことからワイモバイルを契約。今でもなんとなく使い続けています。

iPhone 11 ProとiPad Pro(2018年/12.9インチ・第3世代)のセルラーモデルも、データ通信を中心に利用している筆者のメインツールです。それぞれSIMフリーのモデルにMVNOのドコモ回線SIMを装着して使っていますが、楽天モバイルのデータ通信が無制限に、かつスピードと接続品質が落ちることなく使えるなら、どちらかのMVNOを切って乗り換えようと考えています。

特に、仕事がらポータブルオーディオ機器を屋外で取材する機会も多いため、定額制音楽配信サービスの音源をiPhoneにダウンロードしなくても、セルラー回線を使って、データ通信容量のリミットを気にせず「聴き放題」で使える魅力は大きいと感じています。

今までにいくつかのMVNOが「データ容量無制限」をうたい文句に提供してきたサービスはどれも通信品質が期待外れでした。Rakuten UN-LIMITの本気度次第では、MVNOの回線をふたつとも解約して、iPad Proで家を離れて作業をする場面ではiPhoneで楽天回線のテザリングを活用する手もアリじゃないかと画策しています。

……とはいえ。以上の計画も、Rakuten UN-LIMITのSIMが筆者のiOS端末で動作しなかった場合はすべて絵に描いた餅になってしまいます。無事回線につながることを祈りつつSIMの到着を待っていました。途中筆者の申し込み段階でのミスに起因する紆余曲折を経て、予定より少し遅れてSIMが到着しました。

Rakuten Link非対応の制約もあるが……

繰り返しになりますが、楽天モバイルではiPhoneやiOS端末でRakuten UN-LIMITを利用する場合、動作保証の対象外であることをサイト等で明確に伝えています。MVNOの楽天モバイルが提供するドコモ回線・au回線のiPhoneも同様に動作は保証されていません。

  • 楽天モバイルのホームページではiPhoneやiOSデバイスがRakuten UN-LIMITの動作を保証する端末ではないことが明記されています

またコミュニケーションアプリのRakuten LinkはiOSのプラットフォーム自体に対応していないため、仮にデータ通信は動作したとして、iPhoneによる音声通話はFaceTimeやSkypeなど他の手段を模索する必要があります。

もし楽天回線をメインに据えて音声通話・データ通信をフル活用したい場合は、やはり楽天回線の対応機種を選ぶべきだと思います。

以上のことを踏まえた上で、以下筆者のiPhone / iPad Proによる楽天回線の開通奮闘記(?)をお伝えしましょう。いまサービスの申し込みを検討されている皆様の役に立てば幸いです。

国が新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言を発出したことにより、東京都内で外出自粛要請が出ているため、残念ながら本稿執筆のため取材をした時点では、楽天回線提供エリアの確認について、筆者が徒歩で移動できる範囲内での簡易なチェックにとどめています。この先に環境が落ち着いてきた頃、また改めて検証できたことがあれば報告したいと思います。