手持ちのカメラ&レンズの性能を生かせる「Camflix」

Camflixは、手持ちのデジタルカメラとマクロレンズを使用してフィルムをスキャン(撮影)するためのアクセサリーです。35mmフィルム用と120フィルム用があり、それぞれ標準マクロレンズ用と中望遠マクロレンズ用があります。ここでは、35mmフィルム対応の中望遠マクロレンズ用(FDA-135L)を紹介します。

  • 2019年11月に販売が始まった、焦点工房の「Camflix」。このように手持ちのカメラとレンズの先端にセットして使います。デジタル一眼レフの場合、ライブビューでの撮影が便利です。今回は、キヤノンのフルサイズ一眼レフ「EOS 5D Mark IV」とケンコー・トキナーのマクロレンズ「atx-i 100mm F2.8 FF MACRO」を利用しました

本体は、アウターチューブ(調整リング)とインナーチューブ(伸縮アダプター)に分かれており、アウターチューブ側の先端にフィルムホルダーをセットする「拡散板」があります。インナーチューブ側の先端はオスネジが切られており、マクロレンズのフィルター枠に装着します。対応するフィルター径は62mmで、フィルター径が合わない場合は市販のステップアップリングを使って装着します。

  • Camflixの部品を並べたところ。アウターチューブ(調整リング)とインナーチューブ(伸縮アダプター)、フィルムホルダーの3点とシンプルです

  • マクロレンズのフィルター径に合わせて別途用意したステップアップリング。写真はマルミ製となります

Camflixをマクロレンズに装着したら、写すフィルムが画面に収まるようにしてアウターチューブの位置を調整し、ピントを合わせます。光源は、写真用LEDライトや写真用のライトボックスがおすすめですが、なければライトスタンドなど用いるとよいでしょう。なお、光源によってはホワイトバランスに注意が必要です。ピント合わせはマニュアルフォーカスで合わせるようにしましょう。ライブビューで撮影すれば、画面で拡大ができるので、より正確にピント合わせができます。

  • フィルムホルダーにフィルムをセットします。スライドの場合、マウントされているものはマウントを外したのち、フィルムホルダーにセットします

  • 今回はライトボックスを光源として使いました。拡散板とライトボックスの距離は10cmほど。シャッターはケーブルレリーズを使うか、セルフタイマーを使うとより確実です

スキャンした画像のクオリティは期待以上!

フルサイズあるいはAPS-Cなどの大型センサーを搭載したデジタル一眼と描写性能に優れるマクロレンズを使用するので、画質的が高く満足できる結果が得られました。スキャン後の微調整を考えると、RAWフォーマットで撮るのがよいでしょう。

  • ポジフィルムからのスキャンです。RAWフォーマットで撮影し、微調整を行っています。メリハリのあるスキャン画像が得られました(キヤノンNewF-1・FD85mm F1.8 SSC・PROVIA)

  • こちらはカラーネガフィルムをスキャンしたものです。RAWで撮影し、現像時にクリックホワイトバランスを使いカラーネガ固有の赤みを除去。フォトショップで階調の反転を行っています(ミノルタX-700・RFロッコール250mmF5.6・フジカラー業務用ISO100)

  • 古いモノクロフィルムをスキャンしたもの。カラーネガフィルムと同様に、Photoshopで階調の反転を行っています。予想以上のよい結果が得られました(キヤノンFTb・FD50mm F1.8 SC・TRI-X)

重視するポイントを見極めて選びたい

液晶パネルを搭載しているKFS-14WSはスタンドアローンで使えるので手軽にスキャンでき、HDMIケーブルを使ってテレビや液晶ディスプレイの大きな画面でスライドショーが楽しめるなど、家族そろって広く活用できるのが魅力です。一方のCamflixは、マクロレンズやライトボックスなどを必要とするなど入門者向けとはいえない反面、高性能のカメラやレンズを用意すればクオリティの高いスキャンが可能なのが魅力です。

両者の特徴をひとことで述べれば、「誰でも手軽に使えるKFS-14WS」と「高画質でスキャンできるCamflix」といったところでしょうか。重視するポイントを見極めたうえで、自分に向いた製品を選ぶのがよいでしょう。実勢価格は、KFS-14WSが税込み2万円前後、35mmフィルム対応で中望遠マクロレンズ用のCamflixが税込み1万5千円前後と、いずれも比較的リーズナブルです。

若かりしころに撮影した懐かしいフィルムから最近撮影したフィルムまで、この機会にぜひスキャンして使い勝手のよいデジタルデータにして楽しんでみてはいかが?

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