落合カメラマンが「2019年で個人的に一番インパクトがあったカメラ」と評価した、ニコンのAPS-Cミラーレス「Z 50」。久々に“同じカメラの2台買い”をしてしまったほどのお気に入りぶりだそうです。日々2台のZ 50を肩から提げて使い込んでいる落合カメラマンに、改めてZ 50のデキを濃厚にレビューしてもらいました。
フルサイズ機と比べても“格下感”のないZ 50
コチラのファーストインプレッション記事「格下感のない仕上がりにゾッコン」でもチラリと触れているとおり、誠にお恥ずかしながら(?)ニコン「Z 50」を2台買いしちまったオチアイでございます。
いや、ホントにもう赤面ものですわ。だって、「一眼レフ、ミラーレスの別を問わず、レンズ交換式のフルサイズモデルをラインアップしているメーカーが同一カテゴリーでAPS-Cモデルもそろえているのって、もうそろそろいいんじゃない?」みたいな乱暴なことをチラチラ口にしていた最近の私なので。
でも、Z 50には「これならフルサイズの下にいるAPS-Cもアリだなぁ」としっかり思わされてしまった。“上”に立つフルサイズモデルとの比較で明らかにちっちゃくて軽いことに加え、「写り(仕上がり画質)に“上”との差があまりない」「柔らかでありながらキレの良さも兼ね備える撮影感触が気持ち良い」「動体を撮るのに十分なAFの実力を有している」などの要件がナニゲに備わっていたからだ。「Z 6」や「Z 7」が存在することを前提としつつ、立ち位置がちゃんと独立し、しかも満足できるレベルでしっかり成立しているのである。
ボディが小さくてもファインダーは小さくない
また、Z 50と同じく「小型軽量」をウリにしているAPS-C一眼レフ(エントリー系モデル)との比較では、ファインダーに関しこちらの方が数倍、良い印象をもたらすという新たな発見もあった。一眼レフが持つ優位性のひとつとして「光学ファインダーの魅力」を挙げることが少なくない今の時代なのだけど、ニコンでいうなら「D3000」シリーズのトンネルの向こうを覗き見るような、あまりにも小さい見え方をするファインダーで「これぞ光学ファインダーでござい!」と胸を張るのは、どう考えても逆効果。それならば、Z 50のEVFをオススメした方がアナタもワタシもミンナ幸せネ、なんてことを思った次第であります。
Z 50のファインダーは、ボディ自体が小さくてもドンとでっかく見えるように作られている。視野率も100%だ。表示クオリティそのものは、さすがにZ 6、Z 7には及ばずも、このクラスのカメラとしては十二分に及第点。中級機、あるいはそれ未満のポジションに立つレンズ交換式カメラで、「小型軽量」であることと「ファインダーのクオリティ」を高次元で両立しようとした場合、現在は一眼レフよりもミラーレス機の方が圧倒的に有利であり、しかもそれはAPS-Cサイズのセンサーを採用しているモデルでこそ明確な差を生むことになる……そのことを実際に使ってみて思い知らされてしまったのだ(フルサイズ同士の比較だと、また事情が違ってくることもあるだろうけれど)。
要するに、「小さくて軽くて想像以上によく写ってお値段ソコソコ」。D5600の実売価格からするともう少し安い方が嬉しいような気もするけれど、中身(できること)が実質D7500並みかそれ以上であることを考えると、妥当な値付けであると捉えることにもさほど苦労は伴わないだろう。つまり、存在に伴う各種バランスがヒジョーにヨイのだ。そして、それは「デキすぎなキットレンズ」が両脇を固めているからこその“実感”でもある。