新デバイスを多数発表、Google Playは非搭載

折りたたんで6.6インチ、開いて8インチの画面サイズなどの基本スペックはほとんど変化はありません。折りたたみができるフレキシブルディスプレイは、2層のポリイミドが採用されており、1層よりも80%強くなり、非常に堅牢なディスプレイだとアピールされています。

  • Mate XとGalaxy Foldの違い

  • ジルコニウムをベースにした液体金属を採用した「はやぶさの羽根のデザイン」を模したというヒンジ部は、チタン合金よりも30%堅牢になったそう。堅牢なヒンジで壊れにくい点をアピール

  • 新SoCの特徴とSnapdragonとの比較。SoCは従来のKirin 980+Balong 5000モデムからKirin 990 5Gに変更され、CPUは23%、GPUは39%、NPUは460%、それぞれパフォーマンスが向上。消費電力もCPUで23%、GPUで32%、NPUで290%効率化したそうです

ライバルとなるQualcommのSoCに比べて、製造プロセスの7nm化が早く、極端紫外線(EUV)も採用しているという先進性をアピール。Snapdragon 865+X55モデムに対して5GのパフォーマンスやAIの性能が高い点を強調しています。Kirin 990 5Gでは、5Gの対応バンドとしてN79/N78、N77、N41、N38、N28、N3、N1までサポートできるとしています(ただし、初期はN41とN78のみで、後日アップデートで他のバンドをサポートするようです)。

下り通信速度は1,399Mbps、上りは83Mbpsとなり、Galaxy Fold 5Gに対してそれぞれ88%、36%の高速化を実現している点も強みです。

  • 他社よりも高速、というアピール。一方バッテリー消費は抑えられ、5Gのヘビーユースの場合、Mate XやGalaxy Fold 5Gが6.2〜6.4時間だったのに対して、7.5時間の駆動時間を実現するそう。バッテリー容量は4,500mAhですが、55Wの超急速充電により85%の容量まで30分で充電できるとしています。カメラは独ライカカメラとの協業によるクアッドカメラですが、スペック的にはMate Xと同等のもよう

  • 新機能としては、Android 10ベースのEMUI10になったことで新たなマルチウィンドウ機能が使えるようになっています。画面を分割して2つのアプリを起動し、ドラッグ&ドロップでファイルやテキストをコピーすることもできます。3つ目のアプリはウィンドウとして起動することも可能です

欧州では2020年3月の発売。メモリ8GB、ストレージ512GBで価格は2,499ユーロ。米政府の政策によってGoogle Mobile Services(GMS)が使えないため、Google PlayをはじめとしたGoogleサービスが利用できない状態で、約30万円という価格がどのように評価されるかが気になるところです。

同様に発表された「MatePad Pro 5G」も、M-Pencilによる手書き入力や4スピーカー、5マイクの搭載、ワイヤレス充電などに加えて5Gを搭載する魅力的な端末ですが、こちらもGMSは非搭載。その分、価格が抑えられて5Gモデルなら799ユーロ(約96,000円)から購入できます。

AppGalleryを拡充、世界の企業に参加呼びかけ

PCや無線LANルーターなども発表したことで、1+8+N戦略に沿った新製品を次々と発表したYu氏ですが、今回の発表会における最大のテーマと言えるのが、Huawei AppGalleryです。これはGoogle Playと同様のアプリ配信プラットフォームとして同社が提供するものです。

GoogleのGMS(Google Mobile Service)と同様に、HuaweiはHMS(Huawei Mobile Services)を提供。そのアプリ配信プラットフォームとしてHuawei端末向けにアプリを配信できるプラットフォームがAppGalleryです。

日本を含む170カ国で利用可能で、1カ月あたりのアクティブユーザー数は4億人を突破。HMSコアとしてブラウザや音楽、ウォレットなどの標準アプリも用意されており、各地のトップベンダーをパートナーとして迎えてアプリ配信を行っています。

  • Google Playを備えるGMS、App StoreのiOSに並ぶプラットフォームとしてのAppGalleryとHMSコア

  • 多くの国で提供されるAppGalleryは利用者も多い

ほかに「HUAWEI Quick App」として、アプリをダウンロードしてインストールしなくても使える機能も提供。1GBのストレージで本来は20程度のアプリしかインストールできないところを、2,000以上のQuick Appを利用できるそうです。

  • 地域のトップベンダーをパートナーに

  • Quick Appによってインストールしなくてもアプリが利用できます

すでに1,700以上のアプリがQuick Appに対応。既存の3億5000万台のHuaweiスマートフォンがQuick Appを利用可能な状態にあるといいます。

  • Quick Appはマルチデバイスで動作し、スマートフォンだけではありません

Google Playがない中、HMSコアとAppGalleryはHuaweiの生命線の一つと言えるでしょう。開発者にとっては、既存のHuawei製端末だけでなく、Google Playが使えない端末に対してもアプリが配信できるようになり、アプリの提供範囲が拡大できます。HMSコア4.0ではデベロッパー向けに各種APIなどの提供をさらに拡大。例えばカメラキットでは、夜景モードやボケ、50倍ズームといった機能をアプリから活用できます。

  • HMSコアに用意された各種API

  • 例えばカメラキットではこのような機能が利用できます

Googleへの対抗ではなく「新たな機会を提供」

「Huaweiは、欧州、そして世界中のアプリ開発者がHMSに参加することを歓迎します」とYu氏。「Huaweiは10年に渡ってGoogleとともにAndroidエコシステムをより良くするために活動してきました」とアピールするYu氏は、今後も米国企業を含むパートナーに価値を提供していきたいと強調。HMSコアやAppGalleryがGMSの代わりや対抗ではなく、新たな機会の提供であるという認識を示します。

  • プライバシーやセキュリティを重視している点も紹介

  • 各地で開発者向けの多額の投資やイベントも開催。開発者の確保を推進しています

「テクノロジーだけが、世界をより良いコネクテッドワールドに移行してくれる」というYu氏の言葉は、政治的摩擦による影響への苦慮と不満が混じり合ったもののようにも感じられました。

そして最後の最後でYu氏は、「3月26日に、パリでフラッグシップスマートフォンのHUAWEI P40シリーズを発表する」と明言。新型コロナウイルスの影響など、難しい状況下にありながら、当初の予定通り発表会を開催することをアピールしました。