これからの10年、「Galaxy S20」シリーズ

続いて、盧泰文(ノ・テムン)氏がステージに登場。モバイル部門のトップ(IT&モバイルコミュニケーションズ部門無線事業部社長)だったDJ Koh氏の後を継いだノ・テムン氏、英語表記はTM Rohとなるようです。

  • Galaxy S20 Ultraを掲げるTM Roh氏

TM Roh氏は「新たな成長と変革の10年をスタートさせる」とし、「今このとき、この場から、モバイルのイノベーション新時代を開始します」と宣言しました。

そうして「Galaxy S20シリーズ」を紹介するTM Roh氏。ステージを撮影していたビデオカメラに近づくと、そこにあったのはGalaxy S20。ステージを撮影して巨大スクリーンに投影していた映像は、ずっとGalaxy S20で撮影していた――というインパクトのある演出によって、カメラ性能をアピールします。

  • 5Gについて説明するTM Roh氏。右端に写っているのがステージを撮影するカメラ。メーカー名を隠したカメラかと思いきや……

  • ケース内にGalaxy S20が入っていて、カメラ機能の映像をステージ上のスクリーンに映したり、配信したりしていたようです

Galaxy S20シリーズは、ノーマルモデルのS20、大型ディスプレイやカメラを強化したS20+、そして「プロレベルのカメラ機能」とするS20 Ultraという3モデルを用意。さらに、Samsungがスポンサーとなっている東京五輪とコラボレーションした「S20+ 5G Olympic Games Athlete Edition」も用意します。アスリートエディションなので参加選手向けですが、東京五輪では選手たちが日本でも5G通信を利用できそうです。なお、現時点でGalaxy S20シリーズの日本発売は明らかにされていませんが、いずれかのモデルの発売は間違いないでしょう。

  • オリンピック参加選手向けのS20+ 5Gも投入されます

Galaxy Sシリーズは2019年のS10で10周年となり、今回は「次のGalaxyの10年」というビジョンのもとで開発されたそうです。説明を引き継いだSamsung US Mobile Product Managementのトップ、Drew Blackard氏は、5GやAIの説明をした上で、Galaxy S20シリーズで重要視した機能としてカメラ機能を紹介します。「世界中のスマートフォンユーザーに、カメラで何が最も重要かと質問したところ、まったく同じ答えが返ってきました。品質、品質、品質です」とBlackard氏。とにかく品質を重視したことをアピールします。

  • S20で重視したのはカメラ機能

Blackard氏は、「完璧な撮影条件下では、素晴らしい写真を撮影できるようになっています」としますが、写真を撮影する状況はさまざまで、必ずしも最高の環境で撮影できるわけではありません。Galaxy S20の中で特にカメラを重視した「Galaxy S20 Ultra」は、そうした課題にチャレンジした製品というわけです。

まずは解像度。高解像度のほうがより精細な写真を撮れます。S20 Ultraは、1億800万画素という超高解像度のセンサーを備えており、写真の一部を切り出しても十分い高精細です。

  • 高画素で撮影されたS20の画像。正面の2人がメインの被写体ですが……

  • 後方に面白いシーンが撮影されていました。これを拡大して、さらにキャプチャし直してもう1枚の画像にできます

  • 高画素を生かした30倍ズームを実現。これはS20/S20+ですが、S20 Ultraは100倍まで対応します

しかし、高解像度になるほど、センサーの画素ピッチは小さくなり、暗所撮影などでノイズが多くなってしまうなどの弊害があります。そこで、9つの画素を1つの画素として扱う「ナノビニング」技術を採用し、S/N比を改善してノイズの少ない明るい写真を撮れるようにしました。

  • S20 Ultraのメインカメラは1億800万画素。9つの画素を1つとして扱って、1,200万画素で撮影するナノビニング技術を搭載します

S20 Ultraはさらに100倍という超望遠ズームが可能です。デジタルズームではありますが、画像処理を駆使することで、通常のデジタルズームより高画質にしているとアピールします。

  • 会場内で撮影。これは標準の画角。ここから奥に見える明るい出入り口にズームしていきます

  • 30倍までズームすると、入口の人が見えるようになりました

  • 100倍まで近づくと文字がここまで拡大されました

  • 撮影したものを再生してみると、ギリギリ「NO RE-ENTRY」と読めそうです

ほかにも、シングルテイクや8K動画撮影機能など、新たな仕組みを盛り込んでいます。これまでGalaxy Sシリーズのカメラは、高画質ながら機能としては比較的シンプルだった印象。今回のGalaxy S20シリーズでは、複数のレンズ、AI、ハードウェアを組み合わせることで、新たなスマートフォンカメラを実現していると感じました。

  • 一度の動画撮影で複数の動画や写真をAIが自動判別して撮影してくれるシングルテイク

  • 8K動画は、現時点ではやや過剰な気もしますが、8K映像の解像度は7,680×4,320ピクセルにもなり、静止画として切り出しでも3,300万画素。30フレームの連写と考えれば、動画から静止画を切り出せばシャッターチャンスを逃しません。こうした考え方はパナソニックのカメラ「LUMIX」(一部機種)なども採用していますが、いち早く8Kに対応した点がポイントでしょう

Galaxy S20に合わせて、GoogleやNetflixとのパートナーシップを強化します。S20の5GモデルはGoogle Duoと電話アプリを統合し、ビデオ電話をフルHD品質で楽しめるなどの機能を搭載します。YouTubeでは、S20で撮影した8Kビデオをアップロードできるようにしました。

  • SamsungのNetflixが協業を強化。オリジナルコンテンツなどを提供します

  • GoogleとはDuoなどで、MicrosoftとはXboxのゲームなどで協業を強化

  • Spotifyとの協業では、新しい完全ワイヤレスイヤホン「Galaxy Buds+」からコントロールできるようにするといった構想

Netflixは、オリジナル動画をS20ユーザーに提供。動画の撮影はS20で行うそうです。さらに音声アシスタントのBixbyなどを使って、Netflixのコンテンツを簡単に発見できるようにします。

最後にTM Roh氏は、「Galaxy S20から始まるこの10年で、モバイル業界の成長と、人々が世界の体験を変えられると信じています」とまとめ、さらなるGalaxy Sシリーズの進化を強調しました。

  • Galaxy S20シリーズの発売は3月6日から。価格はS20が999ドル、S20+が1,199ドル、S20 Ultraが1,399ドル

  • さらに、Galaxy S10シリーズを値下げ