NTTドコモは1月30日、2019年度 第3四半期決算を発表しました。新料金プラン『ギガホ』『ギガライト』の導入により、今期も減収減益となっています。登壇した代表取締役社長の吉澤和弘氏は「キャッシュレス決済について」「KDDIによる10億円キャンペーンについて」「5Gサービスのローンチ時期について」「スーパーアプリについて」「ドコモショップの不適切メモ問題について」コメントしました。
今期も減収減益「新料金プランの影響」
ドコモの第3四半期 決算は、営業収益が(前年同期比1,381億円減の)3兆5,160億円、営業利益が(同1,142億円減の)7,879億円でした。吉澤社長は「新料金プランによるお客様還元の影響により、減収減益の決算です。年間業績予想に対しては、順調に進捗しております」と説明しました。
ドコモの還元キャンペーンは?
吉澤社長は、記者団から寄せられた質問に回答していきました。
キャッシュレス決済について、QRコード決済の利用を促進するキャンペーンを行っているが、非接触型の決済はどうなるのか、またキャンペーンにより会員は定着するのか、といった質問には「非接触型決済は、お店からすると効率の良い決済手段。私たちも、数十万という店舗にリーダーライターを設置していますし、これからも力を入れていきます。一方で、d払いのようなQRコード決済も、お店からするとシステムの導入コストを抑えられるし、クレジットカードを持たないお客さんも手軽に利用できる。場所、シチュエーションを考えたときに対応しやすいので、いま各社でも、QRコード決済の利用を促進するサービスに注力しています。うちでも、お店もお客さんも手軽に利用できるメリットを伝えるキャンペーンをやっています。ただ、普段使いできる場所が増えないと普及しない。加盟店さんを広げる努力も続けています」と回答。
そして、先日のKDDIの発表を念頭に「いま、各陣営(各社)でキャンペーンをしていますが、私どもはあまりその、毎週10億円を還元するとかですね、そんなキャンペーンをやるつもりはありません。ドラッグストア、コンビニなど、ある程度絞りながら継続的にキャンペーンを行っていきます。継続的に使っていただくために、そうした打ち出し方をします。ただ、現在の各社によるキャンペーン合戦は、もう少し続くのでは。エコシステムの広がりを確保するまで、もう少しキャンペーンが必要なのかなと考えています。正直を言えばQRコードのd払いも、まだ黒字ではありません。各社によるキャンペーン合戦がどのくらい続くのか、まだ分かりません」と回答しました。
dポイントをau WALLETポイントに交換も?
この日、リクルートとdポイントで連携することが発表されました。リクルートの「HotPepper」「HotPepper Beauty」「じゃらん」などのサービスでdポイントを貯める・使うことが可能になります。これについて聞かれると「スタートは、第3四半期を予定しています。Pontaポイントを使うのかdポイントを使うのか、お客さんに選んでいただく形になると想定しています」。
なぜ提携先にリクルートを選んだのか、については「様々なパートナーさんと話をしていく中で、会員数の規模が大きかったことが挙げられます。じゃらんなど、各種サービスを使っている方のビヘイビアを、マーケティングに活用していける。対象店舗数が約20万あり、データ連携していけるのが大きな狙いです」と回答しました。
また、dポイントとPontaポイントは相互交換が行えるが、Pontaポイントはau WALLET ポイントとも相互交換を始めるため、dポイントをau WALLETポイントに交換する利用者も出てくるのではないか、との指摘には「現状では、交換できるカタチになっています。今後の予定に関しては、これから検討していきます」。
5Gはいつ始まる?
5Gサービスのローンチ時期を『今春』としたままだが、具体的な時期は決まったのか、という質問には「いまの段階では、ローンチの時期は……。春です(笑)。詳細がまだ決まっていないのですが、ローンチの前には発表会をやりたい。料金、サービス、ソリューションの内容、対応端末、どういったものが出るのかお話します。今それに向けて準備し、ネットワークの試験をしているところです」。
昨秋から様々な『5Gプレサービス』を行ってきたドコモですが、3月18日にはアーティスト出演のイベント会場で「8K VRライブ」の生配信を行う予定。これについて3月18日の段階でも、まだプレサービスなのか、との指摘には「春は3、4、5月とありますから」と回答していました。
MoPAはどうなった?
QRコード決済について、仕様を共通化する動きはどうなったのか、との質問には「いわゆるMoPA(Mobile Payment Alliance)ですね。LINEさんPayPayさん統合の話があり(活動は終了し)ました。ただ、QRコード決済を共通化する動きは良いこと。いまも仕組みは残っています。今後さらにアソシエーションを作って活動していくかは不明。関係は解消されましたが、それをどうするか、今後の検討課題になります」。
ヤフーとLINEが経営統合を発表し、メルカリがOrigamiを買収すると発表しました。こうした業界の動きをどう見ているか、と聞かれると「国内でキャッシュレスの利用率をもっと高めよう、という機運で進めています。今後も、各陣営とも加盟店の開拓、キャンペーンなどは進めてくると見ています。ただ、そうは言ってもキャンペーンはコストもかかる。コストをかけるだけの、回収するためのビジネスがなければいけない。闇雲に陣営が成立するものでもなく、ある程度は収斂していくのでは。そう遠くはない時期に、という見方です」。
来年度は5Gがフックになる?
新料金プランの導入により減収しているが、来年度の見通しは、との質問に「新料金のギガホ、ギガライトによるお客様還元の影響は続きますが、一方で、従来プランの月々サポートを廃止したことによって、そちらのマイナス影響は小さくなっていく。マイナスを打ち消すということです。また、金融決済関係、これが伸びている。法人のソリューションも伸びている。スマートライフ領域の成長によって全体をリカバリーしており、来年度もそれを伸ばしていきます。5Gがローンチすることで、それをフックにデータ利用も促進したい。還元のマイナス影響もありますが、そうしたことを含めてバランスよく対応することで、来年度の利益を確保していくことだと思っています」。
スーパーアプリについて
先日、KDDIではスーパーアプリにサービスを集約していくという説明があったが、と聞かれると「auさんの先日の発表ですね。私どもは、あまりスーパーアプリという言い方はしませんし、スーパーアプリの定義もよく分かりません。d払いには先日、ウォレット機能を追加しました。日常的に使い勝手の良いウォレットアプリにしていく、ということですね」と吉澤社長。
そして「お店のアプリを各々立ち上げずにミニアプリを使うことで、決済、注文も行える。例えばマクドナルドでも、ミニアプリで注文できて決済できて、あとは取りに行くだけになる。あるいはウォレット機能で送金したり、ポイントを送り合ったり、そうした機能を今後も拡充していきます。これも、あれも、それも、と金融関係のサービスなどを1つのアプリに入れていくのも、方向性としてはあるとは思いますが」と回答しました。
不適切メモ問題、どう受け止めた?
ドコモの携帯ショップで不適切メモが問題になった、との指摘には「お客様を侮辱する案件が出たということで、1人のショップ店員、1つの代理店の問題ではなく、ドコモのこととして、重く受け止めています。営業担当者全員、ショップスタッフ全員にも繰り返し、しっかりと研修しながら、こうしたことが2度と起こらないように最大限の努力をしていきます。今回の件は、本当にあってはならないもの。再度、お詫び致します」と話していました。