Core-X(Cascade Lake-X)と第3世代Ryzen TPの決着をつける
「【暫定レビュー】」と銘打った評価記事をリリースしてから1カ月以上経過してしまったが、完成版をお届けしたいと思う。ちなみに前回の最後で「『可能なら』Core-Xの下位モデルも追加したいと考えている。乞うご期待。」と書かせていただいたが、残念ながら叶わなかった。というわけで、IntelのCore-Xに関してはCore i9-10980XEのみである。その代わり...にもならないのだが、評価対象としてThreadripper 2990WXも追加させていただいた。
◆評価機材とテスト環境
基本的には今回のテストは前回の環境にRyzen Threadripper 3960X(Photo01~04)とRyzen Threadripper 2990WXを追加しただけである。ただ前回は紹介しなかったテストをいくつか追加している。
■表1 | ||||
CPU | Ryzen 9 3900X Ryzen 9 3950X |
Ryzen Threadripper 2990WX | Ryzen Threadripper 3960X Ryzen Threadripper 3970X |
Core i9-10980XE |
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M/B | ASUS ROG CROSSHAIR VIII HERO(Wi-Fi) BIOS 7507 |
MSI MEG X399 Creation BIOS 7B92v13 |
ROG ZENITH II EXTREME BIOS 0601 |
ROG RAMPAGE VI EXTREME ENCORE BIOS 0224 |
Memory | CFD W4U3200CM-16G (DDR4-3200 CL22 16GB×2) |
CFD W4U3200CM-16G (DDR4-2933 CL21 16GB×4) |
Corsair Dominator Platinum RGB DDR4-3600 64GB (DDR4-3200 CL16 16GB×4) |
CFD W4U3200CM-16G (DDR4-2933 CL21 16GB×4) |
Video | GeForce RTX 2080 SUPER Reference GeForce Driver 441.12 DCH WHQL |
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Storage | Intel SSD 660p 512GB(M.2/PCIe 3.0 x4) (Boot) WD WD20EARS 2TB(SATA 3.0)(Data) |
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OS | Windows 10 Pro 日本語版 Version 1903 Build 18362.449 |
テスト環境は表1の通りである。OSはまだWindows 10 Version 1903のままとなっている。ちなみに以下のグラフにおける表記は
Ryzen 9 3900X:R9 3900X
Ryzen 9 3950X:R9 3950X
Ryzen Threadripper 2990WX:TR 2990WX
Ryzen Threadripper 3960X:TR 3960X
Ryzen Threadripper 3970X:TR 3970X
Core i9-10980XE:i9-10980XE
とした。解像度の表記やテスト手順などは前回と一緒なので今回は割愛する(今回追加したテストを除く)。
◆PCMark 10 v2.0.2144(グラフ1~6)
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/pcmark10
ではまずPCMark 10から。Ryzen Threadripper 2990WXが入ったおかげで、相対的にCore i9-10980XEがあまり遅くない様に見えるマジックが発生しているが、まぁそれはそれとして。とりあえず以前も書いたが、普通の処理にはRyzen Threadripper 2990WXはまるで向いておらず、実際今回もEssentialsのスコアが5000を切っている(PCMark 10はReference構成のスコアで5000となる様に係数を調整されている)あたり、要するにこのReference構成にも劣る程度の性能しか出ないということになる。これがRyzen Threadripper 3900シリーズでは極めて高い(Ryzen 9 3900シリーズと同等の)性能、というあたりはやはり元々のRyzen Threadripper 2900シリーズの構成に無理があったというべきか。
個々のテスト結果(グラフ2~6)も前回からあまり評価は変わらない。ほぼすべての項目でRyzen Threadripper 2990WXが一番スコアが低く、一方Ryzen Threadripper 3960XはRyzen Threadripper 3970Xに少し劣るといった程度のスコアにとどまっており、概ね前回と同等という感じだ。
それはいいのだが、たとえばグラフ5のPhoto Editingとかグラフ6のExcelで、Core i9-10980XEのスコアがRyzen Threadripper 2990WXと同等というのは、勿論価格を考えればCore i9-10980XEの方がコストパフォーマンスは良いという議論はあるにしても、ちょっとこうしたテストでCore i9-10980XEの成績が振るわない理由をもう少し検討する必要がありそうだ。
◆CineBench R20(グラフ7)
Maxon
https://www.maxon.net/
Single CPUはまぁ動作周波数なり、というところ。一方Multi CPUでは、さすがにコアの数が多い分Ryzen Threadripper 2990WXがかなり健闘している。ただ全コアフル稼働だから、動作周波数は最終的に限りなくBase Clockの比になる訳で、Base 3GHzのRyzen Threadripper 2990WXは、Base 3.7GHzのRyzen Threadripper 3970Xに比べると分が悪いのは致し方ないところ。実際Base Clockの比(23%)とスコアの比(25%)が大体同じ程度、というあたりもこれを裏付けていると思う。
それにしても、18コアのCore i9-10980XEが16コアのRyzen 9 3950Xにやや見劣りするのは解せないところではある。