ワタシの親父は、大手通信機器メーカーでカーナビやカーステレオの開発に携わっていた。クルマに積んだときの状態を実際にチェックする必要があり、いろいろなクルマに乗る機会が多かったわけだ。人よりもちょっとクルマのことを知っていた親父の口癖が、「国産車のシートはフワフワしていて疲れる。だが、外国車のシートは硬めながら長く乗っていても疲れない。俺は腰痛持ちだけど、ベンツなどのドイツ車ならヘッチャラなんだ」。

何度となくそういう話を聞いてきたこともあり、普通免許も取れない学生時代から「ガイシャはひと味違う存在」的な意識を持っていた。「いつかはクラウン、じゃなくていつかはメルツェデスのミディアムクラスのワゴンだよな~」とクルマ好きのオオキタと教室で談義したのも懐かしい。一部、徳大寺先生風味が入ってますな。

そのような青春の日々からはや30年、不惑をとうに通り過ぎたワタシが1日に一番長く腰掛けているのは、事務機メーカーの薄っぺらいオフィスチェアと相成った。もちろん、アーロンチェアなどの高級品ではなく、ごくフツーのオフィスチェア。親父から見事に受け継いだ腰痛持ちのアラフィフ男にとって好ましい環境ではない。

その薄いチェアで仕事を進めつつ、メルツェデスのシートはどんな極楽なんだろう…とボンヤリしていたら、目の前にあのスリーポインテッド・スターが! びっくりして目を凝らすと、eスポーツ担当のヤスカワ記者が最新のゲーミングチェアが入った箱を運んでいたところだった。「うおおメルツェデス!」「最善か無か!」と妙なことを叫びながら、気づいたときにはデカい箱を奪い取っていた。

  • 今回奪い取ったゲーミングチェア「EPIC Mercedes-AMG Petronas Motorsport Edition」(右)。ふだん使っているオフィスチェア(左)がペラペラに見えてしまうほどの存在感だ

メルセデスが監修した本物のコラボ商品だ

奪い取ったのは、ドイツのゲーミングチェアブランド「noblechairs」の高級チェア「EPIC Mercedes-AMG Petronas Motorsport Edition」(日本ではアーキサイトが販売)。メルセデスのF1チーム「Mercedes-AMG Petronas Motorsport F1」が擁するeスポーツチーム「Mercedes-AMG Petronas Esports Team」とコラボした製品で、noblechairsブランドのゲーミングチェア「EPIC」シリーズをベースに、F1マシン「F1 W09 EQ Power+」からインスピレーションを得てデザインしたものだ。製品化の提案はメルセデス側から寄せられたそうで、デザインもメルセデス側が監修したとのこと。公式ライセンスも取得したメルセデスお墨付きの製品で、まさにホンモノである。

  • EPIC Mercedes-AMG Petronas Motorsport Editionの梱包箱。左に載せているのは10.2インチ液晶を搭載した最新のiPadで、これと比べると箱の大きさがつかめるだろう

量販店での実売価格は税込み7万円前後(+ポイント10%)とチトお高め。ベースとなったEPICは税込み5万6000円前後(+ポイント10%)なので、独自デザインのプレミアムで1万4000円ほど上乗せされていると考えてよい。むろん、憧れのAMG(アーマーゲー)のロゴが付いているだけで、その価格差もナットクできるかも。ベンツだったら軽く1000万は超えちゃうからね。

このチェアは、パーツがバラバラの状態で梱包されているので、付属の工具を使って自分で組み立てる必要がある。そこそこ重量のあるパーツを持ち上げたりする必要はあるが、説明書は分かりやすく記載されており、男性なら1時間もあれば一人で組み立てられる。ただ、パーツの取り出しや組み立てにある程度のスペースを必要とするので、足の踏み場もない部屋だとちと難儀するかも。

  • 箱を開けると、重厚感のある背もたれがドーンと現れる。ヘッドレスト一体型の背もたれは箱の長辺いっぱいに収められており、背もたれの高さが見て取れる

  • 憧れのスリーポインテッド・スターと、メルセデスのF1チーム「Mercedes-AMG Petronas Motorsport F1」のロゴがデカデカと刻まれている

  • すべてのパーツを取り出したところ。組み立ての作業もある程度の場所を必要とするので、組み立て前にスペースはきっちり確保しておこう

  • 3カ国語で記載された説明書

  • 組み立ての手順が図入りで記載されており、分かりやすい