ファーウェイ・ジャパンが11月29日に発売したスマートフォン「nova 5T」。59,950円(税込)とミドルレンジの価格帯ですが、最上位モデルと同等のSoCを搭載し、「クアッドカメラ」を搭載して、価格以上のスペックを備えた製品です。

  • HUAWEI nova 5T

    神奈川県の鎌倉市、長谷寺での撮影会でnova 5Tを堪能

nova 5Tは、ファーウェイが得意とするカメラ機能が充実している点が大きな特徴の1つです。そのカメラ機能をアピールするため、ファーウェイが写真家の内田ユキオ氏を招いて、メディア関係者向けにワークショップを開催しました。

まずnova 5Tのカメラを整理しておくと、背面に4つのカメラを搭載しています。メインは有効4,800万画素1/2インチCMOSセンサーを搭載したカメラです。レンズの焦点距離は26mmで、F値はF1.8となります。2つ目は超広角カメラで、有効1,600万画素センサー、レンズの焦点距離は17mm、F値はF2.2です。

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    nova 5Tのカメラスペック

3つ目は200万画素の被写界深度カメラ。これは被写体までの距離を測定して、被写体と背景をより精確に分離することで、自然なボケを実現するためのカメラです。このカメラは描写には使われません。4つ目はマクロカメラで、有効画素数は200万画素、レンズのF値はF2.4です。被写体に4cmまで近寄って撮影できます。

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    ワークショップの様子。右から2番目が内田ユキオさん

普段使うカメラはメインと超広角の2つですが、4,800万画素という高画素のセンサーを搭載するため、ズーム機能も実用的です。標準では1,200万画素での撮影となり、2倍までは画質劣化のない形でのズーム。最大10倍までのデジタルズームにも対応しています。

物理的なズームではありませんが、被写界深度カメラを搭載することで、ポートレートなどのボケを生かした撮影の時に、より自然な描写が可能です。被写体にグッと近寄れるので、ポートレートなどでは積極的に使えそうです。多少は解像感に影響があるようですが、使い勝手のいい超広角レンズを物理的に搭載し、望遠は高画素に任せるという判断はありでしょう。

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    ポートレートモードは、1倍と2倍を切り替えられます。背景のボケは自然で立体感があります

内田氏は、nova 5Tのメリットについて、考えなくてもきれいに撮れるカメラとしてのレベルの高さに加えて、ポートレートでの立体感ある背景ボケ、強力な手ブレ補正機能による手持ち夜景撮影の高い描写力を挙げます。

今回のワークショップは紅葉の時期ということもあって、紅葉の美しい撮り方として内田氏は、光(特に透過光)、配色、色温度という3つのポイントを紹介。「ステンドグラスは外から見ると美しくないが室内から見ると美しい」(内田氏)というように、紅葉もなるべく近づいて内側から光をすかして撮影すると美しく写ります。

配色は、特に補色(*)関係にある被写体を画面内に取り込むと、紅葉がより鮮やかになるので、それを利用する撮り方です。そのため、常緑樹といった緑の葉や青空を取り込むことで、紅葉がより色鮮やかになるそうです。

*補色:色相環において、お互い反対側に位置する2つの色。例えば、RGB(光の三原色)による加法混色の場合は、赤とシアン、黄色と青、緑とマゼンタなど。

色温度に関しては、nova 5Tであれば「プロモード」からホワイトバランスを調整します。ここで「蛍光灯」に設定するとマゼンタが強調され、紅葉の色彩が豊かになるのです。

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    紅葉に緑を配色した例。オートホワイトバランスで撮影

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    ホワイトバランスを蛍光灯に設定。赤が強くなりました

こうしたホワイトバランスの調整を使えば、「曇り」を設定してより暖色を強めたり、「白熱電球」にして寒色を強調したり……といった表現ができます。内田氏は、イルミネーション撮影にこのテクニックを利用することで、暖かみのある表現、クールな表現ができると紹介しました。

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    ポートレートモードで撮影。背景によっては境界が不自然になることもありますが、おおむね自然なボケになります

今回のワークショップは、神奈川県・鎌倉市にある長谷寺を訪れ、モデルを使った撮影も実施。あいにくの曇り空でしたが、内田氏は参加者にアドバイスしつつも、むしろ本人が一番楽しんで撮影していたように感じます。内田氏のアドバイスとしては例えば、モデルに建物の出入り口に立ってもらって撮影すると、明暗差が激しくなって照明を当てたような効果が得られるといったものがありました。

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    輝度差がある場所に配置することで、モデルに当たる光が印象的になります

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    nova 5Tは、インカメラも3,200万画素と高画素。こちらはモデルさんに自ら撮影してもらいました

nova 5Tの59,950円という価格は中途半端に感じるかもしれませんが、スペックは上位モデルに引けを取らず、コストパフォーマンスに優れた製品です。

nova 5TのSoC(プロセッサー)「Kirin 980」は、最上位モデルのP30 Proにも搭載されているもので、加えてメモリ8GBにストレージ128GBと十分以上。内田氏も、キビキビと撮影できる点を強調していました。

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    こちらは手持ちでの撮影

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    夜景モードでは、連写合成によって手持ちでも手ブレずに夜景が撮影できます。この写真はシャッタースピードが6秒になっています

カメラ機能では「モノクロがないのが残念」と内田氏は言いつつも、ボケをコントロールするアパーチャ、手持ちでブレずに撮影できる夜景モードといった機能がお気に入りのよう。解像感が高く思い通りに撮影できるとして、ほかの参加者そっちのけで撮影を楽しんでいた姿が印象的でした。

なお、ファーウェイは米国と中国の経済摩擦の影響により、Android OSにGoogleサービスを搭載するためのGoogle Mobile Service(GMS)が使えなくなっています。ただしnova 5Tは、開発タイミングの関係でGMSを搭載しており、Androidのアップデートを含めて、GmailやGoogleマップといったGoogleのサービスを問題なく利用できます。

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  • 撮影:内田ユキオ氏

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