ソニーは10月3日、独自の裏面照射(BSI)型画素構造のグローバルシャッター機能を搭載した積層型CMOSイメージセンサ技術「Pregius S(プレジウス エス)」を採用した産業機器向けCMOSイメージセンサ6製品を販売すると発表した。

  • CMOSイメージセンサ

    新製品の1つである1.2型(対角19.3mm)有効約2455万画素 積層型CMOSイメージセンサ「IMX530」

産業分野で活用されるマシンビジョン/コンピュータビジョンに求められる性能は高まる一方で、イメージセンサの画素数を増加させると、チップサイズの大型化に伴うカメラサイズの大型化などといった課題や、画素サイズが小さいと1画素あたりの集光面積が小さくなり、画質の劣化が問題視されていた。同製品では、動体歪みの無い撮像を可能にするグローバルシャッター機能を実現しつつ、BSI型の独自画素構造を採用することで、感度や飽和信号量といった画素特性を維持しながら、画素面積を従来の約63%となる2.74μm角に微細化することで、同一光学系での多画素化を実現したほか、パッケージサイズも従来の約91%へと小型化に成功。これにより、よりCマウントサイズで1.2型有効約2445万画素まで対応することが可能になったと同社では説明している。

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    BSI型の特長と活かしつつ、画素の微細化を図り撮像面積を拡大しつつ、パッケージサイズの小型化も実現した

また、BSI構造が持つ配線レイアウトの高い自由度と、独自のエンベデッド・クロック方式の高速インタフェース規格「SLVS-EC」の採用により、読み出しフレームレートを従来比32.4倍に高速化。これにより、製造装置・設備のタクトタイムの短縮やスループット向上が可能になった。

さらに積層構造を活用することで、さまざまな信号処理回路の搭載が可能となっており、デュアルA/Dコンバータを活用した動体歪みの無いハイダイナミックレンジ(HDR)処理回路や、撮像データから必要な情報のみを抽出するデータ最適化機能(ROI、セルフトリガ)などを積層して組み込むことで、多様化するマシンビジョン用途に幅広く対応することが可能となっている。

なお、6製品は2019年10月より順次サンプル出荷を開始。サンプル価格は9万9000円~21万円(税別)としている。