Huaweiは9月19日(現地時間)、ドイツ・ミュンヘンで発表会を開催し、フラッグシップスマートフォン「HUAWEI Mate 30」シリーズを発表しました。発表時点で発売日は未定ですが、欧州での価格は最上位モデルの「Mate 30 Pro 5G」が1199ユーロ、次いで「Mate 30 Pro」が1099ユーロ、「Mate 30」が799ユーロです。今回も、Porsche Designによる「HUAWEI Mate 30 RS」が用意され、こちらは2095ユーロとなっています。

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    HUAWEI Mate 30 Pro

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    HUAWEI Mate 30

Mate 30シリーズは、HuaweiのPシリーズと並ぶスマートフォンのフラッグシップモデル。最新のSoC「Kirin 990」を搭載したことによる高性能と低消費電力を実現し、5G対応モデルは他社製品よりも多い8つのバンドに対応。NSAだけでなくSAもサポートしています。

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    高い性能を誇るKirin 990を搭載

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    パフォーマンスと電力効率が大幅に向上

5Gモデルでは、2G~5Gの携帯ネットワーク、無線LAN、Bluetooth、GPS、NFCという多様なワイヤレス通信に対応。合計のアンテナ数は21にもなるそうです。そのうち14アンテナが5G用に搭載されています。さらに、Mate 30 Pro 5Gは5G向けの8バンドをサポート。既存の5G対応端末が3バンド対応であることに対して優位性をアピールします。

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    21ものアンテナを、干渉を避けるように配置。5G用だけで14アンテナを搭載しています

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    対応する5Gバンドは、Galaxy Note10+ 5Gの3つよりも大幅に増えています。同じタイミングで発表されたiPhoneには、まだ5Gは搭載されていません

カメラ機能が恐ろしく進化

定評あるカメラ機能もさらに進化。アウトカメラは4つのレンズが正方形に並び、周辺を円形のリングで囲んだ新しいデザインを採用しています。

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    Mate 20では四角形のデザインでカメラを配置

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    こうしたデザインは他社にも影響を与えたと、iPhone 11を紹介

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    Mate 30では、協業するドイツのカメラメーカーであるライカの伝統的なデザインを踏襲しました

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    それがこのレンズマウントのような円形のデザインです

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    ライカカメラのように横に構えてのデザインの共通性を紹介

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    ライカの影響を受けたデザイン

Mate 30 Proは、RYYBカラーフィルターの40MPという高感度の撮像素子を搭載。レンズの焦点距離は35mm判換算27mm、F値はF1.6。超広角カメラは、同じく40MPセンサーを採用し、レンズは18mm F1.8。望遠カメラは、8MPセンサー、レンズは80mm、F2.4となっています。4つ目のカメラは3D深度測定カメラです。

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    Mate 30 Proのカメラスペック

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    2つの大型センサーを搭載。超広角カメラ側がアスペクト比3:2のセンサーなのは、動画撮影時にアスペクト比16:9にクロップする関係でしょう

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    40MPの高画素センサーによって、超広角でも高度なナイトショットが可能になりました

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    デジタルズームを併用した10倍ズーム時でも、他社カメラよりも高画質を維持しているといいます

既存のP30 Proと同じく、RYYBカラーフィルターを使って受光性能をアップ。ISO409600という超高感度撮影に対応し、デジタルズームは最大30倍まで可能。超広角から望遠までの3倍の画角変化と合わせて、45倍ズームとなります。

P30 Proでは1つだった40MPセンサーを、Mate 30 Proではメインに加えて超広角にも採用しました。メインが1/1.7インチRYYBフィルター、超広角が1/1.54インチRGGBフィルターのセンサーとなっています。スマートフォンとして、大型のセンサーを2つも搭載したのは大きなトピックです。

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    超広角でのHDR撮影やボケを生かしたポートレート撮影も可能

Mate 30 Proは、プロ並みの動画性能を誇る「Cine Camera」をアピールします。4K/60fps、4K HDR+のタイムラプス、ISO51200、リアルタイムのボケ処理、7680fpsという超スローモーション撮影、光学式とAIのデュアル手ブレ補正、といった高い動画性能を誇ります。

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    40MPを生かしたCine Cameraをアピール。P30 Proは静止画、Mate 30 Proは動画をそれぞれ進化させたカメラだとしています

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    ISO51200という超高感度の動画撮影が可能

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    1秒間に60回の羽ばたきをするというハチドリ

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    7680fpsというハイスピード撮影によって、スローモーション動画が記録できます

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    その結果、ハチドリの羽ばたきもじっくりと観察できます

【動画】発表会で披露された超スローモーション動画
(音声が流れます。ご注意ください)

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    15万ドルクラスのプロフェッショナル向けカメラと同程度の、スローモーション映像を撮影できるとアピール

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    動画でリアルタイムのボケ処理も可能

さらに、DJIのジンバル「OSMO Mobile 3」との連携が可能です。また、プロフォト初のスマートフォン用フラッシュ「Profoto C1/C1 Plus」とも連携。カメラアプリに合わせてC1が発光する、といった撮影が可能です。

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    OSMO Mobile 3やProfoto C1/C1 Plusと連携も可能

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    こちらはMate 30のカメラスペック。1/1.7インチと大型の40MP RYYBセンサーを搭載

OSは? アプリは?

OSはAndroid、そして独自UIのEMUI10を搭載します。Androidコミュニティに対する貢献が大きいHuaweiですが、米中の政治的な摩擦の影響で、Google関連サービスを搭載できませんでした。

Android自体はオープンソース版を採用しているため、基本的な操作は変わりませんが、Google検索、Gmail、GoogleマップなどのGoogleアプリに加え、Androidアプリの配信プラットフォームであるGoogle Playも利用できません。

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    マガジンスタイルのUIやダークモードなども備えたEMUI10

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    ジェスチャーカメラを搭載したことで、手のひらを画面に向けて、上下でスクロール、掴むような動作でキャプチャを撮る、という操作が可能です

中国向けは以前から同様の措置をしていましたが、これをグローバルに拡大したかたちです。アプリ配信は、HuaweiのAppGalleryが担います。アプリ配信などのプラットフォームは、GoogleのプラットフォームであるGMS(Google Mobile Services)に対して「HUAWEI Mobile Services(HMS)」と名付けられ、すでに170の国と地域で月間5億7000万以上のアクティブユーザーがいるといいます。

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    HMSは、GMSのHuawei版といったプラットフォーム。各種アプリケーションもありますが、GmailやGoogleマップなど、必要な機能は不足気味です

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    HMSはOS上に各種APIなどが用意され、サードパーティー製アプリが動作します

Huaweiは、サードパーティーのアプリ向けに各種のAPIなども用意し、HSMのエコシステムにアプリ開発者の参加を呼びかけています。Huaweiが10億ドルの予算を費やしてインセンティブプログラムを立ち上げ、エコシステムの構築を急ぎます。

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    サードパーティーのアプリ開発を支援する各種機能を提供

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    10億ドルかけてアプリ開発を促します

Mate 30シリーズは「Googleサービスが使えないAndroidスマートフォン」、という難しい立ち位置になってしまいました。報道陣のインタビューに応じたHuawei DeviceのHandset Product Line社長であるKevin Ho氏は苦しい胸の内をにじませつつ、未発表の発売日について「1~2カ月で提供したい」と希望を語ります。その背景には、発売まで猶予を設けて、制裁解除によるGMSの搭載にこぎつけたいという考えが見え隠れします。

  • Kevin Ho氏

    インタビューに応じたKevin Ho氏

Huawei Consumer Business Group CEOのRichard Yu氏は、セキュリティとプライバシーを重視する立場を強調。一例として、Mate 30シリーズには画面内指紋センサーと顔認証による2つの生体認証を搭載しています。こうした生体認証データは、マイクロカーネルOS上のTrusted Execution Environment(TEE)に保管され、コモンクライテリアの評価保証レベル(EAL)で5+という高い検証をクリアしているといいます。

  • Richard Yu氏

    Richard Yu氏

アプリに提供されるIMEIは匿名化することでプライバシーを保護。クラウドへデータを保存する際にはエンドツーエンドで暗号化して保護されます。面白い機能としては、「AI Private View」が挙げられます。端末にSMSのようなメッセージが届いたとき、顔認証を実効して本人以外の顔が検出されたら通知をオフにするというものです。いわゆるショルダーハックのような状況で、プライベートなメッセージの読み取りを防げるわけです。

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    生体認証による端末のセキュリティと、安全な生体認証情報の保管機能を提供

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    アプリに対して端末の識別番号を匿名化します

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    エンドツーエンドの暗号化も提供

こうしたセキュリティとプライバシーに関するアピールは、Huaweiを取り巻く政治的な状況と無関係ではないでしょう。

これまで2億台を超えるスマートフォンを販売してきたHuaweiは、Android陣営にとっては巨大なプレイヤーです。Googleサービスを搭載できなかったMate 30シリーズや現在の状況は、Googleにとっても痛手でしょう。今後の政治的な動向を見極めつつ、最善の結果に着地することを期待したいところです。