2019年もIFAに出展したソニーのブースには、ペアで7,000ユーロ(約83万円)という超高級デスクトップスピーカー「SA-Z1」や、フツーのスマホとヘッドホンで臨場感たっぷりの立体サウンドが楽しめる新音楽サービス「360 Reality Audio」、8K対応テレビ「BRAVIA」など、ワクワクする展示があふれていました。それぞれをまとめて振り返ってみましょう。

  • メッセ・ベルリンの北エントランス

    2019年もドイツの首都・ベルリンでIFAが開催されました。写真は会場となるメッセ・ベルリンの北エントランス。映画にもよく登場する歴史的建造物です

  • ソニーのブース、IFA 2019

    大いに賑わうソニーのブース

ウォークマン40周年」のアニバーサリーに登場したAndroid搭載の新ウォークマンや、小ぶりになったハイエンドスマホ「Xperia 5」、高性能ノイキャン搭載イヤホン「WI-1000XM2」など注目の展示内容についても、別記事をぜひ合わせてご覧ください。

  • Xperia 5
  • Xperia 5

    欧州でも人気のXperia。最新モデルの「Xperia 5」のタッチ&トライコーナーは様々なコンテンツとの連携展示も充実

デスクトップがコンサートホールになる! 圧巻のスピーカー「SA-Z1」

「SA-Z1」はソニーのオーディオ製品のフラグシップである「Signature Series(シグネチャーシリーズ)」に加わる6番目の新製品。ニアフィールドリスニング(コンパクトサイズのスピーカーをデスクトップなど耳から近い距離に置いて音楽を聴くスタイル)を主眼に置いた、アンプとDAコンバーターを内蔵する一体型スピーカーシステムです。

欧州での発売時期は2020年4月ごろの予定。価格はペアで7,000ユーロ(約83万円)と発表されました。そして時期は未定ですが日本での発売も計画されているようです。

  • SA-Z1

    超弩級クラスのデスクトップスピーカー「SA-Z1」。ソニーのデジタルとアナログの最先端のオーディオ技術が惜しみなく詰め込まれています

スピーカー1本あたりのサイズは縦・横約20cm、奥行き約32cm。質量は10.5kg。エンクロージャー(ボックス)の素材はアルミニウム。仕上げはブラックとしています。中高域を受け持つメイントゥイーターと、低域再生用のメインスピーカーを中軸として、それぞれを支えるアシストスピーカーを3基、全部で5基のスピーカーユニットを内蔵する2ウェイ構成。51Hzから100kHzまでの広帯域をサポートするハイレゾスピーカーです。

DAコンバーターには汎用品を使わずに、ソニーがSA-Z1向けに設計を合わせたカスタム仕様のICチップを搭載しています。ハイレゾはDSD 22.4MHz、リニアPCM 768kHz/32bitのファイルまで、現在出回っている音源を幅広く再生できます。

  • SA-Z1

    SA-Z1の、向かって右側のユニット

入力インタフェースも多彩。同じソニーのシグネチャーシリーズのメディアプレーヤーである「DMP-Z1」や、ノートPCなどをつなぐためのUSB-B端子に加えて、ウォークマンなどポータブルオーディオプレーヤー、そしてスマホの接続用に設けたmicroUSB端子、ハイレゾポータブルオーディプレーヤーなどに対応する光デジタル端子、アナログのXLR・RCA、ステレオミニ端子をそろえています。なお、左右スピーカーの間は、特殊なコネクタと音質重視のOFC(無酸素銅)線材を用いた極太ケーブルでつなぎます。

つまり、SA-Z1とオーディオプレーヤー、ノートPCなどがあれば、デスクトップでピュアでHi-Fiなスピーカーによる音楽再生を楽しむ環境ができあがるというわけです。そう考えると83万円は安い!?

  • ソニー・ヨーロッパ社長、古海英之氏

    プレスカンファレンスに登壇したソニー・ヨーロッパ社長、古海英之氏のスピーチも盛況でした

オーディオコンポーネントとしてのハンドリングは、とてもシンプルです。PCソフトやスマホアプリによるセットアップは不要。置き場所に合わせた音場調整などを行う必要もありません。音に影響を及ぼす不要な振動をキャンセルできるように本体を設計しているため、デスクトップの置き場所を決めたらすぐに音楽再生をスタートできます。

セットアップ後の音の微調整にもアプリは不要。本体天面に搭載するディスプレイの表示を見ながら、スイッチを操作。内部に搭載する5基のスピーカーユニットの連携モードを物理的に切り替えて、好みの音に調整する仕様としています。

ソニーのブースでは、特別に設けられたSA-Z1の専用リスニングルームでその音を体験できました。そのサウンドはまさしく圧巻!

  • SA-Z1

    SA-Z1からベストな音を引き出すリスニングポジションで試聴できる特設ブースが用意されました

吐息が触れそうになる距離感で、ミュージシャンが演奏している音がスピーカーから鳴った途端に縦横無尽に伸び伸びと広がり、低音も身体の芯を心地よく突いてきます。声の抑揚感の繊細なニュアンスが余すところなく引き立ち、この超弩級のスピーカーが小さく感じられるほど。壮大なスケールの音場がデスクトップを超えて、部屋中に満ちていくような感動体験を味わいました。

最近は何十万円から100万円に迫るヘッドホン、ハイレゾ対応オーディオプレーヤーなど、ポータブルオーディオには目玉が飛び出るような高級コンポーネントが数多くありますが、「いい音」を全身に浴びながら聴くスピーカーリスニングは、やはりとても良いものです。19年の年末のお買い物は、高級ポータブルオーディオを買うか、またはこのSA-Z1に当てるか? 悩み始めるころに、日本発売のアナウンスがあることを期待しましょう。

感動体験はハイレゾを超える!? 新音楽サービス「360 Reality Audio」とは

2019年のCESで発表された、ソニーの新しい立体音響技術を使った音楽配信プラットフォーム、「360 Reality Audio」のデモンストレーションも体験できました。PCアプリケーションを使って、「オブジェクト」と呼ばれるサラウンド音源を立体的に配置した音源を、一般的なスマホとヘッドホンを組み合わせるだけ。特殊な機器をそろえなくても、手軽に没入感あふれるサラウンドを楽しめるところが、この技術の魅力です。

  • 360 Reality Audio

    360 Reality Audioのサラウンド体験をイメージしたブース

でも実は、ヘッドホン・イヤホンについてはソニーの製品を使うと「さらにハイグレードな立体サウンド」が楽しめるようになります。IFAの会場では、ソニーの人気ヘッドホン「WH-1000MX3」を使って、360 Reality Audioをどのように楽しむのか、デモ音源の試聴を含めて体験できました。

まず、スマホにソニーの専用アプリをインストールして、アプリのメニューをたどって自分の耳画像をセルフィ撮影します。実際には、ソニーのワイヤレスヘッドホン・イヤホンに対応するモバイルアプリとしてリリースされている、「Sony Headphones Connect」を使うことになるそうです。耳画像は、360 Reality Audioが理想とする複数のスピーカーを部屋に置いて聴く立体音響空間を、ヘッドホンやイヤホンによるポータブル再生でシミュレーションするためのデータとして使います。

ユーザーの耳の形と、使用するソニーのヘッドホン・イヤホンの情報は、アプリを通してクラウドサーバーに送られます。すると30秒前後で解析が行われて、ユーザーの再生条件に合わせて最適化された設定データが送信されてきます。このデータを、360 Reality Audioの音源を配信する音楽サービス(Deezerなど)のアプリに読み込んで、セットアップは完了です。

  • 360 Reality Audio

    360 Reality Audioの没入感あふれるデモコンテンツを体験して、おもわずうなりを上げる筆者

IFA会場ではデモ音源を試聴しました。自身の周囲360度に鮮明なサラウンド音源が浮かび上がり、縦横無尽に移動する様子が楽しめます。ハウジングが密閉されているはずのヘッドホンなのに、音楽ライブの音源で自然な開放感が味わえる不思議な体験。

実際に360 Reality Audioの醍醐味を満喫するためには専用の音源が必要になりますが、欧州ではTIDALやDeezerなどのサービスが音源の製作を進めています。ソニーはいま日本でも、360 Reality Audioの音源を配信するパートナーと一緒に準備を進めています。IFAでは360 Reality Audioの導入時期は発表されませんでしたが、完成度の高いデモンストレーションを体験してみると、正式発表の日はそう遠くないように感じられました。

オーディオは堅牢なソニーのラインナップが出そろった

IFAでソニーが発表した新製品のコンセプトについて、ソニーホームエンタテインメント&サウンドプロダクツのV&S事業部 企画ブランディング部門長、黒住吉郎氏に話を聞くことができました。

  • ソニーホームエンタテインメント&サウンドプロダクツ、黒住吉郎氏

    ソニーの黒住氏にオーディオ製品の戦略的なラインナップ展開についてお話を聞くことができました

Android OSを搭載するウォークマン、NW-ZX507とNW-105の登場によって、Spotifyなど音楽配信サービスの音源がいい音で楽しめるようになることは別記事ででもお伝えした通りです。黒住氏は、ウォークマンが再びオープンなプラットフォームを獲得したことによって、「パーソナルエンターテインメントの可能性が大きく広がる」と話します。

「技術的な発展性、多様なサービスを柔軟にサポートできることを考えれば、ウォークマンもAndroidをプラットフォームにすることが大きなメリットになると思っています。対応力が高まるぶん、また新しい仕掛けも用意したい」と、黒住氏も今後の期待感を語っていました。

上記の超高級デスクトップスピーカー「SA-Z1」が発表され、ヘッドホンにはh.earシリーズの新製品も充実します。黒住氏はソニーがオーディオの総合ブランドであるからこそ、幅広いラインナップをそろえて、あらゆる音楽ファンのニーズに応えることの大切さを説いています。

  • Android搭載ウォークマンとh.earシリーズ

    Android搭載ウォークマンとh.earシリーズのカラフルなコンビネーションによる、リスニングブースも注目を浴びていました

「オーディオのビジネスに奇策はないと私は思っています。お客さまから期待されている商品を、適切なタイミングを計りながら提供できることがソニーの強みです。今年のIFAでは土台のしっかりとした商品ラインナップのピラミッドをお見せすることができたのではないでしょうか。

先進的な機能とプロダクトデザインなど、ソニーの製品には様々な魅力があると自負しています。でもやはり、すべてソニーのオーディオ商品の原点といえる魅力は高音質であることを、変わらずアピールしていきたいと思っています」(黒住氏)

  • Xperiaで楽しむゲーム体験

    Xperiaで楽しむシネマワイドサイズのゲーム体験をアピールする展示コーナーには、ドイツで活躍するeスポーツの選手も来場。子どもたちに大人気!

8Kテレビにデジタルカメラも充実

オーディオのほかにも、IFA2019のソニーブースでは欧州で6月に販売がスタートした8K液晶テレビのZ9Gシリーズが圧倒的な高画質を来場者に見せつけていました。

  • 8K液晶BRAVIA

    8K液晶BRAVIAは6月から欧州でも販売がスタート。今後日本ではどうなるのか注目です

IFAはカメラ愛好家も多く足を運ぶイベントです。ソニーのαシリーズのシューティングコーナーも、行列が絶えない盛況ぶりでした。先日、日本でも発表されたばかりのミラーレス一眼の新製品「α6600」「α6100」の展示に大勢の来場者が足を止めている様子も印象的でした。

2019年のクリスマス商戦に向けて、各カテゴリーに万全の品ぞろえをアピールするソニーの勢いを感じるIFAの展示でした。

  • デジタルカメラαシリーズ
  • デジタルカメラαシリーズ

    デジタルカメラαシリーズのシューティングコーナー、新製品の展示にも大勢の来場者が集まっています