Safariやメッセージなどの標準アプリも強化

iOS 13では、標準搭載のアプリでもプライバシー保護の機能を強化しています。

まず利用頻度の高いSafari。アップルの担当者は「Safariの検索窓を使って検索すれば、検索サイトの検索窓を使うよりも送信される情報を抑えられます。また、あるWebサイトで見た内容の広告が異なるWebサイトでも表示されるのを防ぐ『Intelligent Tracking Prevention』は、機械学習を用いてブロックの効果を高めました」と語ります。

メッセージ機能もプライバシー重視の設計にしていると力説します。「メッセージアプリは送信時に端末で暗号化が施され、それを復号できる秘密鍵を持っているのは送信者と受信者だけ。第三者が通信の途中で内容を読み取ることはできません。たとえアップルであっても通信キャリアであっても不可能です。また、iPhoneには文字入力の予測変換機能がありますが、これもアップルが知ることはできません。すべて、お手持ちのiPhoneだけにとどまります」と解説します。

Apple Payについても、アップルの「ユーザー情報は見ない、持たない」が徹底されています。「Apple Payにクレジットカードをアップロードしても、アップルは情報に一切アクセスできません。カード番号はデバイス自体に格納されず、専用のアカウント番号が使われるので、購入履歴も分かりません」と、プライバシー重視の設計をアピール。

写真の位置情報を削除するかどうかが選べるように

現在、TwitterやFacebookなどの主要なSNSは、写真に付いている位置情報を自動で削除する仕組みになっており、写真を投稿しても位置情報が漏れる心配はありません。ただ、個人が解説しているブログなどはこの限りではなく、不用意に写真を投稿すると位置情報が筒抜けになってしまいます。写真をメールなどで直接送信するのもNGといえます。

iPhoneやiPadの設定の「位置情報サービス」で、カメラアプリの位置情報の利用を許可しないように設定すれば、撮影時に位置情報が入ることはなくなります。ただ、写真アプリを使った際、撮影地でまとめて表示することができなくなるので、撮影時に位置情報をまったく付けないといささか不便になります。

iOS 13やiPadOSでは、写真を共有する際、位置情報を付けたままにするか削除するかを選べる機能が加わります。写真をSNSやブログで使うごとに指定できるので、撮影時には常に位置情報を付与する設定にできます。写真に位置情報が付与されるメリットを享受しつつ、位置情報の漏洩を水際で防げるうれしい改良点といえるでしょう。

  • 写真をメールで送信しようとする際、最上部に「Options」の項目が現れる

  • Optionsをタップすると設定画面が開き、「含める」の項目の位置情報をオフにすれば、その場で位置情報をカットできる

スリープモードにしたMacBookのありかを探せる

iOS 13やmacOS Catalinaで強化されるのが、自分の端末のありかを探す「Find my」(日本語版では「探す」)です。新しい機能として、周囲にあるさまざまな人のiPhoneやiPadなどのデバイスを利用し、オフライン状態にあるMacBookを検出できるようになりました。

新OSでは、MacBookをスリープモードにしても微弱なBluetoothの信号で公開の暗号鍵を発信し続けます。周囲にあるiPhoneやiPadがその信号をキャッチすると、その端末経由で現在地を暗号化してアップルに通知し、MacBookの所有者に知らせるという仕組みです。iPhoneのユーザー数が多い日本においては、特に“使える”機能になる可能性があります。

ただ、検出に他人のデバイスを介することで、「誰かのMacBookがあの場所にある」「○○さんのMacBookが捜索されている」といったプライバシーが漏れないか気になるところです。アップルによると、暗号化された位置情報を復元できるのは本人だけで、アップルでさえも位置情報を読み出すことはできないといいます。また、手持ちのiPhoneがバックグラウンドで誰かのMacBookの検出に協力していたとしても、そのことに気づくことは一切ないそう。検出を手助けしているiPhoneのバッテリー消費やパケット通信量は、ほぼ無視できる程度の微々たる増加にとどまるとのことです。

さまざまな発表がなされるスペシャルイベントは日本時間9月11日の午前2時から始まります。いつものようにインターネット中継もされますので、どのような新製品や新サービスが登場するか、楽しみにしていましょう。