2018年、LIFEBOOKシリーズには13.3インチディスプレイ搭載のペン内蔵2in1として世界最軽量となる、約698gの超軽量ノートPC「LIFEBOOK UH-X」が登場した。これにペン操作機能を加え、ノートPCとタブレットPCの2in1コンバーチブルPCに仕立てた新モデルが「LIFEBOOK UH95/D2」(以下、UH95)だ。

ここでは富士通クライアントコンピューティングの新製品発表会場で展示された、LIFEBOOK UH95の実機を触ったファーストインプレッションをお届けしよう。

  • LIFEBOOK 95/D2

4コアCPUで性能と重さのバランスが◎

UH95はマグネシウム合金製の極薄ボディに、クアッドコアのCore-i7 8565Uを搭載。Uシリーズは低消費電力版ではあるが、Yシリーズの2倍近い性能があり、一般的な作業であれば性能的な不満はないだろう。とにかく軽さは驚異的で、1kg台前半の(一般的には軽いと言われる)ノートPCと比べても明らかにより軽いのだが、重さから想像するよりも堅牢で、持った時の重量バランスも含め、壊れやすさに関する不安はほとんど感じられない。

この薄さの中にもインタフェース類はかなり充実しており、中にはLAN端子のように、本体の厚みより大きなポートを、折り畳み機構を用いてまで搭載しているものもある。ノートPCを設計するとき、インタフェースをUSBなど汎用性の高いポートに集約し、必要・不必要がわかれるものは外付けアダプターなどで対応するか、あるいはノートPC本体に載せられるだけ載せるかは設計思想にもよると思うが、U95が「全部載せ」を選択してきたところは(実装技術の高さも含めて)いかにも日本企業だな、と思わせる。

  • LANポートは一度コネクタ部を引き出し、引き起こすことでLANケーブルを挿すコネクタが使えるようになる。LANの需要もかなり減っているとは思うが、ビジネスユースも視野に入れた富士通らしい設計だ

ちなみに電源は専用端子で、専用の充電アダプタが付属しているが、搭載するUSB Type-Cポートの1つがUSB PDにも対応しており、45W以上の出力が可能なUSB充電アダプターがあれば本体の充電も可能とのこと。いっそ電源もUSBに集約すれば、ポートを1つ減らせたのではないだろうか。

スマホ感覚で写真が撮れる

本機はコンバーチブルタイプなので、ディスプレイを開いてそのまま背面まで折り返すとタブレットモードになる。タッチペンは本体内蔵式だが、ペン周りの機構はワコム製のアクティブ静電結合(AES 1.5)を採用しており、付属のペン以外にワコム製のスタイラスペン「Bamboo Ink」シリーズなど、AES対応のペンも使用可能だ。

  • タブレットモードで片手ホールドしたところ

  • こちらはWeb限定のレッドモデル。天板・底面ともに鮮やかな赤色が印象的

なお、付属のペンは充電式だが、スーパーキャパシタを搭載しており、本体スロットに収めると、わずか15秒で90分利用可能なまで充電できる。ほかのAESペンと異なり電池が不要な点も含めて優れた設計だ。

  • ペンは本体パームレスト下に収納されている。正直あまり持ちやすくはないが、紙に書くような摩擦感があり書き味はよい。グリップ感が不満ならワコム製スタイラスなどで代用できる

  • 収納の様子。取り出しは指で引き出すタイプだが、押し込むとバネで飛び出してくれば、さらによかった

キーボード面上部にはタブレットモード用のカメラと、Windows Inkを起動するためのボタンが用意されており、ワンタッチでそれぞれの機能が起動する。カメラについては完全にスマートフォンやタブレット的な感覚で撮影できる点が便利だ。

  • 発表会の製品紹介では、カメラアプリ内から直接写真を送信できるような表現だったのだが、残念ながら一度保存して、別途メールアプリから送信する必要があるそうだ。このあたりはひと手間省けるようアプリを作り込んで欲しかった

  • Windows Inkの起動ボタン(○で囲んだ部分)については、タブレットモードだと一度裏面に返してボタンを押すか、手探りで押すことになるため、本体サイドにあったほうが、どのモードでも利用できて便利だったように思う。ちなみにほかの機能を割り当てることも可能だ

手書き・文字入力に適した、そそられる1台

いくつか改善点は思いつくものの、この13.3型サイズの2in1で900gを切る軽さはやはり驚き。にも関わらず10時間以上のバッテリ動作時間を実現し、パフォーマンスも良好と、モバイルノートとしては文句のない一台だ。

キーボードの打鍵感も良好で、筆者は普段MacBook Airの11インチモデルを使っているが、外で原稿を書くためのマシンとしては非常にそそられる1台だった。仕事などで常時携行するモバイルPCを必要としている人は、これまでコンバーチブルPCを、ノートとタブレットのどっちつかずで敬遠してきた人も含めて、ぜひ検討してもらいたい。

LIFEBOOK UH95/D2の主な仕様

  • OS:Windows 10 Home 64bit
  • CPU:Intel Core i7-8565U(1.80GHz)
  • メモリ:8GB(交換不可)
  • ストレージ:512GB PCIe SSD
  • グラフィックス:Intel UHD Graphics 620(CPU内蔵)
  • ディスプレイ:13.3型ワイド(1,920×1,080ドット)
  • 光学ドライブ:―
  • 通信機能:IEEE802.11a / b / g / n / ac準拠の無線LAN、ギガビット準拠の有線LAN、Bluetooth 5.0
  • バッテリ駆動時間:約10時間(JEITA 2.0)
  • インタフェース:USB 3.1 Gen2 Type-C×1(USB PD、DisplayPort Alt Mode対応)、USB 3.1 Gen1 Type-C×1(PD対応)、USB 3.1 Gen1 Type-A×2、HDMI、SDカードスロット、イヤホンジャックなど
  • 本体サイズ:W309×D214.8×H16.9mm
  • 重さ:約868g