ルネサス エレクトロニクスは、65nmのSOTB(Silicon On Thin Buried Oxide)プロセスに混載可能なフラッシュメモリの低消費電力化技術を開発したことを発表した。

同成果の詳細は、2019年6月9日から14日まで京都で開催された「2019 VLSI技術/回路シンポジウム(2019 Symposia on VLSI Technology and Circuits)」にて発表された。

SOTB技術は、FD-SOIを用いた低消費電力プロセス技術で、すでに同社ではエナジーハーベスト(環境発電)向け組み込みコントローラ「R7F0E」に同技術を適用している。

今回開発されたのは、SOTBプロセスに混載可能な電気的な分離素子を備えた2トランジスタ構造の2T-MONOSフラッシュメモリ。1トランジスタ構造で必要だった読み出し時の負電圧が不要になるため、読み出し動作の低消費電力化が可能となるほか、離散的にデータ記憶が可能なため、信頼性の高い書換動作を実現したという。

さらに、メモリ読み出し時のメモリデータを判定するセンス動作時のビット線プリチャージエネルギーを削減するシングルエンド型センスアンプに、プリチャージ速度とエネルギー効率の改善を可能とする新たな電荷転送方式技術を適用したほか、定常的にエネルギーを消費するセンスアンプ用のリファレンス電圧についても、リークモニタ方式による最適な間欠制御を実現する新たなレギュレータ回路技術を開発することで、センス動作の高速化と消費エネルギーの大幅削減を同時に実現。また、読み出したデータを外部に転送する際に発生する、転送エネルギーを削減する回路技術として、トランジスタのしきい値のばらつきが小さいという特長を活用する形で、小さな電圧振幅でデータ転送を実現する手法も考案したという。

こうした技術を活用することで、マイコン内蔵フラッシュメモリとして0.22pJ/bitのメモリ読み出しエネルギー(動作周波数64MHz時)、メモリ読み出し電流としては6μA/MHz程度とすることに成功したという。

なお、同社ではIoTにおけるエンドポイントのインテリジェント化の加速に向けて、エナジーハーベスト技術が1つの重要技術になるとしており、今後もさらなる低消費電力を実現する技術開発を進めていくとしている。

  • ルネサス

    開発されたSOTB混載フラッシュメモリ技術の概要 (提供:ルネサス)