watchOS 6は、新しいウォッチフェイス、「Cycle Tracking」「Noise」「ボイスメモ」「計算機」といった新アプリの追加など、Apple Watchの今を向上させる新機能を多数含む。だが、注目したいのは、Apple Watchの将来に向けた新機能、アプリ開発者にエンジン始動を呼びかけるような新機能だ。

  • watchOS 6で追加される「オーディオブック」「ボイスメモ」「計算機」

最も大きなインパクトになりそうなのが「App Store」の追加である。ペアリングしているiPhoneを使わずに、Apple Watchでアプリを探し、Apple Watchから購入またはインストールできる。アプリをインストールできてもキーボードを持たないApple Watchではパスワードなどを入力しづらいが、それもアプリが「Sign In with Apple」に対応していたら簡単に行える。

  • watchOSのApp Store、音声入力やScribbleを使って検索 (左)、アプリの情報をチェック (中央)、購入・インストール (右)

App StoreはApple WatchがiPhoneを必要とする機能の1つに過ぎない。App Storeが追加されても、すぐにiPhoneが不要になるわけではない。だが、iPhoneの時を思い出して欲しい。iPhoneがApp Storeを備えたことが、iPhoneのMac/PCからの独立の大きな一歩になった。

これまで「ミュージック」アプリに限られていたオーディオストリーミングをサードパーティに開放するStreaming Audio API、理学療法や瞑想といったセッションベースのタスクのランタイムを延長するExtended Runtime APIなどが公開され、またApple Watch Series 4が備えるNeural Engineをアプリが利用できるようになる。watchOSはまだシステムレベルの進化の過程であり、限られた"できること"に不満の声を上げる開発者が少なくないものの、サードパーティがApple Watchを活かしたソリューションを提供できる環境が着実に整い始めている。

  • Streaming Audio APIを用いて、MLB at BatがwatchOSアプリで試合中継のオーディオストリーミングを実現