IC Insightsが5月9日付け(米国時間)で発表したアナログICサプライヤに関する売上高ランキングによると、2018年の上位10社の売上高合計は前年比9.4%増の361億ドルで、アナログIC業界全体の60%を占めたという。
アナログIC業界のトップはTexas Instruments(TI)だが、それでもその市場シェアは18%程度にとどまっている。また、10位のルネサス エレクトロニクスの市場シェアは1%ほどで、世界中には市場シェア1%に満たない中小アナログ半導体メーカーが多数存在していることとなる。
アナログIC業界トップであるTIの2018年の同分野売上高は前年比9%増の108億ドルで、全IC売上高の78%、半導体売上高(149億ドル)の72%を占めている。同社は、かつてはDRAMやDSPで知られるデジタル半導体企業だったが、いまやアナログ半導体主体の企業へと変貌を遂げた。中でも産業分野、パーソナルエレクトロニクス分野、および自動車分野にフォーカスしており、この3分野だけで売り上げの8割を占めるまでに成長している。IC Insightsでは、産業および自動車向け事業について、5年前は同社の42%ほどであったのが、2018年には56%へと伸びてきている点を注目する動きとしている。
ランキング2位のAnalog Devices(ADI)の売上高は前年比7%増の55億ドル。同社の売上高には、2017年に買収したLinear Technologyの売上高が含まれている。その最大顧客はAppleで、2017年と2016年は売り上げのそれぞれ14%と12%を占めていたが、2018年は売り上げの10%以上を占める大口顧客ではなくなってしまった模様だ。
欧州にはInfineon Technologies、STMicroelectronics、NXP Semiconductorsという3社の主要なICサプライヤが存在するが、いずれもがアナログICサプライヤトップ10に入っている。その合計市場シェアは15%ほどで、中でもInfineonは前年比1%減とマイナス成長となったSkywoks Solutionsを抜きトップ3の座を獲得。特に自動車および電力関連で存在感を増しているという。
8位に入ったON Semiconductorの牽引役は2016年に買収したFairchild Semiconductorで、特に車載市場でのパワーマネージメント製品、その中でも特にアクティブセーフティ製品、パワートレイン、ボディエレクトロニクス、および車載照明用途向けのパワーマネージメント製品の売り上げが大きかったようである。また、9位のMicrochip Technologyも2018年に買収したMicrosemiの業績が加味されたことが大きいようだ。
そして10位には、日本勢として唯一となるルネサスがランクイン。同社はアナログ事業強化のため、2017年にIntersilを買収したにもかかわらず、2018年はマイナス成長となってしまったのが気がかりである。上述の通り、多くの会社が同業のアナログIC企業を買収することで業績を伸ばしている中で異例ともいえる状況といえる。さらに同社は2019年にアナログICメーカーのIDTの買収を完了したが、果たして今後、うまいこと売り上げを伸ばせるかが注目される。