ルネサス エレクトロニクスは4月18日、低軌道の小型宇宙衛星向けに放射線耐性のあるプラスチックパッケージを採用したシングルエンドモードPWMコントローラ「ISL71043M」とローサイドGaN FETドライバ「ISL71040M」を発表した。
比較的高度の低い地球低軌道(LEO)に、複数の小型/超小型衛星を打ち上げ、地球上のさまざまな場所の観測や通信などを実現するコンステレーション計画が次々と進められている。こうした低軌道は、従来求められていたほどの耐放射線性は必要としないまでも、対策そのものは必要となるほか、重量が軽くなれば打ち上げコストの削減や衛星サイズの削減につながるため、半導体にも小型・軽量化が求められることとなる。
同社は、買収したIntersil(現ルネサス エレクトロニクス・アメリカ)が旧来より航空宇宙・軍事分野向けに注力してきたことを受け、放射線に強いプラスチックパッケージを採用することで、小型で軽量かつ低コストの耐放射線ラインアップの強化を継続して進めてきている(当該分野のブランド名としてもIntersilが継続して活用されている)。
今回発表された2製品も、そうした流れを受けて開発されたもので、ISL71043Mは、4mm×5mmのSOICプラスチックパッケージで、高速信号伝搬と出力スイッチングを可能とし、セラミックパッケージ比で基板面積を最大3分の1に小型化できるほか、消費電流も最大5.5mAと抑えられており、かつ調整可能な動作周波数(最大1MHz)によって効率の向上も可能だという。
一方のISL71040Mは、絶縁型トポロジーおよび昇圧型の構成において同社の耐放射線GaN FETを安全に駆動させることを可能とするもの。4.5Vから13.2Vの供給電力で動作し、 ゲート駆動電圧(VDRV)は4.5V、反転入力と非反転入力の両方に対応する。全温度範囲、放射線環境下であってもゲート駆動電圧を+3%から-5%に制御することでGaN FETの稼働の信頼性を保証するほか、オープン保護回路を搭載することで意図しないスイッチングを防止するとしている。
また、2製品ともに、最大30krads(Si)のトータルドーズ効果(Total Ionizing Dose Effect:TID)、およびシングル・イベント効果(SEE)では43MeV•cm2/mgの線エネルギー付与(Linear Energy Transfer:LET)での特性検査を行っているという。
なお2製品ともに、すでに量産出荷を開始している模様である。