Armは、同社のプラットフォームである「Arm Treasure Data eCDP」の機能拡張を行ったことを4月11日に発表。併せて、この内容について説明会を開催した(Photo01)。
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Photo01:旧Treasure Data創業者にして現在はArmのVP&GM, Data Business Group, IoT Service Groupの芳川裕誠氏。ちなみに会場は都内のTreasure Dataオフィスであるが、芳川氏自身は普段はMountain Viewのオフィス(旧Treasure Data本社)を本拠地にしている
旧Treasure Data(現在はIoT Service GroupのData Business Division)が提供するTreasure Data eCDPの提供するものそのものは、昨年Armに買収された時から変化は無いが、目立った変化というかその後の主な出来事としては
- Gartnerによって、Magic Quadrantに位置付けられた(Photo02)。ここに名前が出たことで、これまでよりもずっと大きな企業からの引き合いが増えたとの事。
- 日本マーケットでCDP(Customer Data Platform)/DMP(Data Management Platform)のデファクトの位置を獲得した(Photo03)。
- Best Customer Data Platform 2019を受賞した(Photo04)。
といった事があったとする。
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Photo02:ちょっと判りにくいが、左下のブロック、"Alibaba Cloud"の下に"Arm(Treasure Data)"の文字が見える。「CDPの分野ではおそらく我々が唯一のプレイヤー」との事。要するにマーケットの中で(この場合)メジャーなニッチプレイヤーとして位置づけられたこと
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Photo03:CDPという分野がなにしろニッチという議論もあるから、左は素直に納得できる
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Photo04:候補は20以上挙がっていたそうで、それらを退けての優勝となった
さて今回の本題である最新機能他であるが、
- シンプルに操作可能なグローバルナビゲーションを提供。これにより、非エンジニアにも使いやすくなった(Photo05)
- 他のサービスとの連携を強化(Photo06)
- ドイツに欧州データセンターを開設。この4月から利用可能になった(Photo07)
の3つが挙げられている。
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Photo05:UIが一新されたAudience Studio。元々はData Engineer向けのツールだったそうだ
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Photo06:SanSanは名刺管理のEightでお馴染み。TAPADは複数のデータソースのIDを統合できるクロスデバイスソリューションを提供。Lookerはエンジニア向けBIツールを提供する。余談だがLookerはTreasure Dataの本社のご近所様だとか
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Photo07:これまでは米国と日本にデータセンターを設置していたが、欧州の顧客の引き合いが増えてきた事に対応したものだそうだ
もっとも、これらは4月11日に急に可能になった、という話ではなく、これまで継続して進められてきたもので、まとめて発表を行ったという形だ。
例えばTAPADとの連携であるが、コチラにもあるように、2017年11月の時点でTreasure CDPとの連携を進めている事が明らかにされている。
またここには入っていないが、今年3月7日にはDataRobotと連携が行われるなど、eCDPの機能は随時拡張され続けている。
連携機能一覧は同社Webサイトにまとめられているが、すでに100を軽く超えている。
こうした事もあってか、すでに国内では350社超の導入実績があるとされており、今回の説明会でも導入事例が2つほど紹介された。1つがKakaku.com(Photo08)で、従来、自前で開発していたツール類をeCDP上に集約することで、大幅な集計時間の短縮と、なによりマーケティング担当者が自分でデータ集計が出来るようになった、とする(Photo09)。
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Photo08:kakaku.comはある意味データ処理が本業の会社であり、したがって自前でかなりのシステムを開発していた
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Photo09:複数ソースの組み合わせが従来は不可能だった、というのはちょっと興味深い話である
またデサント(Photo10)もeCDPを使って仕事改革が可能になった、とする。
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Photo10:デサントも世界中に販路を持っているが、例えば米国などでは小売店チェーンが非常に力が強いので、彼らの要求に合わせて製品を納入する必要がある。だからといって欠品を恐れて作りすぎると過剰在庫に陥る訳で、なので売上予測とか在庫予測の精度を上げる事が重要であり、ここに貢献出来たとする
なお、芳川氏は締めくくりとして、以前と同じく、「既存の企業がDigital Disruptorに単独で対抗するのは難しいが、Arm Treasure Dataと組むことで、彼らに対抗することが出来る」という趣旨の発言を行っており、Arm Treasure Dataとしてのさらなる飛躍を目指すとしていた。