3月24日、毎日新聞社主催(共催 株式会社サードウェーブ)で行われた第1回全国高校eスポーツ選手権のオフライン決勝大会2日目は「リーグ・オブ・レジェンド(以下LOLと略記)」の準決勝と決勝戦が行われました。

  • リーグ・オブ・レジェンドのプレイ画面

  • 大会で使用されたパソコン。基本構成はeスポーツ部 発足支援プログラムと同じGALLERIA GAMEMASTER(Core i7 メモリ16GB SSD240GB + HDD1TB GeForce1060 3GB)ですが、LEDファンが付いているのが違います

LOLは2009年にリリースされたマルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ(MOBA)型のゲームです。競技では5人のプレイヤーがチームを組み、相手の陣地にある「ネクサス」を破壊すると勝利となります。日本でも2014年にプロリーグとしてLJL(League of Legends Japan Leagueの略称)が発足しています。

勝つためには総数100を超えるキャラクターの能力やスキルの把握に加えて、相手や自分の得意なキャラクターを踏まえた戦略・戦術を学ぶ必要があります。

  • 大会総合MCを勤めたOooDa氏

  • 全体のアナリストのRevol氏(プロリーグLJLのアナリスト)

  • スペシャルサポーターのケイン・コスギ氏

  • 実況チーム。実況のKatsudion氏(右)と解説のLillebelt氏(左:LJLにも参加しているプロチーム:Rascal Jester所属)

全国高校eスポーツ選手権のLOL部門では、93チームがエントリーし、オンラインでの予選大会を行い、勝ち上がった以下の4チームによって高校No.1の座が争われました。

  • 横浜市立南高等学校(神奈川)「The Grateful Feed」
  • N高等学校 心斎橋(大阪)「KDG N1」
  • 岡山県共生高等学校(岡山)「eスポーツ部」
  • 東京学芸大学附属国際中等教育学校(東京)「ISS GAMING」
  • オフライン決勝大会の組み合わせ表

準決勝はBO1(Best of 1:1回勝負)で勝利した方が決勝に進めます。第1試合は「岡山県共生高等学校 対 N高等学校 心斎橋」で行われました。岡山県共生高等学校のキャプテンのAkabuff選手は2018年のLogicool G CUPにも出場しており、将来プロ選手として活躍したいという注目選手です。

  • 岡山県共生高等学校。キャプテンのAkabuff氏(手前)は2018年のLogicool G CUP優勝経験も持っており、期待されている選手です

  • 応援団も気合が入ってます

試合はAkabuff選手が操作するキャラクターが順調に成長。最後はTencshi選手が活路を切り開いて27分47秒で勝利を収めました。

敗者となったN高等学校ですが、キャプテンのSakuragi選手はN高等学校のLOLチーム全体のマネジメント(N高等学校全体で5チーム出場しています)を務めており、将来も何らかの形でeスポーツに関わりたいコメントしていました。

なお予選は、各自が自宅から参加しており、決勝進出決定以前に全員が直接顔を合わせたことがないという所に(通信制高校である)「N高らしさ」を感じました。

  • N高等学校 心斎橋。(オンラインで行われた)予選は全員自宅から対戦し、予選の間は全員直接顔を合わせたことがないという所に通信制高校らしさがうかがえます

  • とは言えN高の生徒数は多く、こちらも応援団の気合が入ってます

  • 結果3位タイとなったN高等学校 心斎橋チームのメンバー

第2試合は「横浜市立南高等学校 対 東京学芸大学附属国際中等教育学校」で行われました。東京学芸大学附属国際中等教育学校のキャプテンFlaw選手はLJLのプロリーグBurning Coreの練習生として、高校生ながらすでにプロチームに在籍しています。試合も彼を中心に進めており、27分20秒で勝利を収めました。

  • 東京学芸大学附属国際中等教育学校。一番奥にチラリと見えるのがキャプテンのFlow氏。決勝進出チームの中で(練習生とはいえ)唯一LJLプロチームに所属しています

  • 横浜市立南高等学校。全員1年生の仲良しチーム

敗者となった横浜市立南高等学校は全員が高校1年生というフレッシュなチームです。進学校ということもあり「これが最初で最後の大会」とコメントする選手がいるように、いまの時点でプロ志向はあまりないとのことでした。

  • 仲間と喜びを分かち合う瞬間です

  • 結果3位タイとなった横浜市立南高等学校。進学校の生徒らしく今後は受験に向けての勉強を行う事になるという話でした

決勝戦の「岡山県共生高等学校 対 東京学芸大学附属国際中等教育学校」は準決勝とは異なりBO3(2勝して決着)というルールで行われました。1戦目は、序盤に東京学芸大学附属国際中等教育学校が有利な場面を作るものの、岡山県共生高等学校が後半で一気に巻き返し、鮮やかに勝利しました。

  • 決勝戦。場所決めはジャンケンで決まり、勝った東京学芸大学附属国際中等教育学校がブルーサイド(マップの左下から右上に進む)を選択しました。これまでブルーサイドが勝利を収めているのが暗示的です

  • 岡山県共生高等学校はレッドサイド(マップの右上から左下に進む)です。キャプテンのAkabuff氏は終始前のめりでした

  • ドラフトのバンピックも事前に用意した作戦を見ながら彼が組み立てていました

しかし、続く2戦目では東京学芸大附属国際中等教育学校がきっちりと対策。危なげない試合運びで勝ち、そのまま3戦目も勝利し、優勝を決めました。

  • 高校No.1は2/3戦を勝利した東京学芸大学附属国際中等教育学校に!

  • 準優勝となった岡山県共生高等学校。2名は3年生なので卒業ですが、Akabuff氏は2年生なので、この夏も参加したいとの事

  • 優勝した東京学芸大学附属国際中等教育学校。Flow氏の存在を知って2/3年生がバラバラのチームで出場する予定でしたが、合同チームにしたそうです

全チームに対して、オフライン大会の感想を聞いてみたのですが、寝不足はあったものの、試合が始まると観客の多さは気にならなかったと口をそろえているのが印象的でした。

今回の会場(幕張メッセホール1)はLJLの試合会場(2018年は中野のRed Bull Gaming Sphere Tokyo[観客キャパは80名ほど]、2019年は渋谷のよしもと∞ホール[客席数230])よりも広く、まったく影響がないとは思えないのですが、目の前のディスプレイに集中、ヘッドセットからはゲームと仲間の声(各選手のマイクからの音が全員に聞こえる)しか聞こえないのがよかったのかも知れません。

日本でeスポーツと言うと、有名選手が多い「格闘ゲーム」のイメージが大きいと思いますが、格闘ゲームは1対1の戦いであり主にプレイヤーのスキルに左右されます。LOLは5対5のチーム戦であり、個々のプレイヤーだけが強くても試合に勝てるとは限りません。やはりチームの連携が鍵になります。その意味では「部活向け」と言えるように思います。

「eスポーツを部活にする」と言うことに関して、さまざまな議論がある状況ですが、毎日新聞が主催しているという事が多少なりともプラスに働いたという感じもあります。

今回の成功を受けて、第2回の開催も決定しました。次回はさらに会場が盛り上がり、スポーツ部でよくある「応援合戦」にも期待したいと思います。

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