ウエスタンデジタルのNVMe対応SSD「WD Black SN750 NVMe SSD」(以下、WD Black SN750)は、2018年5月に発表された「WD Black NVMe SSD」(以下、WD Black)の後継だ。同社のNVMe対応SSDとしては第2世代になる。WD Black SN750は全体的にパフォーマンスが向上しているほか、ヒートシンク装着モデルも用意されていることが特長だ。今回、WD Black SN750の1TBモデルについて、性能を検証してみた。

  • WD Black SN750 NVMe SSD

    WD Black SN750 NVMe SSDのパッケージ

基本的なハードウェア構成はWD Blackと同じだが、2TBモデルやヒートシンク装着モデルが加わった

WD Black SN750は、NVMe 1.3に対応し、物理層はPCIe Gen 3.0 x4に対応したSSDだ。フォームファクターはM.2(Type 2280)で、NANDフラッシュメモリとしては、東芝とWDが共同で開発・製造している64層3D NAND「BiCS3」が採用されている。

BiCS3は、1セルに3bitの情報を記録する3bit MLC(TLC)であり、従来モデルのWD Blackでも同じものが採用されている。コントローラも、WD Blackと同じ自社開発のものだが、詳細は公開されていない。WD Blackと同様に、フラッシュメモリの一部をSLC(Single Level Cell)キャッシュとして利用する高速化技術「nCache 3.0」も搭載されている。

WD Black SN750の基本的なハードウェアは、WD Blackと同じだ。ファームウェアの最適化などによって、パフォーマンスを向上させた新モデルといえるだろう。

容量のラインナップは、2TB、1TB、500GB、250GBの4種類。WD Blackにはなかった2TBモデルが新たに追加された。最近は大容量SSDもだいぶ買いやすい価格になってきており、1TBでは容量的に不足するというユーザーには嬉しい進化だ。

また、ヒートシンク装着モデルとヒートシンク非装着モデルを選べるようになったことも特長だ。今回試用したのはヒートシンク非装着モデルだが、250GBモデル以外は、ヒートシンクがあらかじめ装着されたモデルも用意されており、合計7製品となる。

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    WD Black SN750 NVMe SSDの表面

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    WD Black SN750 NVMe SSDの裏面

公称パフォーマンスが旧モデルに比べて向上

WD Black SN750は、WD Blackに比べて公称パフォーマンスが向上している。WD Black SN750のシーケンシャルリード速度は2TBモデルが最大3400MB/秒、1TBモデルと500GBモデルが最大3470MB/秒、250GBモデルが最大3100MB/秒なのに対し、WD Blackのシーケンシャルリード速度は1TBモデルと500GBモデルが最大3400MB/秒、250GBモデルが最大3000MB/秒である。

また、WD Black SN750のシーケンシャルライト速度は2TBモデルが最大2900MB/秒、1TBモデルが最大3000MB/秒、500GBモデルが最大2600MB/秒、250GBモデルが最大1600MB/秒なのに対し、WD Blackのシーケンシャルライト速度は、1TBモデルが最大2800MB/秒、500GBモデルが最大2500MB/秒、250GBモデルが最大1600MB/秒となっており、大容量モデルでパフォーマンスが向上していることが分かる。

WD Black SN750のランダムアクセス性能は以下の通りだ。

・4KBランダムリード(QD32T1) : 最大48万IOPS(2TBモデル)、最大51万5000IOPS(1TBモデル)、最大47万IOPS(500GBモデル)、最大22万IOPS(250GBモデル)
・4KBランダムライト(QD32T8) : 最大55万IOPS(2TBモデル)、最大56万IOPS(1TBモデル)、最大38万IOPS(500GBモデル)、最大18万IOPS(250GBモデル)

それに対して、従来モデルWD Blackのランダムアクセス性能は以下。

・4KBランダムリード(QD32T8) : 最大50万IOPS(1TBモデル)、最大41万IOPS(500GBモデル)、最大22万IOPS(250GBモデル)
・4KBランダムライト(QD32T8) : 最大40万IOPS(1TBモデル)、最大33万IOPS(500GBモデル)、最大17万IOPS(250GBモデル)

特にランダムライトは、WD Black SN750の1TBモデルや500GBモデルでかなり性能が向上しているようだ。

WD Black SN750の耐久性に関わる書き込み可能容量(TBW)は、2TBモデルが1200TBW、1TBモデルが600TBW、500GBモデルが300TBW、250GBモデルが200TBWであり、WD Blackとまったく同じだ。

MTTF(平均故障時間)は全モデルとも175万時間であり、こちらもWD Blackと同じ。保証期間もWD Blackと同じ5年保証だが、コンシューマー向けSSDとしてはトップクラスの保証期間であり、仕事用PCでも安心して利用できるだろう。