米IC Insightsは「2019年(今年)、Intelが再び半導体業界のトップの座に返り咲く可能性が高い」との予測を3月7日(米国時間)に発表した。Intelは、1993年にNECからトップの座を奪って以来、2016年まで23年間にわたって業界トップに君臨してきたが、2017および2018年の2年間はメモリバブルの恩恵を享受したSamsung Electronicsにトップの座を奪われていた。
IC Insightsによると、2019年の半導体メモリ市場は、メモリバブル崩壊で前年比24%のマイナス成長と大幅に下落する見通し。この影響を受けて半導体市場全体も同7%のマイナス成長になると同社の3月度レポートでは予測している。2018年、Samsungの半導体分野の売り上げの83%がメモリ関連であったことから、メモリ市場の低迷で2019年の同社の半導体分野の売上高は同20%減と急落するとIC Insightsでは予想している。これに対して、Intelの半導体売上高は、ほぼ横ばいになると予測しており、結果として、Intelが再び半導体業界トップの座に返り咲く可能性が高くなったとしている。
半導体メモリ、その中心であるDRAMとNANDともに2019年の市場は大きく減速する可能性が高いと見られることから、IC Insightsは、Samsung以外にもメモリ専業のSK Hynix、Micron Technology、東芝メモリの業績について、前年比20%以上の下落となり、2017年の水準あるいはそれ以下にまで落ち込む可能性が高いと見ており、一部で言われていたようなスーパーサイクルなどは存在せず、2019年は、悪名高い不安定なIC業界の景気循環、いわゆるシリコンサイクルが厳然として存在することを見せつける年となるだろうと指摘している。とりわけ半導体メモリの世界では、昔からローラーコースター並みのシリコンサイクルが繰り返されてきている、その様が繰り返されることとなる模様だ。
なお、2019年、メモリサプライヤ各社は大きな困難に対峙する必要があると目されることから、各社による大規模な設備投資は削減される可能性が高い。その結果、2019年の半導体業界の設備投資総額も前年比で少なくとも14%ほど減少する可能性があるとIC Insightsは指摘している。