台TrendForceのディスプレイ調査部門であるWitsViewは、この数年間、UHD(Ultra HD)ディスプレイの普及に併せて、ディスプレイドライバICの消費も増加が続いてきており、2018年も前年比8.8%増の成長となったが、2019年は、大型パネルの設計技術の変更と小型パネルの出荷数量の減少によって、その成長率は同3%程度となり、以降も数年にわたって1~2%台の成長率にとどまる見通しとの調査結果を発表した。

アプリケーション別に、ドライバICの状況について、TrendForceのWitsView部門調査マネージャであるJulian Lee氏は、「全ドライバICの約35%を消費しているテレビを中心とする大型パネル向けは、2019年も成長をけん引する勢いを維持している」とする一方、狭額縁製品に対する需要の高まりと新しいディスプレイへの(ゲートドライバ機能をガラス上に作り込む)GOA(gate on array)技術の普及により、大型パネルへのドライバICの消費量は緩やかになる見通しだとしている。

一方の小型パネル向け、スマートフォン(スマホ)市場の停滞とタブレット市場の縮小により、消費が減少する見込みであるとのことで、全体としてのドライバIC市場の成長も、これまでの数年間と比べて鈍化する見込みだとしている。また、次に成長が勢いづくのは、成熟した5Gネットワーク下で伝送速度が上昇し、電子デバイスの仕様をアップグレードする新たな波が起こる2021年以降となるともしており、それまでは、スマホの買い替え、8Kテレビの普及拡大、車載用途やIoTといった新規アプリケーションの出現が、ドライバICのけん引役になるとしている。

CoFパッケージ用のフィルムは需給ひっ迫

18:9が新世代スマホの主流のアスペクト比になるにつれて、スマホメーカーはベゼルをより狭くすることに取り組んできた。そのため、2018年に発売された3種類のiPhoneをはじめとするスマホの多くが、従来のChip-on-Glass(CoG)パッケージからChip-on-Film(CoF)パッケージへと切り替わってきている。

中でも中国では大型パネル向け生産能力の増加が、テレビ向けパネルの出荷を押し上げ、CoFパッケージに使用されるフィルムの需要も増加させてきた。しかし、この数年間、CoFパッケージ用フィルムの製造業者は、収益性が低いために生産能力を増やすための投資をしておらず、最近の需要の増加によりフィルムの供給が逼迫する可能性がでてきたという。

テレビや液晶モニターもCoFパッケージを採用しているものの、得られる利益はスマホ用のCoFパッケージの方が高いとTrendForceでは指摘している。また、CoFパッケージを採用したスマホの数量は2019年、前年比2倍に拡大する可能性が高いともしており、テレビや液晶モニタ用のフィルムの供給がひっ迫する可能性があるとする。

このため、大型パネル用CoFパッケージ向けフィルムが2019年上半期に供給不足になる可能性がでてきているとのことで、パネルの出荷数もその影響を受ける可能性があるとTrendForceは見通しを示している。

  • ドライバICのアプリケーション別消費数量

    ドライバICのアプリケーション別消費数量と前年比成長率の推移予測(2017年は実績、2018年は推定、2019年以降は予測) (出所:TrendForce/WitsView、2019年1月)