一応現状でわかっている範囲で、Vega 20の情報をお知らせした。実はこれを書いていて思ったのだが、Vega 20はNVIDIAでいえばVoltaの様に、HPC/AI向けに特化したアーキテクチャになっており、コンシューマ向けには降りてこない気がする。

その理由は? というと先にプロセスのところで説明したが、7nmプロセスに向けての最適化が、結構甘い気がするためだ。これをコンシューマ向けに持ってきて、例えば32CUのモデルとかを作ってもコスト的には割に合わない(相変わらず無駄が多い)。FP64とかINT4のサポートもコンシューマ向けには不要だ。

また、InfinityFabricによるカード間接続も、HPC用途はともかくコンシューマ向けにはいまのところ無用の長物というか、無駄に性能が高すぎる。CPU Deep Diveの中で「CUを半分くらいに減らしたモデルもラインナップされると思われる」と書いたが、これは撤回したほうが良さそうな気がする。

ではコンシューマ向けには何がくるのか? というと、Naviベースになりそうだ。こちらは、もう少し最適化を進めたものになるだろうし、コスト面からGDDR6をサポートすると思われる。そうすれば、HBCCは廃することになるだろう(Next Horizonの折にVega 20にGDDR6を接続できるか? と確認したところ、不可能という返事が戻ってきた。恐らくHBCCベースにする限り無理だと思われる。そしてNaviだけでなくVegaもそうだが、HBCCは必須ではない。実際Vegaコアを搭載したRyzen GはHBCCを搭載していない)。

Multi GPUは引き続きNative CrossFireで十分だろう。むしろNCUの構造をもっと簡略化して、実装密度を上げることでダイサイズを減らす工夫が必要になる。そもそもNaviがGCNの延長にあるかどうかも怪しい(Post GCNという噂は飛んでいるが、確たる情報はない)。設計チームとしては早めにVega 7nmの作業を終わらせてNaviの実装に移りたいはずで、そう考えるとVega 7nmの最適化が甘いのも無理ない気はする。

この推定が正しいとすると、当面新しいコンシューマ向けGPUは期待できない。時期的にいえば、2019年のGDC前後(2019年3月)あたりには何かしらのPreviewがありそうではあるが、そうなると製品の出荷は1年とはいわないまでも、半年以上先になるだろう(2019年8月20日に始まるGamesconは、そういう意味ではなかなか絶妙なタイミングな気がする)。そんなわけでAMD GPUの次期製品をお待ちの方は、もうしばらく待つ必要がありそうだ。