トピック3:Pixel 3ってどんなスマホ?

グーグルが設計を担当したスマートフォン、Pixel 3。「3」の名の通り、これまでPixel(2016年)、そしてPixel 2(2017年)が海外で発売されてきましたが、日本ではこのPixel 3が、シリーズとしてはじめて投入されたモデルになります。

グーグルは2018年11月、日本で「Pixel 3」と「Pixel 3 XL」というスマートフォンを発売し、大規模なプロモーションを実施するなどして話題となりました。かつてグーグルは「Nexus」というブランドで、日本でも2015年までスマートフォンを販売していましたが、2016年以降は姿を消しています。それが「Pixel」となって再上陸したのには、グーグルの戦略が大きく影響しています。

  • 「Pixel 3」。撮影した写真を解析し、被写体にまつわる情報を表示するGoogleレンズにいち早く対応した

元々グーグルはインターネットサービスの会社であり、スマートフォンに関してもOSとなる「Android」と、これに関連するインターネットサービスに力を入れていました。それゆえNexusシリーズのスマートフォンは一般消費者に向けたものというより、最新かつ“素”のAndroidを利用したい、アプリ開発者に向けたAndroidの標準モデルという意味合いが強いものだったのです。

  • 「夜景撮影に強い」ことも特徴のひとつ

ですがグーグルは現在、自社サービスの提供の場をインターネット上だけでなく、現実世界にも広げようとしています。そのためにはサービスを利用するためのハードウェアが必要なことから、ハードとソフトを一体で開発・提供するという戦略に切り替えたのです。声で操作しさまざまなサービスが利用できる「Googleアシスタント」が利用できるスマートスピーカー「Google Home」が、その代表例といえるでしょう。

実はPixelシリーズもGoogle Homeと同様、米国などでは2016年から提供されているもの。ではなぜ、日本への上陸が2018年になったのかというと、現実世界で利用できるグーグルのサービスの要でもある「Googleアシスタント」や「Google Pay」などのサービスが日本でも使えるようになったためです。環境が整っただけに、グーグルは2019年以降、日本でのPixelシリーズの販売に一層力を入れてくることとなりそうです。

  • スマートスピーカー「Google Home Mini」。Googleアシスタントと連携し、声で質問を投げかけると返答する

トピック4:中国メーカーのスマホが増えているのはなぜ?

「ファーウェイ」や「OPPO」という会社の名前を、今年初めて耳にした人もいるかもしれません。この2018年は、5年ぶりにNTTドコモがファーウェイ製スマホを大々的に発売したり、世界第4位のスマートフォンメーカー、OPPOが日本に本格進出したりするなど、価格の安い中国メーカー製スマホが存在感を示しました。一方で、米国との軋轢も深まってきています。

NTTドコモから発売された「HUAWEI P20 Pro」をはじめとして、2018年はファーウェイが大手3キャリア全てにスマートフォンを提供し、第2~3四半期の国内スマートフォン販売シェアでも上位5位にランクインするなど大躍進を遂げました。また同様に2018年、世界第4位のスマートフォンメーカーであるOPPOが日本進出を果たし、FeliCaを搭載した「R15 Pro」を販売するなど次々と新製品を投入して話題となっています。

  • ファーウェイの「P20 Pro」(ドコモ版)。Leicaと共同開発した背面トリプルカメラは、特に暗所での撮影がキレイに撮れると評判になった

  • OPPOの「R15 Pro」。それなりに手ごろな価格でおサイフケータイや防水に対応するミドルハイクラスの製品だ

これらはいずれも中国のメーカーなのですが、なぜ中国メーカーが日本で急速に存在感を高めているのかというと、そこには日本の行政が大きく影響しています。日本のキャリアはこれまで、大手キャリアが通信料金を原資として端末価格を大幅に引き下げて販売するという販売手法をとっていましたが、総務省がこの販売手法を問題視。分離プランの導入を推し進めるなどしたことで、端末を安く販売するのが難しくなっています。

そうしたことから低価格のスマートフォンに対するニーズが高まっており、元々低価格のスマートフォン開発に強みを持つ中国メーカーが、日本市場に入り込みやすくなったわけです。しかも中国メーカーは低価格スマートフォンで世界的に販売シェアを伸ばしており、その売り上げを研究開発に積極投資してハイエンドスマートフォンの開発にも力を入れるようになったことで、ハイエンド市場でも存在感を高めている、という結果につながっています。

では2019年も中国メーカーの人気が高まるかというと、必ずしもそうとは言えなくなってきました。その理由もまた政治にあり、年末には米中摩擦の影響を受ける形で、日本政府もファーウェイなど中国メーカー製の通信機器を導入しない方針を打ち出したとの報道がなされています。このことがスマートフォンの販売に直接関係する訳ではないのですが、イメージダウンは免れないでしょう。2018年には中国のZTEが、米国の制裁を受け破たん寸前に追い込まれるという出来事も起きているだけに、中国メーカーの今後は国際情勢に大きく左右されることになりそうです。