さらに賢くユーザーに最適化

Yoga Bookのキーボードは、使う人のくせを学習して、キーが反応する領域のサイズや位置を動的に変える「エルゴノミック。ヴァーチャル・レイアウト」(E-VL)という仕組みを採用します。これによって、普通のキーボードと比べて、タイピングの生産性が向上しています。

C930はE-VLも進化。学習機能を基にしたキー領域の調整は引き続き行いますが、さらに「1本指でのタイピング」「タッチタイピング」といったユーザーのタイピングスタイルを検出して、それに合わせた位置やサイズの変更が可能となっています。

  • 「エルゴノミック。ヴァーチャル・レイアウト」(E-VL)も機能追加

さらに個別のキーを都度調整するだけではなく、キーボード全体のレイアウトもリアルタイムで切り替えられるようになりました。C930では通常のキーボードと比べて22%のタイピング生産性向上を実現しました。

なお、初代と同様にE-VLではキーの入力履歴を保持していないので「キーロガーのような問題は一切発生しない」とセキュアなことを強くアピールしています。

実際にキーを押しているような錯覚で打ちやすく

また、打ちやすさを向上させる工夫として「クロスモーダル・フィードバック」を活用しています。ある知覚が別の知覚に作用して、実際には起きていないことを体験したように錯覚することを「クロスモーダル現象」といい、VR業界などで注目されています。

  • クロスモーダル・フィードバックで、本物のキーを押しているかのようにユーザーに錯覚させる

例えば、チョコクッキーの映像を見て、チョコの香りをかぎながら、プレーンクッキーを食べると、まるでチョコクッキーを食べているかのように感じるそうです。

C930も「クロスモーダル現象」を活用し、キーが押されているようなアニメーション(視覚)、キーを押したときのタイプ音を鳴らす(聴覚)、キーを押したときの振動(触覚)を組み合わせて「普通のキーを押している」感覚を得られるとしています。

アニメーションでは、タイピング時の姿勢を基に、キーを押しているように見える位置を割り出しています。これによって5.8%生産性が向上したといいます。さらに入力時にキーを見ていないタッチタイプユーザーでも、なぜか入力速度が向上。「仮説としては、音や振動から実際にキーを押しているように感じられるので、キーボードを信頼して速度が上がるのではないかと考えられる」とのこと。

タイプ音もキー入力時±1msの低遅延や、快適な音色、どのくらいの長さで音を鳴らすかなどの最適化を図り、7.3%の生産性向上を実現しました。

複数言語への対応など、レイアウトの変更も改善

C930は、従来のYoga Bookに近いキーレイアウトである「クラシック」と、テストで得られた最適なキーピッチに近付けた「モダン」という2つのレイアウトを選べます。また、28言語のキー配列、仮想アニメーションの有無も切り替え可能です。

  • クラシックとモダンのレイアウトを選択できます。モダンの方ではタッチパッド部分の大型化も実現しています

  • 28の言語に対応。言語とクラシックとモダン、アニメーションの有無を組み合わせると100通り以上のレイアウトを選択できることになります

各キーボードに対して、電子署名と暗号化で保護しており、レイアウトや言語を切り替える際は、署名を確認して復元処理が入るため、10秒前後の時間を要します。

Caps Lockや機内モードのオン/オフなどが分かるようにアクティブインジケータを実装。便利な機能ですが、それぞれの状態をOSとやりとりしたり、エンジンリソースの最適化など苦労したそうです。

また、レノボが「世界初」とアピールするのが、タッチスクリーン上での「Windows高精度タッチパッド」です。3本指や4本指でのジェスチャ操作に対応しています。「高精度タッチパッド」というには反応速度など厳しい条件があり、実現に向けて開発パートナーやMicrosoftと緊密な連携が必要だったといいます。

  • タッチパッドはWindows高精度タッチパッドに対応。レノボでも「これはかなり大きな特徴の1つ」とアピールします

タッチパッド部分の境界に指が近付くと振動で知らせる「バーチャルボーダー」や、単純なタッチと指の押し込みを識別する「仮想プレス」といった機能もあります。特に「仮想プレス」を利用すると、1本指でのドラッグ&ドロップが可能で、「ちょっと慣れが必要だが、非常に便利な機能」としています。

C930のキーボードは、単にE Ink採用というだけでなく、思った以上に手が入っているという印象です。発表会では、従来モデルのユーザーから「かなり打ちやすくなった」という声も聞かれました。

ThinkPadを代表とする「キーボード」へのこだわりを感じさせるとともに、それをサポートするLenovo Resarchという縁の下の強力な力持ちの存在をうかがわせる説明会でした。