Windows 10 バージョン1809(October 2018 Update)でさまざまな問題が多発している。配布を一時停止し、米国時間2018年11月13日に再リリースした機能更新プログラムだが、Changelogを確認すると、以下のような問題が確認されているという。

  • AMD Radeon HD 2000 & HD 4000 シリーズのGPU問題。
  • トレンドマイクロ製品との互換性問題。
  • デバイスの起動後およびログオン後に、ネットワーク共有の再接続に失敗する。
  • VPN接続がスプリットトンネル構成の場合、ネットワーク接続を失う。
  • iCloud for Windows バージョン7.7.0.27がインストールできない。
  • 特定のIntel製ビデオドライバーに関する問題。

例えば、米国時間11月21日に発覚したIntel製ビデオドライバーについてMicrosoftは、「Intelは誤ってWindows 10がサポートしていない機能を有効したドライバー(バージョン24.20.100.6344、24.20.100.6345)をOEMにリリースした」と説明し、コミュニティフォーラムによる情報の提供を続けている。

  • Windows 10 バージョン1809で多発するトラブル

    iCloud for Windowsのインストールを試みるとエラーになる

筆者の環境では、上記いずれの問題にも該当していないが、バージョン1809適用後に一部の挙動がおかしくなった。具体的には、起動時は正常動作するOEM製Windows Hello用デバイスが、再サインイン時に有効化しない。調査したところ、存在しないSID(セキュリティ識別子)を持つアカウントでDCOMアクセスを試みているようだ。

ただし、UWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)アプリの「カメラ」は正常に動作している。単なるアクセス権の問題だけではなく、Windows Helloの基盤となるBiometric Enrollment Host側に起因するバグの可能性も拭い切れない。

  • Windows 10 バージョン1809で多発するトラブル

    再サインイン時はエラーとなるWindows Hello

この問題が発生しているWindows 10 バージョン1809は、バージョン1709から2回の機能更新プログラムを適用してきたため、小さな不整合が積み重なっているのかもしれない。長年のWindowsユーザーには肯定していただけると思うが、OSのメジャーアップグレード時は新規インストールが最適である。かつて、(今はなき)Service Packリリースごとに新規インストールしていた読者諸氏もおられるだろう。この視点に立てば、問題が発生している環境も、そろそろ新規インストールすべき時期……といえる。

さて、冒頭で述べた機能更新プログラムの一時停止だが、Windows Centralが興味深い記事を発信した。

内容を要約すると、「Microsoftは過去2年間、機能更新プログラム適用時にファイルが削除される問題をフィードバックHub経由で把握していたが、一部のユーザーが一時的なアカウントを利用していたため同社はその対応を行い、問題を解決したと判断。だが、問題はKFR(Known Folder Redirection)にあったため、Microsoftは原因を見逃してしまった」というものだ。一言でまとめれば、「Microsoftは複数のバグを混合させてしまった」ことになる。

  • Windows 10 バージョン1809で多発するトラブル

    Windows Centralの記事によれば、MicrosoftはフィードバックHubに重要度評価システムを導入したという

この情報元について、Windows Centralは「問題に精通した人」と記述しており、真偽のほどは不明だが、ソフトウェアのバグをゼロにするのは不可能。前述した互換性問題も、IntelやAMDなどのベンダー側に起因する現象が多く、単純にMicrosoftを否定しても意味がない。とはいえ、業務の基盤となるOSが不安定になるのは困りものだ。手元のSurfaceデバイスで有効化しているWindows 10 Insider Previewのほうが安定しているのは皮肉である。

阿久津良和(Cactus)