2020年1月14日、Windows 7の延長サポート期間が終了します。2018年11月から数えると、残り1年と少々。個人でも企業でも、いまWindows 7を使っているユーザーは多いと思いますが、Windows 10への移行をそろそろ真剣に考えるべきです。

  • 日本マイクロソフトの記者説明会から。日本マイクロソフトが中小企業を支援する一環として、公式アンバサダーに神スイングの稲村亜美さん(写真中央)が就任。詳細は記事の後半で。写真左は日本マイクロソフト 執行役員 コンシュー マ&デバイス事業本部 デバイスパートナ営業統括本部長 梅田成二氏、写真右は日本マイクロソフト 業務執行役員 Microsoft 365 ビジネス本部長 三上智子氏

まず個人ユーザーとしては、(1)Windows 10のライセンスを購入して現在のパソコンをWindows 7からWindows 10にアップグレードする、(2)新しいWindows 10パソコンに買い替える、という2つの手段があります。おすすめはもちろん「(2)新しいWindows 10パソコンに買い替える」です。

Windows 10がリリースされたのは2015年7月29日ですから、かれこれ3年以上前。もっとも新しいWindows 7マシンでも、3年は経過しているわけです(中古や型落ちセール品、自作を除けば)。

日本マイクロソフトが記者説明会で公開した資料によると、パソコンは新品を使い始めて4年目以降、修理率が67%に跳ね上がります。3年目までは20%以下です。これには「ノートパソコンのバッテリー劣化」といった軽微な修理も含まれるため、一概に「使えなくなるほどの故障」が増えるわけではありませんが、パソコンが経年劣化するのは確かなことです。

  • 中堅中小企業のデータですが、新品のパソコンも4年目以降は段々と調子が悪くなっていきます

パソコンは決して安くないので、なかなか踏ん切りがつかないかもしれません。でも、新しいマシンは性能も高く、買い替えることでずっと快適になるし、Windows 10の奥底、目に見えないセキュリティ面が強固になっているのも重要です。Windows 7の延長サポートが終わって一番の問題といってもよいのは、セキュリティの弱いところが解消されなくなることです。

  • Windows 7の一般リリースは2009年9月。まさに「十年一昔」ですね

日本マイクロソフトは、Windows 7の延長サポートが切れる2020年1月14日のだいたい1年前から、いま以上の告知活動を始めるとしています。個人ユーザー向けのキャンペーンなども多く用意するそうです。詳細はまだわかりませんが、オトクなキャンペーンが始まったタイミングで、新しいWindows 10マシンへ買い替えるのもおすすめです。

2019年10月には消費税が10%に上がり、増税前の駆け込み需要も予想されます。Windows XPサポート終了時は、終了日の数カ月前から新しいパソコンを買うユーザーが急増しました。人気のモデルが早々にメーカー在庫切れになったりしたので、増税直前の2019年8月~9月と、Windows 7サポート終了間近の2019年12月は、買い物には注意したいところです。

Windows 10への移行、中小企業で遅れが目立つ

次に、企業ユーザーの動向を見てみましょう。日本マイクロソフトは、企業と自治体に対して、2016年ごろから本腰を入れて告知と支援を始めています。「Windows XPのとき、予算の確保や全体的な準備でもっと時間がかかるという声が非常に多かった」(日本マイクロソフト 三上氏)という、いささか苦い経験もあるでしょう。

  • 個人的には、もっと進んでいないと思ってました……

その甲斐あって、大企業で95%、自治体で97%が、Windows 7サポート終了を認知し、Windows 10への移行に向けた行動を始めているそうです。問題は中小企業で、認知・行動は57%にとどまります。首都圏と地方で差が大きいことも課題としており、日本マイクロソフトは今後、中小企業への支援と、全国でのイベントやセミナーといった取り組みの拡大を図ります。

  • 考えさせられるデータですね

ITにまつわる中小企業のアキレス腱は、多くがマンパワーと予算、知識と経験でしょう。マンパワーや知識・経験の面では、日本マイクロソフトとパートナー企業がサポートしていきます。「お金」については各種キャンペーンやキャッシュバックが中心ですが、「ITは投資ではなくコストと考えがち」(日本マイクロソフト 梅田氏)という一節が印象的でした。

  • 時は金なり。時間をお金に換算したり、単位時間当たりのアウトプット量を積算したりするのは大切

先ほど、4年たったパソコンは修理率が上がると紹介した点に加えて、4年前のパソコンは年間「349,983円」の損失とするデータがあります。使えるうちは使うと節約しているつもりでも、結果的に買い替えたほうが安かったというのは往々にしてあるものです。コストが上がってきたら投資をしてコストを下げ、中長期的に相殺またはプラス化するのは、大事な考え方のひとつでしょう。

Windows 7サポート終了にあたり、中小企業に対する日本マイクロソフトの支援は、「クラウド(Microsoft 365)」と「モダンデバイス」が大きな柱となります。ここでいうモダンデバイスの定義は、ハードウェアパフォーマンスと新しいフォームファクタ(2in1など)、モビリティ、包括的なセキュリティの3点です。詳細は省きますが、最新のWindows 10マシンとクラウドを上手に使うと、仕事がスムーズかつ早くなるシチュエーションは、漠然とでも想像できるのではないでしょうか。これには、テレワークなどの働き方も含みます。詳しくは、日本マイクロソフトの法人向け総合ポータルを参照してください。

  • 米国では、IT環境とオフィスの住環境が悪いと、離職率が高まるというデータが注目されています

稲村亜美さんがお助け

新しい取り組みのひとつとして、タレントの稲村亜美さんをアンバサダーとした「中小企業お助け隊」を発足。2018年11月9日の札幌を皮切りに、全国10都市で「クラウド活用による経営力強化セミナー」を開催します。稲村さんは、札幌会場、大阪会場、福岡会場に訪れる予定です。

記者説明会では、日本マイクロソフトの三上氏から稲村さんに、アンバサダー任命状が手渡されました。その場で神スイングも披露した稲村さん、「中小企業に新しい風、変革の風を吹かせて、元気にしてください」との期待に、「ビジネスという言葉に責任を感じます。がんばります!」(稲村さん)と大きな声で応えました。

  • 「クラウド活用による経営力強化セミナー」の予定

会場に展示していた「モダンデバイス」たち