米国時間2018年10月2日、MicrosoftはWindows 10 バージョン1809(October 2018 Update)のリリースを発表し、同日から手動アップデートを可能にした。しかし、バグの発覚で配信を急遽一時停止。その後、11月14日に自動アップデートを含め、ようやく配信を再開している。Microsoftの説明によれば、このバグによる被害は限定的だったという。

その被害というのが、フォルダーのリダイレクション有効時に一部の環境、古い場所にあるフォルダー内のファイルを削除してしまうというもの。この現象はOneDriveの自動保存機能でデスクトップや写真、ドキュメントといった各フォルダーをOneDrive上に移行させたケースも含まれる。また、一部の環境では、グループポリシーエディターの、「システム再起動時に指定した日数を経過しているユーザープロファイルを削除する」が誤動作し、ユーザープロファイルが削除されるケースがあるそうだ。

幸いにも筆者の各PC環境では本件に伴うトラブルに見舞われることはなかったものの、既にバグ修正のKB4464330を10月9日にリリースしており、Microsoftとしては比較的迅速な対応を行ったと評価して構わないだろう。バージョン1511から数えて6回目の機能更新プログラムだが、初っぱなからケチがついた形となったことは否定できない。

  • 10月9日の時点でWindows Insider Program未参加環境でもKB4464330を配布した

  • KB4464330適用後のOSビルドは17763.55

さて、Windows 10 バージョン1809を総括すると、"モバイル連携をさらなる強化"したバージョンといえる。詳しくは後述するが、Your Phone改め「スマホ同期」やタイムラインの連携先をスマートフォン(スマホ)に拡大するなど、社会のビジネススタイルもしくはライフスタイルに即した機能拡張を行ったと捉えるべきだ。

改めて述べるまでもなく、ビジネスやコミュニケーションの道具はPCからスマホもしくはタブレットに移行し、PCは一部のユーザーが利用する存在になりつつある。それでも創造性や生産性という文脈でタブレットはPCにいまだ及ばず、PCを利用する場面は多い。だからこそMicrosoftも、Windows 10とスマホの親和性を高める取り組みを続けているのだろう。

  • Androidデバイスで撮影した写真やSMSを操作できる「スマホ同期」

  • Android上で動作するタイムライン

2015年7月にファーストバージョンが登場したWindows 10だが、駆け足3年で一定の完成度を見せている。次期Windows 10 バージョン1903となる予定の19H1は既に開発がスタートし、Windows Insider Program参加者には、本稿執筆時点で8つのOSビルドをリリースしたが、劇的な変化は見当たらない。

正直なところ、Windows 10がどの方向へ進んで行くのか分からないが、Microsoftが当初掲げたUWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)への移行は着々と進んでいる。古いWin32ベースのコードを破棄し、同社は新たなプラットフォームへの完全移行は最初から数年を要すると述べてきた。

さらに日本マイクロソフトは2020年まで、ワークスタイル&ライフスタイル革新を注力分野に掲げている。このことから使い場所を問わないクラウド化や、Microsoft 365とSurfaceシリーズをサブスクリプション化するSurface All Accessの拡大を踏まえると、Windows 10は本来OSが持つべき抽象化の色合いを強めていくのではないだろうか。