米IC Insightsは、半導体の応用分野(最終用途)である電子システムの2018年および2019年の市場予測を発表した。

同予測では、半導体を6つの主要な応用分野(通信、コンピュータ、コンシューマ、産業/医療機器/その他、自動車、官/軍事)に分けているが、その中でもっとも高い成長率を示しているのは自動車分野で、2018年に前年比7.0%増の1520億ドル、2019年も同6.3%増の1620億ドルへと拡大することが見込まれている。

また、同社の最近の調査結果によると、自動車向け電子システムは、 2017年から2021年にかけての年平均成長率は6.4%で、これはすべての応用分野の中でもっとも高い成長率を示している。

  • 2016年~2019年の電子システムのカテゴリ別市場規模

    2016年~2019年の電子システムのカテゴリ別市場規模 (出所:IC Insights)

2018年における自動車向け電子システム市場は、電子システム全体(約1兆6200億ドル)の9.4%を占めると予測され、2017年から0.3ポイントほどシェアを拡大する見通した。とはいえ、市場シェア率で見ると車載電子システムは、官・軍事用電子システムに次いで少なく、市場の拡大が進む2021年にいたっても、全体の9.9%を占める程度と、成長は続くが、まだ成長の余地も残るという位置に留まり続ける模様だ。

ちなみに、2018年の電子システム市場の中で、もっともシェアを占めているのは、通信向け電子システムで31.8%、2位がコンピュータ向け電子システムで25.8%となっている。

  • 2018年の電子システム市場の応用分野別シェア予測

    2018年の電子システム市場(1兆6200億ドル)の応用分野別シェア(%)予測 (出所:IC Insights)

自動車向け電子システム市場の拡大の背景には、自律的運転車(自動運転車)、ADAS、車車間通信(V2V)、車上の安全性、利便性、環境性能に重点を置いた技術、および引き続き高まっている電気自動車への高い関心といったさまざまな要因がある。今年、自動運転車がらみの死傷事故が発生したが、間接的にしろ、技術的なミスによるものとして非難されたにもかかわらず、市場は拡大し続ける見込みである。

さらに、近年の自動車システムの成長を後押ししているのが、ミッドレンジおよびエントリーレベルに装備される電子システムの増加およびアフターマーケット製品の高性能化である。これは特にアナログIC、マイコン、センサのメーカーにとっては、より多くの電子システムでの活用が期待されるため、追い風となっている。そのため、2018年の車載向けのロジック市場はDRAM市場に次ぐ前年比29%増の成長率となる見込みのほか、、車載向けアナログ半導体も、バックアップカメラ、ブラインドスポット(車線逸脱)検出システム、およびその他の"インテリジェントな"システムの採用などにより、同14%増と大きく伸びる見通しとなっている。なお、最大の成長市場となってるメモリ分野であるが、エレクトロニクス化の進展により、自動車が生み出すデータが増えれば増えるほど、搭載容量の増加などが期待されることから、今後はますます重要な役割を果たしそうである。