英Armは、特定のプロセッサコアに対する設計開始時のライセンス費用の無償化によりArm IPへの迅速なアクセスを実現する「DesignStart」プログラムを拡大し、ArmのLinux対応アプリケーションプロセッサで最小の消費電力と最高の面積効率を実現する「Arm Cortex-A5」を対象に加えることを発表した。

DesignStartプログラムによって、Arm CPUは多くの設計者に開放されており、CPUプロトタイピングのダウンロード件数は、過去12カ月間だけで3000件を上回る。その中には、コンセプトの立案からテープアウトまでを半年足らずで達成した企業の例もあるという。

一方、Cortex-A5は、40nmプロセス実装時0.3mm未満の低実装面積と、40nmプロセス実装時100uW/MHz未満の動的電力効率により、製造コストは削減され、Cortex-Aプロセッサ中で最小の待機電力で、「Cortex-A7」、「Cortex-A9」、「Cortex-A32」プロセッサの70~80%に相当するパフォーマンスを実現する。また、高度なSIMDデータ処理機能を備えた、完全にコヒーレントなクアッドコア設計のほか、機械学習や他のカスタムプロセッサと高速で接続する高性能アクセラレータポートも接続。豊富な機能を持つ高性能プロセッサとして、20億個以上の累積出荷数を誇り、エッジIoT処理の入り口として、有力クラウドベンダー各社に採用されている。

このCortex-A5をDesignStartの対象に加えることで、ユーザーはCortex-A5プロセッサを迅速・容易に利用でき、市場投入期間を短縮する。

DesignStartプログラムのCortex-A5パッケージには、柔軟なシステムIPが採用されており、面積と消費電力に最適化されたSoCの開発が可能となる。カスタムチップのテープアウトの準備が整うと、Armの多種多様な「Artisan」フィジカルIPによって、市場投入期間を短縮できる。開発者にとっては、18社のファウンドリパートナーのサポートにより、250~5nmのプロセス技術に対応したデザインイネーブルメントプラットフォームも活用できる。

また、同プログラムには、Armのエキスパートによる1年間の設計サポートがついて、ArmのIPを7万5000ドルで利用できるほか、別のオプションでは15万ドルの利用料金で3年間のサポートが提供され、ユーザーは開始当初から最適なシリコンを実現できるという。

  • DesignStart

    Armの「DesignStart」プログラムのイメージ