ベンチマークは以上だが、最後に消費電力の測定を。いつもと違い、DhrystoneやWhetstoneを実施しても仕方ないので、今回は

  • 3DMark FireStrike Demo
  • SuperPosition 4K 1ターン
  • FFXV Bench 4K高品質 1ターン

の消費電力変動を測定してみた。

まずFireStrike Demo(グラフ67)。何となく妥当というか、性能が上がれば消費電力も上がるのは当然ではあるのだが、興味深いのはGeForce RTX2製品の消費電力が非常に安定していることだ。

GeForce GTX 1080 Tiは大体75秒あたりから、GeForce GTX 1080も140秒手前からやや消費電力が落ちている。これはおそらく温度が上がりすぎでThermal Throttlingが動き、消費電力を抑制して温度上昇を抑えていると思われるのだが、GeForce RTXではこうした傾向が見られない。要するに、電力/温度制御がより一段進んだと考えられる。

これが顕著に出ているのがSuperPosition(グラフ68)で、GeForce RTX2製品の直線ぶりが特徴的である。ピークで言えばGeForce GTX 1080 Tiの方がGeForce RTX 2080よりも消費電力が大きいのだが、長時間平均で言えばGeForce RTX 2080の方が消費電力が高い。

実のところ、これまでベンチマークでこの2製品の結果が近かったり離れたりするのは、測定に時間が掛かる(=温度が上がる)テストだと、GeForce GTX 1080 Tiの方がThermal Throttlingで動作周波数を落として性能が落ちる。短期間で終わるテストだとThermal Throttlingが発生せずに、性能が上がるのからではないか? という気もする。

もっともアプリケーションによっては、ここまでフラットにはならないという実例がFFXI(グラフ69)。要するにGPUに100%負荷を掛け続けられるようなアプリケーションだと、消費電力もフラットになるが、CPU側がボトルネックになって、しばしばGPU側が休みに入るようなケースでは、当然消費電力も細かく変動するというわけだ。ただその変動の具合が、GeForce GTX 1080Tiに比べると結構小さいのも特徴的に思える。

ということでこの3つのテストの中で、負荷がかかった状態の平均消費電力と、無負荷の待機時消費電力をまとめたのがグラフ70である。こうして見ると、GeForce GTX 1080の消費電力が低いなぁ、という変な感想が浮かんでくるのだが、それはともかくとしてやはりGeForce RTX 2製品の消費電力は大きい。

ほぼ同じプロセスを使いながら、SM数を増やし、SMの中の機能を増やし、ダイサイズも膨れ上がっているのだから、当然と言えば当然である。強いて言えばGDDR5XをGDDR6に変えたことで、帯域を引き上げつつ消費電力は下がっているのだが、これによる差はわずかだ。

グラフ71は各々の平均消費電力と待機時消費電力の差で、これがGPUフル稼働分+CPUフル稼働分の消費電力ということになる。おそらくFFXV BenchではCPUもフルに近い稼働状況なので差し引いて考える必要があるが、FireStrikeやSuperPositionではそこまでCPUの負荷は高くない。

総じてGeForce GTX 1080が150W前後、GTX 1080Tiで200W弱、GeForce RTX 2080で220~230W、GeForce RTX 2080 Tiで250W前後というあたりかと思う。要するにGeForce RTX 2製品は表1に出てきたTDPの枠をほぼフルに使い切っていると思われる。