IFA2018に出展するオーディオテクニカが、既報の通り完全ワイヤレスイヤホン2機種を含む2018年秋に向けた新製品を発表・展示しました。多くは日本での発売も予定している要注目製品ばかり。現地から試用レポートをお届けします。

待ってました! Sound Realityの完全ワイヤレスイヤホン

完全ワイヤレスイヤホンの「ATH-CKR7TW」は、Sound Realityシリーズの新顔として加わる音質重視のプレミアムイヤホンです。BluetoothのオーディオコーデックはaptXを含むAAC/SBCに対応。欧州での発売時期は11月ごろ、販売価格は249ユーロ(約3.2万円)前後を想定しています。

  • Sound Realityシリーズの「ATH-CKR7TW」。写真はグレー

  • ATH-CKR7TWのブラック

11mm口径のダイヤモンドライクカーボンコートを施した振動板搭載のドライバーを採用。BTレシーバーで受けた信号を、外付けの高音質DAC/アンプに送り込むこだわりの構造によって、Bluetoothイヤホンの限界を超える高音質にチャレンジしています。イヤホンだけで約6時間の連続音楽再生が楽しめるところにも注目です。

会場に展示されていた実機の音は、ボディがしっかりとしていてメリハリが効いていました。特にミドルレンジの鮮やかさが前に出てくるので、ボーカルものの楽曲にとても良くフィットすると思います。低音は曇りがなく見通しがとてもクリア。歯切れのよいスピード感がロックやEDMの楽曲と好相性と言えそうです。「待った甲斐」がありました。

  • カラバリはブラックとグレーの2色

  • ブラックのケース

スポーツ用完全ワイヤレスイヤホンは装着感抜群

「ATH-SPORT7TW」はスポーツシーンを意識した完全ワイヤレスイヤホン。欧州では11月ごろに発売予定。想定売価は199ユーロ(約2.5万円)前後。

  • スポーツタイプの完全ワイヤレスイヤホン「ATH-SPORT7TW」

5.8mm口径のドライバーを搭載。本体はIPX5相当の防滴設計としています。BluetoothのオーディオコーデックはAAC/SBC対応。

ほかの完全ワイヤレスイヤホンと違った魅力は、抜群のフィット感。“イヤーフィン”と呼ばれる、イヤーピースの他に付属するシリコン製のアクセサリーが、外耳のくぼみ全体に密着してきます。頭を激しく動かすどころか、うっかりイヤホンを身に着けた状態で人や物に触れても、簡単には落ちないのではと思えるほど、装着時の高い安定感はピカイチでした。

  • イヤーフィンがしっかりとした確かな装着感を提供してくれる

音質はタイトに引き締まった低域が足場を支えて、中高域が伸び伸びと鳴る元気なバランスの良さが特徴。スポーツシーンに心地よい音楽を届けてくれるイヤホンに間違いなくなるでしょう。

本体左右の側面パネルがタッチセンサーリモコンになっていて、左側で音量、右側で楽曲再生やハンズフリー通話の応答を操作します。いまやスポーツイヤホンを選ぶときの条件になりつつある、外の音を取り込みながら音楽が聴けるヒアスルー機能を搭載しています。

  • 本機もグレーとブラックの2色が揃う

納得のコスパ。個性豊かなワイヤレスヘッドホン2機種

ワイヤレスヘッドホンの新製品には個性的な2モデルが加わります。「ATH-SR50BT」は45mm口径のダイナミック型ドライバーを搭載するSound Realityシリーズのワイヤレスヘッドホン。付属のケーブルを使う有線リスニング時にはハイレゾ対応のヘッドホンになります。価格は199ユーロ(約2.5万円)前後を目標としています。

  • 「ATH-SR50BT」は2色で展開

内蔵するマイクで周囲の環境音を拾い、再生中の音楽の質を落とさないようにノイズ低減を図る「ノイズリダクションモード」を搭載。BluetoothのオーディオコーデックはaptXから対応しています。マットな質感のブラックとグレーの2色を揃えました。

兄弟機の「ATH-SR30BT」は内蔵バッテリーによる駆動時間がなんと約70時間という驚きのバッテリーライフを実現するワイヤレスヘッドホンです。軽量設計とバッテリーライフの長寿命化を重視したコンセプトモデル。有線接続には対応しないワイヤレス専用モデルは99ユーロ(約1.3万円)。発売後はオーディオテクニカの良質なワイヤレス入門機へ、あっという間に成長するかもしれません。

  • 軽量&ロングライフスタミナの「ATH-SR30BT」

  • 本体はコンパクトに折り畳める

今年もテクニカのハイエンド・ヘッドホンが見逃せない

「ATH-MSR7b」は、2014年に発売された「ATH-MSR7」の後継機にあたるポータブルヘッドホンです。現行モデルのATH-MSR7は、オーディオテクニカが1974年に初めてヘッドホンを発売してから40周年を迎えて登場した、気合いのこもったハイレゾ対応のポータブルヘッドホンでした。その銘機が4年ぶりにリファインされます。

  • 定番ハイレゾ対応ヘッドホンが進化。「ATH-MSR7b」として発売される

外観がまた美しく洗練されたほか、MSR7では筆者もやや気になっていた側圧強度がかなり改善されています。長時間リスニング時にも心地よさが持続。リケーブルは左右両出しになり、コネクタにオーディオテクニカ独自のA2C端子が採用されています。バランス接続のケーブルには4.4mm/5極のペンタコン端子を採用しています。発売予定時期は11月で、249ユーロ(約3.2万円)前後の販売価格になりそうです。

  • A2Cコネクタによるリケーブルが可能

音質は現行モデルよりも高域が穏やかになり、全体にバランス良く馴染む心地よい音に仕上がっています。低域もしなやかできめ細かく、好きな音楽に何時間でも没頭してしまいそうです。

  • ATH-SR50というワイヤードモデルも日本ではもしかすると発表されるかもしれない

そしてもう一つ、注目のヘッドホンが密閉型フラグシップの「ATH-L5000」です。こちらは全世界限定500本のみ生産を予定するプレミアムモデル。11月の発売を予定しています。

  • 贅を尽くした密閉型フラグシップヘッドホンの「ATH-L5000」

ヘッドバンドとイヤーカップには品質の高いコノリーレザーを使用。58mm口径の大型ドライバーが力強いサウンドを奏でるとのこと。本機は残念ながらIFA会場では試聴できなかったので、今度あらためて日本でお披露目される機会を楽しみに待ちたいと思います。

完全ワイヤレスからHiFiクラスのハイエンドまで全方位に抜け目なし。2018年秋のオーディオテクニカ新製品の発表ラッシュはIFAからスタートしました。筆者も今から年末に向けて買い物の準備を進めようと思います。

  • 交換カートリッジ「VM95」シリーズも出展されていた