続いて、小さな被写体をどこまで大きく写せるのか、近接撮影性能を見てみましょう。以下の写真は、RX100M5とRX100M6のそれぞれのズーム域を変えながら、ピントが合う範囲で、最も近くまで寄れる距離から撮影したものです。

カタログスペックには最短撮影距離(レンズ先端から被写体までの距離=ワーキングディスタンス)が記されていますが、実際にはその数値より少し近寄ってもAFでピントが合います。なので、ここでは実測での撮影距離(ワーキングディスタンス)を記載しています。絞り値はF5.6にそろえました。

なお、被写体として使ったトランプは、ブリッジサイズ(約57×89mm)と呼ばれる一般的なもので、名刺にほぼ近い大きさです。

▼RX100M5で撮影

  • ズームのワイド端(24mm相当)。レンズ先端からの撮影距離は実測で約4.5cm

  • ズームのテレ端(70mm相当)。レンズ先端からの撮影距離は実測で約28.5cm

▼RX100M6で撮影

  • ズームのワイド端(24mm相当)。レンズ先端からの撮影距離は実測で約6cm

  • ズームのテレ端(200mm相当)。レンズ先端からの撮影距離は実測で約90cm

  • ズームの中間位置(50mm相当)。レンズ先端からの撮影距離は実測で約8cm

結果は、ワイド端では既存モデルのRX100M5のほうが大きく写すことができ、テレ端では写せる大きさは互角、といえます。ただし、新モデルのRX100M6は、50mm相当になるズームの中間位置を使うことで、RX100M5のワイド端にも勝る高い撮影倍率が得られました。役立つケースも多いと思いますので、RX100M6を買った人はこのことを覚えておくとよいでしょう。

接写時の画質については、いずれのカットも画像周辺部になるほど甘くなる傾向があり、絞り込んでもあまり解消されません。接写では、見せたい部分をなるべく中央付近に配置したフレーミングがおすすめです。

ISO感度を変えて、暗所撮影性能をチェック

次は、ISO感度を変えながら夜景を撮り、高感度の画質を比較してみましょう。カメラを三脚に固定し、ズームはワイド端に、絞り値はF2.8に統一しました。

▼RX100M5で撮影

  • ISO400

  • ISO1600

  • ISO6400

  • ISO12800

▼RX100M6で撮影

  • ISO400

  • ISO1600

  • ISO6400

  • ISO12800

結果は、昼間の風景と同じく僅差といえます。厳密に見れば、RX100M6のほうが色ノイズが残っている反面、彩度の低下が抑えられている、といった細かい指摘はできます。ただ、写真の価値が変わるほどの差はありません。

以上のテストから分かったことは、RX100M6はレンズを光学8倍に高倍率化したにもかかわらず、既存モデルに勝るとも劣らないレベルの画質を実現できていることです。限られた範囲での撮影とはいえ、高倍率化によるシワ寄せは見られません。

個人的には、この結果によってますます撮影意欲が湧いてきました。テストはこれくらいにして、次ページではもっと自由に撮ることを楽しんでみましょう。