アプリ開発者にとって、スクリーンタイム機能は、自分のアプリが使ってもらいにくくなる要素とになるかもしれない。個別アプリは1日ごとに使用時間を記録され、ユーザーが使いすぎだと認識すれば、1日あたりの制限時間を設定されてしまう。

しかし通知からアプリを使用する分には、端末のスクリーンタイムはカウントされるが、アプリの使用時間としてカウントされない。Siriも同様で、Siriからアプリの機能を呼び出して使うことは、アプリ利用時間には含まれないのだ。

FacebookやGoogleをはじめとした「広告を表示させる」のを目的として存在しているアプリでない限り、使用時間が短くなることよりも、日々利用され、役に立つことの方が重要だ。ディスプレイにアプリが表示されている時間はあまり関係がないじゃないか、AppleはそうしたメッセージをiOS 12に込めて、通知とSiriという対案を提示した。

アプリ開発者は、通知とSiriを上手く活用したアプリ体験の設計に着手することになるだろう。アプリの変化とともに、ユーザーも、新しいiPhone体験へと移行を迫られているのだ。

松村太郎(まつむらたろう)


1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura