買わない家電も選び方が知りたい!
瀬尾: せっかくなので、冷蔵庫や炊飯器、洗濯機、テレビ、あと除湿機の選び方も教えてください
「買わない」と宣言している家電まで、ずうずうしく説明を求める瀬尾氏。しかし、内田さんはこころよく答える。このヘンテコリンな自称アイドルも、いつかリピーターになるなら安いものである。
内田さん: 初めて冷蔵庫を買うときに注意したいのが、扉の開く向きです。左開きと右開きがあるので、間取りに合わせて選ぶ必要があります。置き場所によっては扉が全開できない、人の立つ位置を確保できないといったことになりかねないので気を付けてください
瀬尾: たしかに。冷蔵庫はもう買っちゃったのに、なんでもっと早く教えてくれなかったんですか!!
逆ギレもいいところである。
内田さん: 容量は200L前半か150L前後の小型のものがいいでしょう。毎日のように自炊する人や、お酒をたくさん冷やしておきたいという人でも、300Lあれば十分。自炊はする予定ですか?
瀬尾: パン焼きは自炊に含まれますか?
内田さん: 炊飯器はひとり暮らしだと、みなさん3合炊きを選ばれますね。ご飯を一度にたくさん炊いて、冷凍して使いたい人だと、5合炊きにする人もいます。炊飯器にはIH式とマイコン式がありますが、マイコン式は熱源が底面だけに付いていて、下からの熱だけで炊飯します。IH式は底面だけでなく横にも熱源が付いていて、内釜全体を加熱して炊飯するので、炊きムラが少なくなります
瀬尾: なるほど……、価格はマイコン式のほうが安くなってます?
内田さん: でも味はIH式のほうが断然おいしいです。ちょっとでもこだわるのであれば、小さくてもIH式をオススメしますよ
瀬尾: パン好きで、味覚にも自信のあるボクみたいなタイプは、IH式を選ばなくちゃいけないってことですね
パン焼きを自炊に換算しようとする瀬尾氏の発言をなかったことにし、冷静に説明を続ける家電コンシェルジェのお手本のような内田さん。それに対抗するのは、「パン好きで味覚に自信があるボクはIH式」なんてぶっ飛んだ論理を展開する瀬尾氏。もはや異次元の戦いだ。
内田さん: 洗濯機はひとり暮らしだと、容量が5kgか6kgのものが標準です。週末などにまとめ洗いするなら、7kgの洗濯機もアリですよ。基本的に縦型です。ドラム式は小型のものがほとんどないので、ひとり暮らしではあまり使われません。女性の場合、外干しができないという理由でドラム式を選ぶこともありますね
瀬尾: 女性の衣類を部屋干しすることになる可能性も考えておけってことですね
多分違うぞ。
内田さん: ひとり暮らしで使うテレビは以前なら、23インチや26インチ、大きくても32インチでした。でも最近は40インチを買う人が増えています。40インチでも安価なものが増えていますし、30インチ前後のものとの価格差があまりないですから。AVにこだわる人はワンルームでも、大型の4Kテレビを選ぶケースがありますよ。テレビにこだわるのは男性がほとんどですが、女性でも映画が好きという理由で奮発していきます
瀬尾: 女性と映画を見ることになる可能性も考えておけってことですね。さすが内田さん、ナイスアドバイス(ウインク)
だから瀬尾氏、違うぞ。
内田さん: 梅雨どきに一番ニーズが高まるのが除湿機。部屋干し用として通年で使う人も増えています。コンプレッサー式のほうが電気代が安くファンもいいいので、梅雨のときだけ使うならコンプレッサー式がオススメです。ただ、コンプレッサー式は冬だと効果を発揮しづらいので、通年で使うならデシカント式か、両方を切り替えて使えるハイブリッドタイプを選ぶべきでしょう。動作音はデシカント式のほうが静かです。あとは部屋の畳数に合わせて選びましょう
瀬尾: 夜中も使いたいならデシカント式がよさそう
バルミューダを一点豪華主義で購入!
結局、一点豪華主義でバルミューダのトースターを買うことにし、予算はオーバーするものの、レンジと温水洗浄便座も一番安いものから選んで揃えることにした。レンジは総庫内容量20Lで700Wの加熱に対応する約11,000円の製品だ。温水便座は展示されている中で最安の16,320円だった東芝の貯湯式に決めた。
いよいよ金額の計算だ。一点豪華主義のためなら、多少のオーバーは生活費を切り詰めて調整しようと腹をくくる。
内田さん: 温水洗浄便座の設置費(取り付け工事費)込みで、58,520円(税込)になります。予算オーバーしていますが大丈夫ですか?
瀬尾: 端数の8,520円って安くなります?
内田さん: それ、端数なんですか(笑)
内田さんが気の毒になってきた。
いよいよ、クロージングだ。住所を伝え、配達と取り付けの日取りを決め、代金を支払って買い物終了となる。気を揉む場面もあったが、どうにか必要な家電は揃えられたといえるだろう。
瀬尾: 住所は文京区の千駄木です。東大や芸大に近い文化的な地区なので、ボクにピッタリなんですねえ
内田さんに配達先を伝える瀬尾氏。千駄木といえば明治の文豪・森鴎外の住居のあった町だ。夏目漱石、高村光太郎、江戸川乱歩ゆかりの史跡も近い。いわゆる「谷根千」の千、千駄木には高級住宅地のイメージを持つ人も多いかもしれないが、表通りから奥に入った細い路地の裏には、築年数を重ねたリーズナブルな物件も実は少なくない。
筆者としては、瀬尾氏が住民になることで千駄木のブランドが毀損されるのではないかという心配は残ったが、それは本稿の主旨とははずれる話。今日のところは内田さんのお陰で家電がつつがなく揃ったことに感謝して、ヨドバシカメラをあとにするのだった。